2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。 相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。 最後は学生賞受賞者、すさきさんへのインタビューです。 すさきさんが開発した「宇宙商店街でお買い物」は、ロケットに乗り惑星をめぐりお買い物をするゲームです。それぞれの星で昼間しかお買い物できないという設定で、動きが早すぎてさっぱりクリアできません。 キモかわいいキャラクタと食材のイラストも印象的。「コードプログラミングが怖いので全てScratchで作った」という勢いの良さも新鮮で評価ポイントとなりました。 すべてScratchで開発したというすさきさん。初めてツクアソに参加した感想や開発の過程、Scratchを使って開発するということについてなど伺いました! すさきさんのプレゼンは 01:01:38〜 ──── 学生賞受賞おめでとうございます。今回、ツクアソへは初めてのご参加ですね。ツクアソのことをどこで知ったのか教えていただきたいです。 すさき:ハッカソンによく参加していて、connpassで検索するんですけど、その中で見つけました。実は数回前から認識はしていて、YouTubeのアーカイブをたくさん見てます。 ──── それは嬉しいですね。アーカイブご覧いただいて、どうでしたか? すさき:めちゃくちゃ面白いなと思って、良かった作品の技術スタックを紙にまとめたりしながら見てました(笑)。 (一同笑) すさき:すごい作品が多いので、今回は「学ぼう」という姿勢で参加しました。 ──── ありがとうございます。普段よくハッカソンにご参加されているということですが、どんなものですか? すさき:一番参加してるのが「技育ハッカソン」っていう、学生多めのハッカソンです。もう5回ぐらい参加してますね。それ以外のものにもちょろちょろという感じで。 ──── 他のハッカソンでもScratchを使うんですか? すさき:Scratchをハッカソンで使ったのは、今回が初めてです。今まで参加したハッカソンはチーム参加のものばかりだったので、他のメンバーと技術を合わせようとすると、Scratchはなかなか…。 (一同笑) ──── 難しいですよね、確かに。Scratch自体はどのくらい使ってらっしゃるんですか? すさき:一番最初に触ったの中学生の頃ですね。でも触らない時期がかなりあって、2年くらい前からまた触るようになって、プログラミング教室で小中学生に教えたりしています。 ──── プログラミング教室の生徒さんにこの学生賞、自慢しましたか? すさき:教室の中で作った作品を投稿するサイトがあるので、そこには投稿しました(笑)。 ──── ではちょっと制作についてお聞きします。テーマが発表されてから、アイデアはどのくらいの期間で浮かんだんですか? すさき:実は提出期限の当日に考え始めたので、かなり時間が足りなくて…。本当はアプリにしたかったんですけど、「ギリギリ商売ならない」と両立させるのが難しくて、今回はウェブ上で動かすことにしました。若干そこを妥協してしまったなとは思ってるんですが、なんとかひねり出せたので良かったです。Scratchだとちょっと作れるものの幅が狭いっていうのもありますが。 ──── そうは言っても想像の幅はかなり超えてきてました。 すさき:ありがとうございます。Scratchをもっと広めていきたいと思ってます。 ──── アイデアが浮かんでから、実際に作品が完成するまではどのぐらいの時間がかかりましたか? すさき:締め切り当日にアイデアを出すところから始めたので、かなりバタバタしちゃったんです。ベースとなるものを作るのにかかったのは、4、5時間ぐらいじゃないですかね。星野珈琲で頑張って作業しました(笑) ──── 4、5時間であそこまで作れるもんなんですか、Scratchで。 すさき:Scratchの扱い自体には慣れていたので、それがよかったんじゃないかと思います。 ──── 開発に関して、つまずきとかは特にありませんでしたか? すさき:難しくて詰まった、みたいなところはなかったんですけど、時間がかかって面倒な部分が多かったです。細かく場所の調整をしたりとか、土星作ったんだから地球も作らなきゃな、とか。そういう全部をちょっとずつ変えないといけない部分とか、ちまちました単調な調整作業が多くて、焦りながら作ってました。一番難しかったのは、初めてScratchでsin(サイン)cos(コサイン)を使ったことですね。以前から「どうやって使うんだろう?」って思ってたものだったので、使えて楽しかったですけど、難しかったです。 ──── どんな機能なんですか? すさき:簡単に言うと、X軸とY軸を使ってオブジェクトに曲線運動をさせることができる感じです。Scratchにはそもそも回転させるコマンドがあって、角度を決めて単純にオブジェクトを回転させることができるんです。惑星が自転する動きはその1行で簡単にできるんですけど、自転しつつ公転してほしかったので、そのためにsinとcosを使用しました。 すさき:太陽を起点に惑星たちを回していくんです。自転する動きをつけたら、公転角度という変数に応じて位置を調整します。こうやって回していくと、公転角度がどんどん増えていくんですが、この公転角度に合わせた場所に惑星が行ってくれるように、X座標はcos、Y座標はsinを使って計算します。 ──── 僕たちがデモの画面上で見ていたロジックから想像する以上のものをやっていて、素直に感心します。この惑星たち実際に回ってる太陽系の軌道をモデルにしたりしてるんですか? すさき:いや、そこは全く参考にしてなくて。だからそこを有識者の人に突っ込まれたらどうしようって思いながらやってました(笑)。そもそも公転って実際はめちゃくちゃゆっくりなんですよ。そこにこだわるとゲームとしての面白さとの両立が難しくなってしまうので、この惑星たちは見た目だけ何となくな太陽系で、あとは全部無視してます。全てがありえない速度でありえない軌道を回ってます。 (一同笑) ──── あのプレゼンの時に、まさか裏でこんなにロジック組んでるなんて本当にわかりませんでした。すごい。コードで書くよりよっぽど難しいんじゃないですか? すさき:その説もあります。 (一同笑) ──── 今後コードを書いていくっていうことは考えていますか? すさき:HTMLとかPythonとかは少し書いているんです。ただゲーム作りに適している、例えばUnityとかは触ったことがないので…。ゲームを作りたいと思うと毎回Scratchでぽちぽちやることに落ち着いてしまうんです。でもいつか時間をちゃんと作ってチャレンジしたい気持ちもあります。 ──── 今回のツクアソで、お気に入りの作品はありましたか? すさき:個人的な一押しは「今は時期が悪いおじさんchrome拡張」ですね。あれがものすごく好きです。アイデアを考えてる時、最初は資本主義を否定するようなものが作れないかなって考えてたので、その自分の中のアンチ資本主義の部分と共鳴しました。あれ、使いたいです!あとはやっぱり「丑の日プロジェクト」さんはすごいです。プレゼンも含めてめちゃくちゃ面白くて。あとZEN SELECTさんとかもすごかったですね。ツクアソのYouTubeのアーカイブを見まくっているので、常連の有名チームに関してはもはやファン目線で。 (一同爆笑) ──── 第7回まで来ると、ファン目線の方も出てくるんですね!嬉しいことです。 すさき:皆さん、毎回外さずにすごく面白いし、どんどんアイデアが出てくるのが本当にすごいなって思いながら見てます。 ──── すさきさんも今後「すごいScratchの人」として認知されていく可能性が大いにありますよ。 すさき:そうなったらすごいですね。Scratchを広めたいです。今回参加してみて、あとアーカイブ見てても思うんですけど、ツクアソは使う技術が多様なところがいいですよね。普段参加してる他のハッカソンだと、チームの中で技術合わせないといけないですし「みんなが知ってる技術」が中心に自然となると思うんですけど、ツクアソだとハードやる方もいるし、本当にいろいろで、アイデア面だけでなく技術面でもめちゃくちゃ刺激になります。 ──── ハードもソフトもごちゃ混ぜになりながらやってますんで、毎回驚きがありますよね。 すさき:自分が今回Scratchを使ったのも、ツクアソだから使いたいというか、許されそうだなというか、そういう気持ちもありました。 ──── 種類が増えることは、運営としてもありがたいことです。これからのツクアソに期待していることなど、もしあればお聞かせいただきたいのですが。 すさき:今の感じで、かなり完璧に近いと思っています。技術的に尖っている、変なことしてる人が自由にのびのびやっているところと、あのユニークなテーマも楽しいですし。今の、投票でテーマ決める形はぜひこのままでいてほしいです。次はどんなテーマが出るのかもすごく楽しみです。 ──── ぜひ今後もScratch代表選手としてご参加いただきたいです。ちなみに次回は2025年の2月下旬を予定しております。 すさき:さらに変な技術を探しつつ、参加したいと思います。 ──── お待ちしております。本日はありがとうございました!
2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。 相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。 特別賞受賞チームへのインタビューです。今回は「PiedPiper」さんから、近藤里俊さんにお越しいただきました。 今回PiedPiperさんが開発したのは、質問に対して運営が自力で回答してくれるというもの。その名も「Chat GRK(自力)」。 飛んできた質問内容に担当者が手動で答えます。24時間担当者を拘束するということは、最低賃金で単純計算して月額78万円コストがかかるということでした。確かに費用対効果を考えるとまったく商売になりません。シンプルかつ潔い良作です。 いつもはチームでの参加ですが、今回は近藤さんお1人での参加となりました。名だたるハッカソンへの参加常連であるPiedPiperさん。ツクアソでの受賞も3回目となりました。他のハッカソンと並行してアイデアを出したという驚きの秘話や、アプリ作りへのスタンスについてなど、たくさんお話を伺いました! PiedPiperさんのプレゼンは 00:52:51〜 ↓↓↓PiedPiperさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓ 「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー② 優秀賞 PiedPiper (吉田早希 & 近藤里俊 & 髙尾凌我)さん 「第1回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 PiedPiper さん ──── 特別賞受賞おめでとうございます。毎度ご参加ありがとうございます。恒例の質問になりますが、ツクアソへ参加へのきっかけについて、教えてください(笑)。 (一同笑) 近藤:いつもこの「PiedPiper」っていうチームで参加してるんですけども、チームでハッカソン情報を共有してるんです。その中に第1回ツクアソの情報があったって感じですね。誰が見つけてきたのかまではちょっと覚えてないんですけど(笑)。Twitter上だったか、connpassだったかで見つけたんだと思います。 ──── チーム自体はどのような経緯で結成されたんですか? 近藤:学生の頃に出たハッカソンで出会ったのがきっかけですね。たまたまブースが隣同士で仲良くなったんです。その後、他のハッカソンでチーム組もうってなって、そこからいろいろ一緒に出るようになりました。チームでSlackのワークスペースを持ってて、そこで情報交換したりしてるんですが、それぞれのメンバーの会社の同僚とか、友達とか引き込んで、もうSlack上では10人くらいメンバーがいますね。その中で「PiedPiper」としてツクアソに出てるコアメンバーは3人ないし4人って感じですが。 ──── 今回、ツクアソの日程とQiitaハッカソンがかぶっちゃったんですよね。両方こなされたということで。ハッカソン、たくさん参加されてるんですか? 近藤:今年はツクアソ入れて4つくらいですかね。年始にもQiitaのハッカソンがあって、スパジャム、Vonageハッカソンと…あとなんかありました。大体ハッカソンと聞けば出るって感じです。 ──── すごい、精力的だ。ではここから開発について質問しますね。発表されてからアイデアってすぐに思い浮かびましたか? Qiitaハッカソンとかぶってましたけど…。 近藤:いやもう全然でしたね!発表されたのが金曜日で、Qiitaのほうに出ていた関係でオープニングに出れなくて、あとでwebサイトから確認したんですよ、テーマ。正直かなり時間的に厳しかったので、もしもアイデアが出たらやろうぐらいに思ってたんです。で、結局ちゃんと取り掛かったのがQiitaが終わった日曜日で、なんとか考えて、アイデアちゃんと出たのが月曜日。 ──── 締切当日じゃないですか。 近藤:そうなんですよ、最終日(笑)。まとまった時間も取れなかったし、今回1人参加だったんで議論する相手もいなかったんですよ。時間かかっちゃった。 ──── 通常のチーム参加の時は、アイデアソンして、役割分担して、みたいなスタイルですか? 近藤:そうです。ドキュメントツールにひたすらみんなでアイデア書きまくって、どれがいいか話し合いながらブラッシュアップしてって感じでやってます。 ──── お1人だとやっぱり時間がかかりましたか。 近藤:そうですね。あと、今回のテーマは僕には少し難しかったですね。どっちかっていうとビジネスというか、実用ベースが得意なんですよ。今回は実用を否定するプロダクトだったんで、なかなかの難問でした。 ──── アイデアが出てから作品の提出まですごく短い時間になりましたけど、制作自体はいかがでしたか? 近藤:技術的にはもう得意なものだけ使って、ひっかかりがないようにしたので。本当はサーバーサイドも作ろうと思ったんですけど、時間なくてやめて、インフラ周りはFirebaseのクラウドに投げてるんで、結局やったのって「チャットツール」でしかなかったんですよ。技術的な冒険はまったくせず、簡単に。 ──── ちなみに「チャットGRK」の名前はもちろんチャットGPTとかけて…。 近藤:そうです、そのとおり(笑)。せっかくだからダジャレっぽくしたくて、チャットGTPのどっかをもじりながら、それっぽく…って考えて「自力(GRK)」にしました。「自力」っていうのは「こっちが自力で返してる」だけなんで、ややこじつけではあるんですが、最も本家に近いもじりだなと思って。 ──── この字面だけ見ると「おっ」って思います。すごくキャッチーですよね。開いてみると本当にチャットで、オチも見事で(笑)。 近藤:ありがとうございます。 ──── 何の違和感もなく、説明もいらないし、秀逸です。 近藤:デザインを考える暇もなかったので、GPTの画面のカラーコードも真似して、スタイルもほぼ真似して。正確にピクセルを測ったりとかはしてないんですけど、ほぼ一緒なはずです。もうちょっといろいろ再現したかったんですけど、1日弱しかなかったので…。 ──── そうですよね、素晴らしいスピード感。ちゃんとデプロイして動くところまで持っていける辺りがもうさすがです。 近藤:ありがとうございます。開発にあてたのは、せいぜい10時間とかですかね。ハッカソンばっかりやってますので、もはや慣れです、この辺りは。Firebaseってハッカソン向きというか、サクッと作るのにすごく向いてるんです。サーバーサイド作らなくてよくて、ファイル保存できるし、データベース管理もできるし、認証機能も使えるんで、本当にすごいですよね。今回はGoogleだったんですけど、コードをコピペするだけで、もうGoogleのページに飛んで、認証して、内容返ってくるんで。助かりました。 ──── 作りたいものだけにフォーカスできるという意味ではすごくいいですよね。 近藤:コードも、昔の自分たちのチームのコードを引っ張ってきたりしてどうにか。パーツも揃ってるんで、リポジトリも。組み合わせに近かったですね。 ──── 今までのチームの蓄積があると、そういうメリットもあるんですね。 近藤:ハッカソン、いくつ出たかわかんないくらい出てきたんで(笑)。 ──── 今回、他の参加チームの作品でお気に入りのものはありましたか? 近藤:学生の、最優秀賞の、トチマルさん。 ──── 「AdX」ですね。 近藤:あれは面白かったですね。あと、ZEN SELECTさんの「LINE STAMP AI MAKER」も普通に便利だなと思いました。でもあれは審査通らないのか(笑)。 ──── トチマルさんはじめ、割と皆さん、先に「商売になるもの」を発想して、そこから崩していくってやり方でアイデア膨らましているチームが多かった印象ですね。PiedPiperさんも、採算が合わない、中の人がシンプルにしんどいから「ビジネスが成り立たない」というポイントが面白かったです。 近藤:今はデジタルで何でも解決できちゃうので、あまりデジタルに寄り過ぎると、結局マネタイズできちゃう仕組みになっちゃいそうだったんで、あえてアナログに振ったんです。結局人の手、というところに落として。 ──── ファイナリストプレゼンの途中で「1人でやってるんで、もう打てません!」みたいな流れが面白かったです。実際今回はお1人で参加されてたんで、自力の臨場感がすごくて。 (一同笑) ──── ちなみに今回も前回に引き続き、開発時間が72時間に延びていました。これ、以前のように48時間だったら今回出ていただけなかった感じですね…。 近藤:そうですね、1日足が出ちゃうんで(笑)。そういう意味では今回ありがたかったですね。3日間なら結構僕ら的には余裕のあるスケジュールという感じですね。2日間で徹夜で頑張る!っていうのも良さがありますが(笑)。 ──── 今回の開発にあたっては、過去に自分たちが作成したコードからひっぱってきたとおっしゃってましたが、新しい挑戦は避けて、全部引き出しの中から出した感じですか? 近藤:今回はもうほんとうにそうでしたね。キャッチアップする時間もないし、リスクも犯せないぐらい時間なかったんで…。 ──── ちなみに今、主に使ってる言語はなんですか? 近藤:最近はもうJavaScriptだらけです。僕は今、新卒4年目の年なんですけど、3年間の間に転職なんかも挟んで、JavaScript、GAS、Vue.js、PHPなどを触ってます。 ──── 引き出しがたくさんありますね。 近藤:新卒すぐのときにGoもRubyもPython、Node.js、Javaとかも書いたりしてました。もともと出身はロボット工学なんで、昔はC言語メインで書いてましたし、広く浅くいろいろ書けます(笑)。 (一同笑) ──── いろんなことできて楽しそうですね。 近藤:ハッカソンクオリティなら何でも作れるんで、楽しいです。会社でプロダクト作るぞ、となるとあれですけど。 ──── ではぜひ、その技術を持って次回のツクアソにもご参加いただければ(笑)。2月の下旬を予定しています。ぜひまたチームでも。もう2月のハッカソン、決まってるものがあったりしますか? 近藤:いえ、まだ2月はガラガラです。ツクアソをもう予定に入れて、参加します! ──── お待ちしております。ありがとうございました!
2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。 相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。 優秀賞受賞チームへのインタビューです。今回は「ZEN SELECT」さんから、ZENさん、ずんださんのお2人にお越しいただきました。 ZEN SELECTさんの「LINE STAMP AI MAKER」は、制作したいキャラクターの特徴を記入すると、そのキャラクターのLINEのスタンプを生成してくれる画像生成Alアプリです。LINEスタンプの申請に必要な8種類の感情のスタンプと日本語・英語のタイトルと説明文まで制作してくれるという優れものでした。 一見優秀なアプリでしたが、申請したスタンプがLINE側からリジェクトされてしまうというところが「商売できない」ポイント。確かに販売できないものが生成されてしまうなら意味はないですね…。グラフィックが美しく、見た目も機能も優秀なだけについたオチが際立ちました。 4人中3人が非プログラマという珍しい構成の「ZEN SELECT」さん。参加常連であり、受賞もついに3回目となりました。その多彩なアイデアの出所や、ものづくりについての哲学など、たくさんお話を伺いました! ZEN SELECTさんのプレゼンは 00:25:35〜 ZEN SELECTメンバー ZEN さん ずんだ さん suckhal さん ハマ さん ↓↓↓ZEN SELECTさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓ 「第6回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー② 優秀賞 ZEN SELECT(ZEN & ずんだ & suckhal & ハマ)さん 「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 ZEN SELECT(ZEN & ずんだ & suckhal & ハマ)さん ──── 優秀賞受賞おめでとうございます。毎度恒例の質問で大変恐縮なんですが、まずは参加のきっかけから…。 (一同笑) ZEN:プログラマのハマさんがきっかけですね。終わり。になっちゃいますよね、どうしよう(笑)。 ※具体的なきっかけについてはこちらのインタビューで言及しています。 ──── ちなみに初出場は第3回ですね。 ZEN:そうですね、1回目、2回目のテーマ面白そうだったのに参加できなかったーって思って「いや違う、そうじゃない(第3回ツクアソのテーマ)」から。 ずんだ:うん。「Rabbit Timer」だったね。そこからなんだかんだ毎回参加してます。 ZEN:4人中3人がプログラムできないというチームでやっております。回によってそれぞれの参加濃度もまちまちですね。多分、3回目は僕ほぼ関われてない。 ずんだ:あの時コロナになっちゃったんだよね。 ZEN:そうだそうだ。今回で言えば、イラストレーターのsuckhalさんが完全にいないんですよ。でも第4回の「水!!」なんかは、キャラクターの画像を何枚も作ってもらったし。ほんと毎回違いますね。 ──── それでも毎回作品として一定のクオリティでエントリーされるってことは、チームのバランスがいいってことなんですね。 ずんだ:いや、プログラマありきですね。ハマさん(ZEN SELECTのプログラム担当)いないと形にならないから(笑)。 ZEN:毎回の傾向としては、とにかくみんなでアイデアを言語化する、ぺちゃくちゃしゃべりまくるんですよ。バックグラウンドが違う僕らがしゃべりあって、それをハマさんが「プログラムだったら」「アプリとしてリリースするなら」とか「今こういうの流行ってる」みたいなところに落とし込んでくれてる印象ですね。 ずんだ:僕らがプログラムに関してずぶの素人だから、全く自由に発言してるんだよね。作り手のことなんて知ったこっちゃねーっていう路線で、それはもう自由に(笑)。 (一同笑) ──── 材料をいっぱい持ち寄って、それをハマさんがいい感じに調理してくれるんですね。 ZEN:プログラム的に「それは不可能」「ダサい」みたいな感覚がまるでないので、その常識のなさで逆にもってるのかもしれない。でも、アイデア出ないときは本当に出ないですけどね。 ずんだ:本当に30分ぐらい無言のときあるもんね。 ──── 今回の開発の進め方も、Zoomで集まってアイデアソンして、という流れですか? ZEN:今回の流れだと、オープニングにいたのが僕とハマさんだけで。 ずんだ:そう、僕は仕事だったんで途中から参加しました。携帯でオープニング聞いてて。 ZEN:テーマ聞いた瞬間に「あ、ダメだ」ってなっちゃって。とりあえず散歩に出ました。そしたらハマさんも一緒に散歩に出てくれて、2人でZoomつなぎながら歩いて、雑談からスタートでした。夜の公園をぐるぐる歩いたなー。ハマさんがまた上手いんですよ。ディスカッションする上での切り口というか、アプローチの掛け方が。 今回は「ギリギリ商売できない」の「ギリギリ」がポイントだよねとかって、ある種当たり前の会話から始まって、3〜4分ダラダラしゃべってちょっとあったまった頃に「最近何買った?」とか「最近何にお金かけた?」クリティカルではないけど関係なくはない切り口でテーマ投げてくれるんです。それで僕は「最近はサブスクだね」とか「またNetflix登録しちゃったよ」とか話して。 ──── 何にお金を使ったかを思い出させたんですね。 ZEN:そう。お金を使ったことを思い出しながら、「欲しい」「欲しくない」って感覚大事だよねって方向に進んで、点と点をつないで発展させていくような。 ──── 「丑の日プロジェクト」さんも、そういうふうにmiroを使って雑談から線をつないでいってアイデアにされてました。今回の作品の形が固まったのはいつ頃だったんですか? ZEN:もう公園を3周したあたりですかね。1周2キロぐらいあるんですけど。 (一同笑) ZEN:LINEスタンプっていう話がポンと上がって「スタンプ、欲しいなー」って思ったんです。で、その前の雑談で、AIが何か作ってくれるサービスあるよねって話も出ていて、オリジナルのLINEスタンプ作ってくれるサイト、めっちゃ欲しいわ!ていう(笑)。その期待感を「ギリギリ商売できない」ユーモアで落とすって流れ、いいなって思って。LINEスタンプでもう盛り上がっちゃったんですよね。そこで、LINEスタンプにするとして「商売できなく」するにはどうすればいいんだろうって疑問に発展します。AIを動かすための費用とか、お金の関係で破綻してしまうっていうのがベタな落としどころかなと思っていたんですが、LINEスタンプには申請があるってことに思い至って、ここだと。「申請通らない」でいいじゃんってなったんです。 ずんだ:僕ら、これまでのツクアソでオリジナルのスタンプ作ってたんで。水差係長とか。 ※第4回ツクアソ ZEN SELECT作品「水差係長」 ZEN:そうそう。だからLINEスタンプの申請手順とか知ってたんですよ。受かったり落ちたりするよね、めんどくさかったよねって話になって「申請に落ちる」っていうオチで、なんかもう大爆笑しちゃって、公園の中で。ずんださんとsuckhalさんが合流する前にかなり盛り上がって。 ずんだ:そこでもう大体決まってたよね。 ZEN:おうちに着く頃にはもう決まってました(笑)。盛り上がり過ぎて、LINEスタンプの申請のルール見たい、もう公園じゃダメだ、パソコン開こうぜって。 ずんだ:そのあとずっと規約読んでたもんね。どうやったら申請に落ちるか知りたくて(笑) ZEN:毎回思うんですけど、ショートコントみたいだなって。笑いどころを作らなきゃいけないけど、ただ笑わせなきゃいけないわけでもないし、まともにやってるからこそどっかでクスッと笑えないといけないし。その点で今回はすごくバランスのいいものが出てきましたね。 ずんだ:すぐデザインも始めました。 ZEN:最終的に申請に落ちるわけだから、だからこそサイトは自信満々にめっちゃかっこよくないとダメだねって、期待感を持たせたいんだ!つって、すぐずんださんに伝えてデザイン進めてもらいました。 ──── 確かにすごいスタイリッシュなサイトになってましたね。かっこいい猫ちゃんの。 ずんだ:あれはAIで作った素材なんですよ。かっこいい猫ちゃん(笑)。それでさっそくサイトの中身も作ってもらって、スタンプ吐き出してもらって、テストで申請したらあっさり通っちゃって、審査。 (一同爆笑) ZEN:通るんかい!ってなっちゃった(笑)。 ──── そんなハプニングが(笑)。じゃあ調整したんですね、通らないように。 ずんだ:そうですね、ギリギリのラインを。そしたらうまく落ちてくれたよね。 ZEN:落ちるとは思ってたけど、落ちる場合は審査返ってくるのに結構時間かかるんですよ。通る場合は早いんですけど。向こうの運営が困っちゃって時間かかっちゃうのかな。 ずんだ:落ちる時はきっと人の手が入ってるんだろうね。そんなこんなで、デザインに関しては迷いはなかったですね。最初からオチを見せる必要はないから、笑いの要素はいらなくて、ひたすら綺麗でそれっぽく作りました。オチから遠くするのが面白いだろうと。 ZEN:全体的な流れは、今までの中ではスムーズな方だったかな。 ずんだ:シンプルだったよね、今回。 ──── じゃあ、開発もアイデアが固まった時点でもうハマさんが作り始めている状態ですか? ZEN:金曜日の夜に、まず申請出せないとだめだよねって、とりあえずずんださんのデザインとかは乗っけてない、仕組みだけのプロトタイプを作ってくれました。LINEスタンプの申請は最低8枚で、あとサイズは決まってるんでそこらへんの最低限の情報をハマさんに伝えて、まず動くものをってことで、文字入れるとぺろぺろっと8枚画像が出てくるようなやつを。細かいところはそれと並行してぼちぼちという感じで。 ずんだ:僕らは、それができるものなのかどうかも全く判断できないので。でも仕組み作りはさすがハマさんなので、スムーズにいったんですよ。一番引っかかったのが、審査を突破してしまうというところだけで。それも一回だけでしたけど。 ZEN:そう。意外と絵に統一感がなくても通っちゃうんで焦ったよね。こんなん落ちるだろ、ぐらいに思ってたから(笑)。 ずんだ:これだけバラバラなら大丈夫だろうって思ってたら「申請通りました。お買い上げいただけます」って(笑) ──── 審査に落ちるラインが意外と難しかったんですね(笑)。金曜日に作り始めて、なんとか形になり、土曜日と日曜日はどのように過ごしたんですか? ずんだ:土日はほぼ僕はデザイン作業してました。 ZEN:僕はひたすら申請タイムですね。まずは落ちた前例を作ると。ずんださんにサイトのクオリティを上げてもらっちゃってるから、申請が全部通っちゃうんだと、単なる素敵なサイトになってしまうという(笑)。 ──── 商売できちゃってますもんね。 ZEN:焦りました。でもまあ、ずんださんがサイトのクオリティをひたすら上げてくれる期間でしたよね。 ずんだ:そうですね、デザインに徹してました。 ──── でも制作自体は割と順調だったんですね。ZEN SELECTさんレベルになると、ファイナリストプレゼンの順番も見極めて提出するんですか? ZEN:そうですね、それはでも参加し始めた頃から意識してます。制作がやばくてそんなこと気にしてる余裕ない回もありましたけど(笑)。 ずんだ:確か「なるほどですね。」の時はトップバッター狙ったよね。 ZEN:あれは早い方がよかったからね。 ずんだ:初っ端でかましちゃおう、みたいな。 ──── それも作戦だったんですね。 ZEN:作品によっては「これはテーマに対して変化球だから最初に出すもんじゃないよね」とか「これはもうどストレートだから、先に出さないと色褪せてしまうかも」とか「似たようなのがありそうだからとにかく先に!」とか、いろいろ考えちゃうんですよ、僕が。だから発表順はめちゃめちゃ気にしてます。 ずんだ:そこはZENさんすごい調整してるよね。 ZEN:実際どう反映されてるか分かんないですけどね。でもあのファイナリストプレゼンの1時間ぐらいの中で、あるじゃないですか、流れが。 ──── そうですね、前後の作品によっても結構印象変わりますもんね。そういえば、ZEN SELECTさんのプレゼンはいつも録画スタイルだと思うんですが、今回はライブでしたね。これはどんな狙いがあったんですか? ZEN:作った動画を流すだけだと寂しいんです、僕が。 ずんだ:ZENさんしゃべるの好きだもんね。 ZEN:そうなの。ライブのドキドキ感を味わいたかった。「丑の日プロジェクト」さんって、あらかじめ作った映像を流しつつライブでしゃべってるんですよね。最も難しいことやってんなって思ってびっくりしました。僕は緊張しちゃってできなそうだけど、でもあれ見てたら挑戦したくなりました。でもあまりに上手すぎて、あれがどんなに大変ですごいことか、そこをわかってる人少ないだろうなー。 ──── あれは初見ではライブでしゃべってるの、気づかないですよね。確かにものすごく上手です。 ZEN:ねー。あと打ち上げの時に、生でやるんだったらリアルタイムで起こっていることだったり、このプレゼン大会で出たホットワードを反映させたりとかするともっとよかったよねってハマさんに言われて「あー!」ってなりました(笑)。 ずんだ:反省会。 (一同笑) ZEN:本当そうだよなって。録画じゃない良さがそこまで出てなかった。もっと前後の流れを汲んだり単語拾ったりしとけばよかったですよね。そっちまで頭回んなかったなーって、悔やみました。 ──── そういう意味で言うと、ライブスタイルでプレゼンするなら後半の方が良さそうですね。前の人のネタをうまく拾えるし、選択肢が広がるかもしれない。 ずんだ:確かにそのほうが材料は揃いやすいですよね。 ZEN:難しい。でも僕はそうやってツクアソを楽しんでます。アイデア出しももちろんそうですけど。プログラムできないんで(笑)。 (一同笑) ──── 他の参加者の作品で気になったものはありましたか? ZEN:「外人さんや.これが日本どす~」、良かったですね。あのくだらなさは好きなラインです。めちゃめちゃくだらない。だが良い。 ずんだ:僕もあれ、ゲラゲラ笑ってた。プログラミング素人の僕らはやっぱりああいうシンプルなものに惹かれちゃいますね。 ZEN:作品へのまなざしがそもそも違うんだよね(笑)。プレゼンのうまいチームもほんとに多くて、熱量とか、そこも見ちゃいます。次これ参考にしよ!とかも思いますし。 ずんだ:作品出して終わりっていうハッカソンじゃないからね。プレゼン力も問われるハッカソン(笑)。 ZEN:すごい若い子がどんどん飛び込んでくるところもいいですよね。ああいうのもちょっと刺激になるな。 ずんだ:トチマルさんはすごかった。 ZEN:トチマルさん応援したくなる。すごいよかった。 ──── 次回のツクアソは来年の2月下旬を予定しています。ぜひご参加お待ちしてます。 ずんだ:前回、僕が地元の日本酒イベントがかぶって参加できなかったっていう(笑)。 ──── 「にいがた酒の陣」ですね。大丈夫です、かぶりません! ZEN:じゃあ次回もぜひ。 ずんだ:ぜひ! ──── ありがとうございました!
2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。 相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。 受賞者インタビューは優秀賞受賞チームへ。今回は2チームいる優秀賞受賞チームから「丑の日プロジェクト」さんにお越しいただきました! 丑の日プロジェクトさんの自転車シミュレーションアプリ『ちゃりんちゃん』は、自転車に乗れない人向けに開発された、自転車のハンドル操作のみを練習することができるというシミュレーターでした。 肝心の「漕ぐ」という機能が完全に抜け落ちており、これを使ったところで自転車に乗れるようにはなりそうにないというところと、39,800円という絶妙に手を出しづらい価格設定が「商売できない」ポイント。今回もそのバランス感覚の良さを見せつけてくれました。 毎回クオリティの高いハードウェアを開発してくれるツクアソ常連チーム「丑の日プロジェクト」。ブレインストーミングの様子や開発のどたばたぶりについて楽しくお話しいただきました! 丑の日プロジェクトさんのプレゼンは 00:18:00 〜 丑の日プロジェクトメンバー アニーさん たろうさん なるきさん マークさん ↓↓↓丑の日プロジェクトさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓ 「第3回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー④ 優秀賞 丑の日プロジェクト(アニー & マーク)さん 「第2回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー② 優秀賞 丑の日プロジェクト (アニー & マーク) さん ──── ツクアソ第7回優秀賞、おめでとうございます。 一同:ありがとうございます。 ──── 今回もすごいものを見せつけられました(笑)。テーマが発表されてからアイデアが浮かぶまで、どんな様子だったのかお聞きしたんですけれども。 アニー:金曜日の夜8時にテーマが発表されて、何を作るか最終的に決まったのが土曜日の午後1時とかだったんで、そこまでずっとブレインストーミングしてました。意見が割れたりして結構悩みましたね、みんなで。 ──── アイデア出しはどのように行ってるんですか? アニー:その時のみんなのシチュエーションによりますね。今回はみんなで集まれたんですけど、実際にちゃんと顔を合わせられたのは土曜日の朝でした。金曜日の夜にテーマが発表された時にとりあえずディスコードで共有して、たろうは夜行バスの中で、いろいろ考えながら東京に向かってもらって。今日、マークは時差の関係でこのインタビューには参加できてないですけども、ツクアソの時は飛行機の中で考えながら日本に来てくれて。ここにいるなるきくんは、Miroにいっぱい書き出してくれてました。 ──── なるほど。お互いにアイデアを出しておいて、土曜日の午前中に集まった時に打ち合わせて。 アニー:そうですね、そういう感じでした。ツール自体は主にみんなでMiroを使ってやってます。今回のブレインストーミングはみんな移動しながら(笑)。 ──── 『ちゃりんちゃん』の他にもアイデアは出たんですか? アニー:山ほど出ました。今回特になるきくんが一番案を出してくれて。 なるき:そうだったっけ。 アニー:最終的に決めたものは、なるきくんが直接出してくれたアイディアじゃなかったんですけどね。でもなるきくんがいっぱい出してくれたものがみんなのベースになってるんだと思います。ブレインストーミングがなかったらできなかったというか、毎回そうなんですけど。 ──── ちなみにどういう過程でアイデアが出たのか、みたいなのって…。 アニー:Miroの画面をちょっとお見せしますね。 ──── あ、すごい。 アニー:この中から「商売できない」ってどういうことなんだ、みたいなのをどんどん出していく感じでした。魅力が足りないとか、コンプラ的にアウトとか、刺激性が足りないとか、存在意義というか一番大事なことが抜けてるとか、とにかくそれぞれがどんどん出してって、それを連ねていって。コンプラ系ってハラスメントに容易につながっちゃうので実際は選べないところですけど、とりあえずアイデアのために何でも書き出すスタイルで進めました。これは毎回ですね。ハッカソンのルール的にはアウトだけど、世間的には大丈夫そうなものは、ハッカソンとは別に作ったりしてます。こうやってアイデアを出して、カンバン方式でタスク管理して…というスタイルです。 ──── すごい本格的。ちゃんと「プロジェクト」ですね。 アニー:今回は「存在意義」がポイントになって出たアイデアですね。自転車シミュレーションアプリっていうのでもう「面白い!」って爆発的に話が盛り上がって。コメダ珈琲に集まったんですけど、爆笑しちゃってうるさかったと思います(笑)。商売できなくて悔しいけど、最終的には「まあ楽しいからいっか」って思えるようなものにしたいっていうのが、ポリシーというか、軸というか。 ──── 付箋を貼っていくようなビジュアルでやるのはいいですね。すごい参考になります。ありがとうございます。 アニー:Miroはすごく助かるサービスです。メンバーが揃ってなくてもそれぞれが書き足していけばいいので。僕が仮眠取ってるときに他の人たちが一気に書き込んでくれたり、それを参考にみんなが離席してるときに僕が書き込んだり。時差のあるメンバーもいて、スケジュールがぴったり合うことが少ないので、重宝してます。 ──── 今回は開発時間は今までより長めの3日間でしたが、時間的にはいかがでしたか。 アニー:それぞれ用事があってちょっとずつ時間作ってやってたんで、3日でギリギリだったよね、結局。 たろう:うん。 ──── 今回の開発で一番苦労した点はどこですか? たろう:移動ですね。 (一同笑) たろう:いや本当にそうで、買い出しとか、撮影するための移動とか、それが大変でした。まだサイズがちっちゃいものだったんで良かったんですけど(笑)。 アニー:なるきくんは最後の塗装も大変そうだったよね。 ──── 塗装したんですか? なるき:今回、自転車のハンドルだったじゃないですか。それが本当にただの木で、そのままだと安っぽく見えるよなーっていう思いから塗装を。その日は雨だったんで、やむを得ずアニー君の家のベランダで塗装したんですけど、シンナーの匂いはきついし、塗料が回らないように一面新聞紙で養生しなきゃいけないしでいろいろと大変でした。棒だけのために。 (一同笑) アニー:でもこれ、塗ったかどうかで明暗が分かれたって本気で思ってます。 なるき:そこはこだわるべき所だと思って、ハンドルっぽく見せるんだという一心で。 ──── デモを見る限りは自転車のハンドル部分にしか見えませんでした。確かに木目が見えたりしたら気になったかもしれないですね。 なるき:そういう違和感は大事だと思ってるんで。 アニー:シリアルキラーみたいな格好になった甲斐があったよね、なるきくんが。 なるき:なんかの犯人としてニュースに出ててもおかしくない見た目だったね、あれは。 (一同爆笑) アニー:本当は、開発中の自分の部屋をまるごと、3日間ずっと生配信しようかと思ってたんです。準備が間に合わなくてできなかったんですけど。 なるき:過去に生配信したことあったんですよね、丑の日プロジェクトとして。別のハッカソンなんですけど。あれ、需要あったのかな? アニー:他の参加者から「チームメンバーみんな寝ちゃって1人で開発してたら、心強かった」という声はありました(笑)。 僕ら、プレゼン動画もクオリティ高く作りたくてすごく頑張ってるんですよ。プロダクトも細部までこだわって、細かい所まで塗ったりしてますし。そうすると、一部の人から「これ本当に期間中にやったんですか」とか「本当は前から作ってたんだろ」みたいに言われることがあるんですよね。 ──── 疑われちゃうんですね(笑)。 アニー:そうなんです。そういうのもあって、生配信して証拠を提示しようって発想だったんです。でも生配信って、単純にオンラインでやりつつオフラインの良さも出せるというか。他の参加者も含めて「みんなでやってる」感が出そうですよね。 ──── 連帯感が出せて、証拠にもなると。丑の日プロジェクトさんは今回で5回目の出場ですけど、本当に毎回クオリティが高いですもんね。疑う人もいるんですねえ…。 そういえば、作品名も一貫して「ちゃん」づけですけど、どうやって決めてるんですか? アニー:基本的にはみんなで話し合って決めてます。でも今回はだいぶギリギリだったんで、あんまり話し合う時間は取れず「これでいいか」って(笑)。 「ちゃん」づけなのは、可愛い女の子の名前をつけることで「絶対にお前を完成させてやるからな」っていう気持ちで開発に取り組めるという。 ──── 名前は完成する前に決めるってことですか? アニー:そうですね、完成前に。作ってる途中で決まることが多いですね。何を作るか決めて手を動かしてるうちに「この子こういうところに特徴があるね」というのが分かってきてから、名前をつけます。 ──── 愛着が沸き始めてから名前をつけるんですね。 アニー:名前をつけるとバグを放っておけなくなるんですよ。 (一同笑) ──── 他に、開発過程での苦労は何かありましたか? アニー:たろうがハードウェアを担当したんですけど、火事にならないように色々気をつけてやってくれてたよね。 たろう:家が燃えないように頑張りました。 (一同笑) たろう:家のコンセントから電源取ってたんですよ。ブレーカーを一応つけたりしてたんですけど、Amazonで買った延長コードをニッパーでぶっちぎって、芯線を剥き出しにしてそれを自分たちのハードウェアに突っ込んでコントロールするという…。ちょっとグレーな改造だったかもしれない。 アニー:グレーなの?あれって。 たろう:わからん。法律大丈夫だったかな。 アニー:法律は大丈夫でしょう。あなた電気工事士の免許持ってるから。電気工作していいという資格を。免許なかったらアウトだったかもね。 たろう:このメンバーだと僕とアニーが電気工事士の資格を持ってるんですよね。職業的にもみんなきっぱりジャンルが分かれてるんです。僕が電気専門の仕事してるのでハードのアイデア出しをする、アニーがプログラマなのでプログラムのアイデアで、なるきくんがデザイン関係なので、デザインとか塗装とか。職業と役割がきっぱり分かれてるんで、誰が何をするかで揉めたことがないですね。 アニー:なるきくんは車のデザインをやってるんですよ。 なるき:そうなんです。肩書としてはカーデザイナーになります。最近は車以外にも、アニメーションを作ったりとかもしています。丑の日プロジェクトの活動は、スキルの復習と新しいスキル開発のいい機会になってます。 アニー:大抵、無理難題が発生して「そんなんやったことねーよ!」って言いながらやらせるという(笑)。カーデザイナーやってる人に自転車のハンドルを塗らせたり。 なるき:Arduinoなんか取り扱うことのない職業なので新鮮です。こういう基盤のデータがあるという知識を得ました。知らない分野への知見も広がってありがたいです。 アニー:マークの仕事は構造みたいなのを扱うのが専門です。飛行機とかの設計をしたりする人なので。 ──── 規模がすごいですね。 アニー:設計系はマークが担当することが多くて、たろうはロボットを作ってる会社なんで、配線とかに強いですね。全員、仕事で培った技術をハッカソンに持ってきてめっちゃ無駄遣いして、また仕事に戻って次のハッカソンに向けて新しい何かを学ぶ、という。 ──── いかに技術を無駄遣いするかというのは、ツクアソの信念です。運営としてはもう嬉しい限りです! アニー:もういつも楽しいです、ツクアソ。 ──── 最後に、今後のツクアソに期待することは、何かありますか? アニー:他のハッカソンにも出るんですけど、やっぱりツクアソが一番幅があるなと思っています。真の意味で他の参加者の発表が気になるのがツクアソなんですよ。そこがすごい楽しいと思ってます。テーマも、他のハッカソンと違って社会的意義に全く結びついていなくて、タイトル通り「作って遊ぶ」ができてる。ここだけは本当に変わってほしくないと思ってます。 今日来れてないマークも、グループチャットでいつも「ツクアソは毎回テーマが面白くてとっても好き」って言ってるので、ぜひ、何を変わらないことを期待したいです。 なるき:アプリに限定してない空気がありがたいです。丑の日プロジェクトは実物を作ってなんぼというのが特性なので、僕も、今後もぜひこの空気のままでいてほしいと思ってます。 たろう:僕も2人と一緒です。このままでいてほしい。一番自由度が高いハッカソンだと思ってるんで。アメリカのハッカソンに行くと、火炎放射器とか作ってる人がいるんですよ。僕も派手好きなので、いつかそこまで行きたいです。 (一同爆笑) なるき:そこまで行けるかな。 たろう:かっこいいの作りたくない? 火炎放射器。千葉の海岸とか行ってばーってやりたいよね? なるき:唯一無二のハッカソンになりそう。 アニー:ほぼ反則技だけどな、火炎放射器って。 たろう:気持ちとしてはそれぐらいド派手なこともできる可能性が魅力的だなと思ってます。このまま、ずっとくだらないことを一生懸命やりたいですね。 ──── 来年は2月の終わりあたりで予定してますので、ぜひ次回もお会いできればと思います。楽しみにしてます。今日はありがとうございました!
2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。 相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。 さて、恒例の受賞者インタビューです。 まずは最優秀賞から。トチマルさんは、学生でありながら最優秀賞受賞となりました。 トチマルさんの作品『手の上に広がる新時代SNS アドックス』は、広告をShort動画のように表示させることができるアプリ。手のひらを見せると広告が表示され、サムズアップで広告をLike、ピースサインでadXの広告を表示させることができます。 Vision Frameworkを使って作られた新しさが非常に面白く、時代をとらえたおしゃれさのあるアプリでした。広告掲載が主な目的のアプリは「ユーザーに価値を提供しないアプリでの広告掲載は禁止」というGoogleおよびAppleの規約にひっかかるということで、「ギリギリ商売にならない」というオチも秀逸。 若者らしく時代を捉え、キャッチーなプロダクトを生み出したトチマルさん。そのアイデアの源泉や、ツクアソへの思いなど、常連ならではの視点から語っていただきました! トチマルさんのプレゼンは 00:33:30 〜 ──── 最優秀賞おめでとうございます。 トチマル:ありがとうございます。 ──── トチマルさんって、今までハッカソンに参加された経験はおありなんですか? トチマル:Appleの「Swift Student Challenge」っていうのがあるんですけど、それに1度参加したことがあります。でもこういう制限時間やルールがあるような、いわゆる「ハッカソン」は初めてでした。 ──── ツクアソをどこで知ったか、お聞きしても? トチマル:実は僕の身内にプログラムにちょっと詳しい人がいまして(笑)。その人に「やってみたら?」と言われて参加させてもらいました。父ですけども。 ※トチマルさんのお父様は第1回ツクアソ優秀賞受賞チーム「KICKHOST」のメンバーなのです。 (一同笑) ──── 今回のツクアソには、学生からトチマルさんともう1人、すさきさんが参加されました。どうですか、ツクアソに学生で参加するのって、ハードル高かったですか? トチマル:大人の参加者が中心だったんで、正直ハードルは感じました。でも学生賞が設定されてたんで「学生賞なら頑張ったら取れるかも」って感じで、ハードルを越えました。プレゼン後に他の参加者の方とか、運営の方とお話しする機会があったんですけど、皆さんフランクで。飛び込んでしまえばあったかいハッカソンだなって思いました。 ──── 懇親会もハッカソンの良さの一つですよね。楽しめましたか? トチマル:はい。やっぱりプログラムが面白いって思ってる人が集まっていて、大人とか学生とか、そういう垣根は全くない感じで皆さんとお話しできて、すごく楽しかったです。 ──── では、開発期間のことを聞かせてください。アイデアって、テーマが発表されてから大体どのくらいで浮かんだんですか? トチマル:金曜日の夜に発表されて、その日の残りの時間はもう全部アイデア出しに使うくらいの覚悟ではいたんですが、「ギリギリ商売ができない」を表現するのが思ったよりずっと難しくて、本当に初日丸ごと費やす形になって、焦りました。 ──── 苦戦されましたか。 トチマル:テーマに沿ったものを作るんだから、ここをふわっとさせないように、一番最初にしっかり決めちゃった方が作りやすいと思ったんです。結果的には、ここにしっかり時間を割いておいて良かったと思いました。 ──── 確かに途中から方向転換することになるとどんどん時間なくなっちゃいますもんね。このアイデア自体はどんな感じで思いついたんですか? トチマル:「商売ってなんだろう」というところから考え始めて「商売になってる」「商売として成立している」ものについて挙げていきました。それらから「商売ができてる部分」を消していくっていうような考え方ですね。 ──── 商売できてるものを、どんどん商売ができなくなる方向に持っていくんですね。 トチマル:そういう考え方のほうが、具体的なものが出そうだなと思ったんですよね。最初はYouTubeで考えてたんです。他にも、飲食店でルーレットを回すと返金されるとか、いろいろそんなことを考えて、途中でふと「YouTubeって広告あるじゃん」と思い至って。 ──── YouTubeの広告をヒントに、あの形に落とし込んだと。なるほど、勉強になります。作り上げるまでの過程で、詰まった所とか、技術的な課題はありましたか? トチマル:ハンドトラッキングを使ってて、手の形を0.2秒間隔ぐらいで読み取らせてたんですけど、メモリをすごく食っちゃってえらくパソコンが重たくなってしまったので、Playgroundで動かすのをやめて、アプリにしました。これで割と軽くなりましたね。問題という問題はそのくらいだったかな。 ──── このネーミング、すごくいいと思うんですけども、もちろんあのつぶやくやつからですよね? トチマル:ありがとうございます。「X」と広告の「AD」を組み合わせました(笑)。インスタと組み合わせることも考えたんですけど「アドックス」のほうが響きがいいかなと思って。あと、ハンドトラッキングを使ってるよっていうのをしっかり伝えたかったので「手のひらに広がる新時代」って冒頭にくっつけて主張しました。 ──── これ自体キャッチーですけど、タイトルも外してない感じです。「こんなことしそうだな」っていうのが名前で分かってますし、アイコンも直感的に伝わります。これも最優秀賞の決め手のひとつです。すごく印象的でした。トチマルさんは、他のチームの作品で印象に残ったものってありますか? トチマル:『ちゃりんちゃん』です。ハードウェアを使うって僕の発想にはなかったし、映像もすごく面白くて見栄えがしたので印象的に残ってます。 ──── 『丑の日プロジェクト』さんは毎回すごいですね。プロモーションビデオもしっかり作り込んでくださってて、クオリティが高くていつも驚かされます。トチマルさんもハードには興味ありますか? トチマル::興味ありますね。ハードウェアも融合できたら幅が広がりますし、よりテーマに忠実なものが作れるんじゃないかなと思います。 ──── ご自宅にありそうですもんね。お父様がね…(笑) (一同笑) トチマル:まだちょっと勉強不足なところがあるので、そのうちに(笑)。 ──── 今回使ったフレームワークをお聞きしてもいいですか? トチマル:Vision Frameworkです。 ──── 画像解析のものですね。今回初めて触ったということでしたが、時間的にはいかがでしたか?全体で72時間でしたが。 トチマル:個人的にはすごくいい配分でできたと思っています。 ──── じゃあ、当初想定してたものを全て作りきれたということで。 トチマル:そうですね。ある程度想定してた分と、作っていくうちに「これもいいんじゃないか」って足していく所までできたなと。 ──── 開発と提出用の動画準備はどのぐらいの比率でしたか?デモ動画もよくできていたなと感じたんですが。 トチマル:できるだけ開発に時間を割くように作りました。編集はちょっと近くにいる詳しい方に手伝っていただきましたので。 ──── ファイナリストプレゼンもかなり凝られていました。あちらばどのように準備されたんですか? トチマル:学校から帰ってきて、勉強の合間を縫って作りました。一応受験生です。 ──── 受験生!それは大変でしたね。完成度高かったです、すごく。 トチマル:ありがとうございます。頑張った甲斐あって、最優秀賞をいただけました! ──── ちなみに、賞品のアマゾンギフト券は何に使われる予定なんですか? トチマル:今、何かに使ってしまうと勉強に身が入らないかもしれないんで、いったん財布の中にしまっておきます(笑)。 (一同笑) ──── このハッカソンで新しく習得したスキルや知識は何かありましたか? トチマル:今までプログラミングを勉強するときは座学が中心だったんです。でも、ほとんど初めてテーマがあるものを作ってみて、「作り上げる」って行為には、プログラミング以外のことも含まれてるんだって分かりました。すごく良い経験だったと思います。 ──── 確かに、ゼロからの発想ですもんね。ある意味何でも作れるし、どうとでもなるという。 トチマル:実際ハッカソンに出てみると、本当に自由度が高さを感じました。いろんなものをいろんな人が作ってて。 ──── ぜひ、大学受験が終わったら、またツクアソ参加していただければうれしいです。次回は2月の下旬を予定してますが…その頃はちょうど受験ですね。 トチマル:そうですね。2月、3月で受験が終わって、引っ越しやらで一番バタバタしてる時期かもしれないですね。 ──── ツクアソは、大体冬と夏、年2回のスケジュールで開催しています。ではまた来年の夏の回に来ていただければ! トチマル:はい、参加させていただきます。情報系の大学で勉強している兄がいますので、次は兄弟参加で検討します。 ──── それは頼もしい。待ってますね。
2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)を開催しました。 暑い夏が名残まくる中集結したのは、常連チーム・新規チーム合わせて13組。相変わらずの難しいテーマにもひるまず、アイデアをぶつけ合ってくれました。 さて、そんな今回のテーマは… \どん!/ 開発期限はテーマ発表から72時間後の、2024年9月23日(月) 20:00。指定の応募フォームから作品を投稿し、動作する作品はすべてファイナリストとなります。 今回は以下の13組となりました! 『ゾンビ・デリバリー』 - 食料を届けろ!命がけの配達サバイバル(クッキー) 「外人さんや.これが日本どす~」(プルリクエスト) 自転車シミュレーションアプリ「ちゃりん」ちゃん(丑之日プロジェクト) 売らない占い(売れない占い師) LINE STAMP AI MAKER(ZEN SELECT) 手の上に広がる新時代SNS アドックス(トチマル) Draw Tactics(2-mix) どこでも行くよフードデリバリー 「フリアド」(土竜Brothers) 今は時期が悪いおじさんchrome拡張(webio) ChatGRK(PiedPiper) もしももしもボックスがあったら(ずんだえもんズ) 宇宙商店街でお買い物(すさき) !名刺スワップ!(zatomiya3) ファイナリストたちは、それぞれ3分のプレゼンを実施し、参加者全員が視聴。投票フォームに得点を記入するという審査方法です。 「商売にならない」線引きが難しく、「そもそも商売とは?」という根本から参加者を悩ませるテーマとなりました。それにもかかわらずアイデアを絞り、まだ見ぬ景色を見せてくれるチームが続出し、盛り上がりを見せました。 結果発表 すべてのチームのプレゼンテーションが終わると、集計が行われ、得票数が一番多いチームが最優秀賞となります。 ちなみに賞品はこちら。 最優秀賞:amazonギフト券10万円分 優秀賞:amazonギフト券5万円分 特別賞:ツクったものにちなんだナニカ 学生賞:amazonギフト券1万円分 さて映えある最優秀賞は… 「トチマル」さんによる「手の上に広がる新時代SNS アドックス」でした! 広告をShort動画のように表示させることができるアプリ。手のひらを見せると広告が表示され、サムズアップで広告をLike、ピースサインでadXの広告を表示させることができます。 Vision Frameworkを使って作られた新しさが非常に面白く、時代をとらえたおしゃれさのあるアプリでした。広告掲載が主な目的のアプリは「ユーザーに価値を提供しないアプリでの広告掲載は禁止」というGoogleおよびAppleの規約にひっかかるということで、「ギリギリ商売にならない」というオチも秀逸です。 次点となる優秀賞は2チームを選出。まず1チーム目はこちら。 チーム「丑の日プロジェクト」さんの自転車シミュレーションアプリ「ちゃりんちゃん」は、自転車に乗れない人向けに開発された、自転車のハンドル操作のみを練習することができるというシミュレーターでした。 肝心の「漕ぐ」という機能が完全に抜け落ちており、これを使ったところで自転車に乗れるようにはなりそうにないというところと、39,800円という絶妙に手を出しづらい価格設定が「商売できない」ポイント。今回もそのバランス感覚の良さを見せつけてくれました。 お次はこちら。 チーム「ZEN SELECT」さんの「LINE STAMP AI MAKER」は、制作したいキャラクターの特徴を記入すると、そのキャラクターのLINEのスタンプを生成してくれる画像生成Alアプリです。LINEスタンプの申請に必要な8種類の感情のスタンプと日本語・英語のタイトルと説明文まで制作してくれるという優れものでした。 一見優秀なアプリでしたが、申請したスタンプがLINE側からリジェクトされてしまうというところが「商売できない」ポイント。確かに販売できないものが生成されてしまうなら意味はないですね…。グラフィックが美しく、見た目も機能も優秀なだけについたオチが際立ちました。 個性がきらりと光るプロダクトに与えられる特別賞は、チーム「PiedPiper」さんの「ChantGRK」となりました。 質問に対して運営が自力で回答してくれるというもの。その名も「Chat GRK(自力)」。 飛んできた質問内容に担当者が手動で答えます。24時間担当者を拘束するということは、最低賃金で単純計算して月額78万円コストがかかるということでした。確かに費用対効果を考えるとまったく商売になりません。シンプルかつ潔い良作です。 そして、学生として参加された方の中から選ばれる学生賞。すさきさんの「宇宙商店街でお買い物」に決定しました。 ロケットに乗り惑星をめぐりお買い物をするゲームです。それぞれの星で昼間しかお買い物できないという設定で、動きが早すぎてさっぱりクリアできません。 キモかわいいキャラクターと食材のイラストも印象的。「コードプログラミングが怖いので全てScratchで作った」という勢いの良さも新鮮で評価ポイントとなりました。 * * * 今回のテーマは「ギリギリ商売できないアプリ」でした。 「ギリギリ」をどこに落とし込むかにどのチームも苦労したのではないでしょうか。 その分、普段のツクアソに比べて「状況を楽しむ力」がより問われ、また皆さんよくそれに応えてくれる回になったなと思いました。 今回も全力で一緒に遊んでいただき、どうもありがとうございました。 みなさんおつかれさまでした! 最後に恒例の集合写真です。「遊ぶ」の「A」をみんなで掲げての記念撮影。 当日の様子は以下からご視聴いただけます。 謝辞と次回の予告 第7回も、参加者の皆さんとともに無事閉会することができました。皆さんいつも全力で遊んでいただき、運営一同大変うれしく思っています。 参加していただいたプログラマの皆さん、賞品提供に協賛していただいた株式会社ソニックガーデン様、今回もありがとうございました! 次回は2025年2月21日開催予定です。 以下をフォローして頂けるとお知らせします。お楽しみに! https://twitter.com/tsukuasohack
2024年3月8日から15日にかけて「第6回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『洗練された無駄のない無駄な機能』。 いつも以上にセンスが問われるテーマとなりましたが、皆さん想像を超える驚きと楽しさを持ったプロダクトを見せてくれました。 さて、インタビューは特別賞、「オープニングの出席を忘れてたらなんか僕のテーマが選ばれていた」さん。初出場で見事受賞されました! 「オープニングの出席を忘れてたらなんか僕のテーマが選ばれていた」さんの、「SeiSeiAI」は、こちらの質問に対して全てを「セイ」に置き換えて回答してくれるというもの。 とにかく「セイ」しか言わない。いつか何か返してくれるのかもしれない、と期待して質問を投げ続けてしまう中毒性と、全てにおいての究極的な無駄のなさが強烈な印象を残しました。 初出場ソロ参加の「オープニングの出席を忘れてたらなんか僕のテーマが選ばれていた」こと、逢見泰久(おうみ・やすひさ)さん。どんなきっかけでツクアソへの参加に至ったのか、開発の過程や自身の開発履歴についてなどお話しいただいています。 オープニングの出席を忘れてたらなんか僕のテーマが選ばれていたさんのプレゼンは00:22:11〜 ──── 特別賞受賞おめでとうございます。 逢見:ありがとうございます。 ──── ツクアソへは今回が初の参加ですね。普段からハッカソンには参加されてるんですか? 逢見:実は、ハッカソンというものへの参加は、これが2回目なんです。ツクアソの1ヶ月ぐらい前に初めてハッカソンに参加したんですが、そちらの方ではあまりいい結果が残せなくて。それが悔しかったんで、リベンジのつもりでツクアソに参加させていただきました。 ──── 以前参加したハッカソンはどのようなテーマだったんですか? 逢見:「つながり」というテーマでした。ちなみに「Qiitaハッカソン」です。これが非常に難しくて、技術も足りなくて結局予選に間に合わなかったんです。 ──── なるほど。開発時間もちょっと短かったんですね。ツクアソは今回からプレゼン大会までの時間が72時間に伸びたんですが(前回までは48時間でした)、これはいかがでしたか? 逢見:私の経験が浅いというのもありますけれども、72時間あればまとめられるチームが多いんじゃないかなと思います。 ──── 開発はスムーズに進められましたか?かかった時間などざっくり教えていただければ。 逢見:開発時間は大体6時間とか7時間ぐらいでした。テーマが出てから次の日の昼から夕方くらいで仕上げて提出、という感じですね。 ──── 早い。時間を管理や開発の流れなどはどのようになさいましたか? 逢見:考えながら作るというよりは、アイデアが浮かんである程度固まってから手をつけました。割とすんなりアイデアが出て、それを実現する方法を探したら、これまたすんなり見つかったので、今回は運が良かったというか(笑)。 ──── じゃあ今回は、苦戦されずに済んだんですね。技術的な課題はありましたか? 逢見:テーマが「洗練された無駄のない無駄な機能」だったので、無駄に形態素解析を使ったんですけど、形態素解析エンジンっていろいろあるじゃないですか。それをstreamlitに上げる時に、どうすればいいかなってなったぐらいですかね。 ──── ローカルで作るところまではスムーズに組み合わせが決まってできたっていうことですね。このテーマってそもそも逢見さんの考えたものでしたね。 逢見:恥ずかしながら。 ──── グループ名にもなっていますけども、いつの間にか選ばてたということで。 逢見:そうです。ちょっと用事があってオープニングをスキップしてしまったので、後から自分のテーマに決まったって知ったんですよ。これは何としてもモノをあげないと、ちょっとカッコつかないなと。 ──── 俄然やる気が(笑)。テーマを応募した時に、もしこれが選ばれたらこういうもの作ろう、みたいなふわっとしたイメージも特に持ってたわけではなく。 逢見:なーんにも考えてなかったですね。 (一同笑) ──── 戦略的ではなかったんですね。 逢見:もう本当に、皆さんとスタートラインは一緒でした。 ──── 今回でハッカソンは2回目だっておっしゃってましたが、このツクアソで習得した知識やスキルはありましたか? 逢見:実はなくて…。今回使ったフレームワークが非常に優秀だったので、フロントエンド何もいじってないんです。フレームワークが何もかもをすごくよしなにしてくれてしまったので、次回からはもうちょっと自分でやれるようなものを探したいなと思っています。 ──── フレームワークってどこまでやってくれるんですか? フロントやってないっておっしゃってましたけど、画面自体ありましたよね? 逢見:htmlもcssも全く触ってなくて、Pythonコードでテキストボックス入れたぐらい。 ──── めちゃくちゃ便利ですね。参考までにフレームワークの名前を教えてください。 逢見:streamlitです。デプロイされたものもあるらしいです。まず無料で使えるとっていうことで入れて、なんやかんやしたらなんやかんやなりました。全部面倒を見てくれたので本当に楽で。 (一同笑) ──── ハッカソン向きの優秀なやつですね。 逢見:ですね。でもその代わり自分の身につくことは本当になかったので、それに関しては今後の課題として残しています。 ──── お仕事で使ってるとかそういうわけではないんですか? 逢見:いや、プログラムをいじる仕事ではないんです。プログラミング自体は学生時代にCを習ったくらいで、趣味としていろいろと触っているうちにPythonを習得しました。 ──── なるほど。他に何か触ったりされてるんですか? 逢見:他にはGo言語やRustとか、あとJavaScriptも軽く触りました。Pythonの次だとRustが好きですね。Rustは習得できたらいいなと思っています。 ──── 人生2回目、リベンジのハッカソンにツクアソを選んでくださって嬉しいです。ツクアソへの参加経緯を教えていただけますか? 逢見:Compassでたまたま見つけました。その前のやつは不完全燃焼だったんですけど、やっぱりハッカソンって面白いなと思ったので、次に出るハッカソンを探してて。 ──── ツクアソって、参加してみると割とテーマもスタイルも独特だと思うんですが、その辺りの感想は。 逢見:今回、参加した方みんな難しいっておっしゃってたんで、癖のあるハッカソンだなっていうのは感じました。その「癖つよ」に貢献してしまったのは自分なんですけども。 (一同笑) ──── いや、良かったですよ(笑)。このテーマは何か参考というか元ネタがあるんですか? 逢見:ニコニコ動画のタグですね。「洗練された無駄のない無駄な動き」という…。 ──── なるほど、ニコ動のタグから来てるんですね。 逢見:ニコ中だった時代があるので(笑)。 ──── 他の参加チームの作品でお気に入りのものはありましたか? 逢見:個人的に好きだったのはくまっきーさんの「Nothing - 消える電卓 -」です。UIが洗練されてて。私はデザインができないので、嫉妬しちゃいました。 その他だと、Takさんの「キー未入力の無駄な時を無くすべく、無駄にキー入力し続ける洗練されたシステム」です。あれはすごかったですね。私自身も電子工作もやるのでわくわくしました。 ──── ハードもいけるんですね!どんなものを作られるんですか? 逢見:今、使ってるこのマイクは自作です。オーディオインターフェースにつなげるようにしてあるマイクとか、あとはリューター作ったりとか…。あとは、今だとチップLEDがなぜか大量にあるので、それを使って遊んでます。次回参加するとき、アイデアがうまいこと思いつけば、ハードでいきたいなと考えてます。 ──── ツクアソ常連さんに何組かハードをやる方いらっしゃるんで、増えるとまた面白いと思います。ぜひ。 逢見:今回インタビュー受けるにあたって、以前の受賞者インタビューをいろいろ読んでたんですけども、Takさんとか、「Uzurium」とか、すごく面白いですよね。すごくレベルの高いハッカソンだと思いました。 ──── 技術力を無駄遣いされてる方、多いですよね。 (一同笑) ──── プレゼン、すごく面白かったんですけど、あれはどうやって準備されたんですか? 逢見:モノ自体が出来上がって、ファイナリストになったって通知が来てから作り始めました。もうとりあえずネタに振ってみようと。テーマからネタに振ってるんだから全振りだと思って。 ──── なるほど、全振り(笑)。プレゼン大会中のチャットにたくさんコメントくださって、すごく盛り上がりました。リアクションが早くて、運営からするととても嬉しいです。 逢見:そこのあたりはニコ中だった経験が生きましたね。全体的にゆるくてコメントしやすい雰囲気なのもありました。ツクアソ、すごく楽しかったです。 ──── ありがとうございます。次回のツクアソは9月を予定しているんですが、ご参加いただけますか? 逢見:今からわくわくして待ってます。次回はぜひ最優秀賞でアマギフを狙いたいです。 ──── ぜひさらなる高みを目指していただいて。本日はありがとうございました!
2024年3月8日から15日にかけて「第6回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『洗練された無駄のない無駄な機能』。 いつも以上にセンスが問われるテーマとなりましたが、皆さん想像を超える驚きと楽しさを持ったプロダクトを見せてくれました。 今回のインタビューは優秀賞、チーム「Memetan Tech Tips」さん。第4回ツクアソでは「インコーズ」の名前で特別賞を受賞しています。 チーム「Memetan Tech Tips」さんの「謝罪FAXジェネレータ」は、ぶっ飛んだ内容の謝罪文を生成し、FAXしやすいよう印刷してくれるというものでした。 用途不明の「無駄」、技術の「無駄」、紙の「無駄」という3つの無駄を実現し、ChatGPTのプロンプトを絶妙に調整して、緻密ながらどこにも使えない謝罪文を生成するという表現の面白さにも注目が集まりました。 親子チームのMemetan Tech Tipsさん。この絶妙な発想はどこからやってきたのか、どのように開発までの時間を過ごしたのか、詳細に語ってもらいました! Memetan Tech Tipsさんのプレゼンは 00:50:40〜 ↓↓↓Memetan Tech Tipsさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓ 「第4回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー④ 特別賞 インコーズ(とり子 & memetan)さん 「Memetan Tech Tips」メンバー とり子 さん memetan さん ──── 優勝賞おめでとうございます。まず、受賞の感想をお聞かせください。 とり子:息子のmemetanも、何か賞を取れたらいいなって言ってたので、嬉しいです。今回テーマがすごく難しかったので…。役に立つものを作ろうと思って無駄なものができることはあるんですけど、いざ無駄なものを作ろうとすると難しいですね。 ──── 確かに、今回はまずアイデア出しに苦戦するチームが多かったように思います。 とり子:先日、「AI Meeting」というイベントにお声がけいただいて、この「謝罪FAXジェネレーター」と、その他いくつかの作品について発表したんですけども、とても好評で。 ──── すごい。それは先方から依頼があったんですか? とり子:そうです。Xでこの受賞についてつぶやいたら「ぜひ登壇してください」と…。FAXという発想が面白いとお褒めの言葉をいただきました。若者世代であるmemetanとその母親世代の私の感覚がちょうどよく融合したというか。確かにFAXって、若い人からは出ない発想ですよね。 AI Meeting アーカイブ。00:26:51〜とり子さんの発表です。 ──── そもそも紙に出力しようって思わない世代ですよね。その面白さもあっての受賞ですから。素晴らしい。 とり子:最初はFAXという部分はなかったんですよ。謝罪文を生成して終わりだったんです。最後の最後で「FAX送れたら面白くない?」って話になったんですよね。 ──── 最後に。へー! 今回は3日間ありましたが、どのタイミングで「FAX送ろう」ってなったんですか? とり子:3日目ですね。 ──── 本当に最後の最後ですね(笑)。 とり子:そうです。もはや私は言うだけに等しいんですけどね。作業はmemetanが(笑)。 ──── 今回は受賞が2回目で、参加自体は確か3回目でしたか。 とり子:そうですね。以前は「インコーズ」というチーム名で。毎度名前が変わってすみません。構成メンバーは変わってませんので(笑)。 ──── (笑)。第2回にご参加いただいて(インコーズ「ノンビリ動画TockTubeddit」)、第4回では特別賞でしたね(インコーズ「デジタルししおどし リズムを刻め」)。 ↓↓↓前回のインタビューもあわせてお読みください↓↓↓ 第4回ツクアソ 特別賞 インコーズ インタビューはこちらから とり子:そうですね、今はProtoPediaに上がってます。 ──── アイデアが生まれてから開発していく過程について教えていただきたいと思います。今回で3回目の参加ということなので、時間配分などは慣れましたか? とり子:それが、今回は期間中に予定が入っていたりして、時間が取れなかったんですよね。しかもアイデアがなかなか定まらなくて。2日目まで何にもできてなくて、今回はダメかもしれない、辞退するかも…ぐらいの危機的状況で。 ──── じゃあ、2日目の後半ぐらいにアイデアを固めて、急いで作りきったっていう感じだったんですね。 とり子:そうです。アイデアを2人で練っていた時は、全くまとまらなくて。実は「このアイデアで行こう!」ってはっきり定まってもなかったんですよ。2日目に私が用事で外出してて帰ってきたら、memetanが「こんなん作ってみたんだけど」ってあいまいだったアイデアを形にしてくれていたんです。それに残りの時間で肉付けしていった流れですね。 ──── じゃあ、開発時間自体は1日なかったぐらいですかね。 とり子:そうですね。丸1日はなかったと思います。出かけて帰ってきたら出来上がってて(笑)。で、最終的にFAXの機能を実装しようっていう話になったんですけど、memetanは自分の分のバグ潰しにかかりたいから、FAX部分はお母さんが自分でやってよって言われて、いろいろ調べながらいじったんですけど、これが全然うまくいかない。 ──── どのあたりがうまくいかなかったんですか? とり子:これ、結局出来上がったものは「FAX送信用の謝罪文を印刷する」って形に落ち着きましたが、最初は本当にFAXを送ろうと思ってたんですよ。それで、FAXのAPIがあって、それを使おうとしたんですけど、うちに肝心のFAXを受信する機械がなかったんです。それじゃあ全然面白くないなと思って、じゃあプリンターで出力しようと。今度はプリンターのライブラリを探して実装したんですけど、動かなかったんです。使ったライブラリがうちのプリンターと合わなくて。 しかもそのライブラリ、ずっとメンテされてないから「動きません」みたいなコメントがいっぱいついてるようなやつで。そこでmemetanが「もういい、自分でやる!」って別のものを探してきてくれたんですよね。出力形式が違うタイプのやつを読み込んだらうまく動きました。 ──── かなり紆余曲折があったんですね。 とり子:本当に。変な文字化けもするし…。ProtoPediaにそのあたり詳しく載せてますけども。memetanには「Windowsでやるからそんなことになるんだよ」って怒られて(笑)。彼はLinuxの人なので。 ──── memetanさんLinux使うんですか。強い。ちなみに今回の開発環境は何だったんですか? とり子:Node.jsです。 ──── なるほど。このProtoPedia、まとまってて分かりやすいですね。memetansさんのコメントが面白い。「Windowsなんか使うな、プログラマー初心者か」。 (一同爆笑) とり子:ここに載せてる図もmemetanが描いてくれたんです。キャッシュの処理に苦労しまして、たくさん生成されるんで、アクセスの度に生成に行かずにキャッシュしておいたものを出すという作りにしていて、AI Meetingではその辺りが「斬新ですね」と評価していただきました。memetan本人も「大変だった」って言ってましたね。 ──── 確かに、リクエストがいっぱい飛ぶと請求が大きくなるって書いてますね。しかし、memetanさん、若いのに裏側の工夫もされてるのがすごいですね。システム運用の観点がしっかりしてます。memetanさん、おいくつでしたっけ? とり子:16歳です。 ──── 16歳!驚愕ですね!いやすごい…。 気を取り直して、アイデアについてもう少しお聞かせください。かなり時間がかかってしまったとおっしゃってましたが、やはり難しかったですか? とり子:無駄なものを狙って作るって、面白くなくなっちゃうことが多くて、難しいですよね。「面白い」無駄なものを作るっていうところでもう…。 ──── 「オチ」をつけるのは難しいですよね。確かに大抵のハッカソンでは「役に立つ」「何かができる」ものを作るのに、今回は「無駄」というところに収束するので、かなり皆さん頭を悩ませてたのかな、と思いました。他のチームの作品を見て、いかがでしたか? とり子:ZEN SELECTさんの「Coogle」が面白かったですね。あとやっぱりTakさんの作品はいつも魅力的ですね。物が動くと面白さが増します。画面上だけじゃなくて、物理的なものを動かしたいていう欲もあって、今回FAXを持ち出したんです。物とプログラム、セットの方が面白みが増すような気がしました。 ──── 前回の「デジタルししおどし」もそうでしたね。アナログでモノが動いてると、デモも見てて楽しいんですよね。今回のツクアソで新しく手に入れた知識や技術ってありましたか? とり子:memetan的にはいろいろあったと思います。プリンターに出力するあたり、初めての試みでしたし。 ──── 今回はChatGPTを使ってますけど、これは過去作品でも使用したことがありますか? とり子:先ほど話題に出した「AI Meeting」で、「謝罪FAXジェネレーター」と一緒に、もっと前に開発した2つの作品も発表したんです。その中の1つでChatGPTを使ってます。 工事とか消防点検とか、マンションで掲示される紙のお知らせをカメラで撮って、そこの情報を抜き出してGoogleカレンダーに概要と内容と日付を登録してくれるというものです(「カレンダーキャプチャー」)。それで初めてChatGPTを触ったのかな。 ──── なるほど、過去の作品作りが今回に活かされたんですね。webサービスとして公開してるんだ、これは便利ですね。 とり子:スマホからもパソコンからも撮影できるんで、なかなか便利だと思います。学校からのお便りの管理とか。 ──── あれ、全部紙ですもんね。紙をデジタルにする「カレンダーキャプチャー」を作った人が、今度はデジタル情報を紙に出力する「謝罪FAXジェネレーター」を作るっていうのが、また面白いですね。 とり子:本当ですね。言われて初めて気がつきました。 (一同笑) ──── そこを自由に行き来できるのが、インコーズ改めMemetan Tech Tipsさんの武器なんですね。物理とデジタルを融合させるのがすごく上手です。 とり子:この「カレンダーキャプチャー」も、もともとは私がmemetanの力を借りながら作っていたんですけども、最終的には「ちょっともう見てられない!」って全部作り変えられました(笑)。 私が作っていた時は、文書の内容から日付なんかを切り出す別のAPIを使っていたんですけど、memetanがそれをChatGPTに切り替えて。 ──── いや、これ賢い。使い方が賢いですよ。ゼロベースでこれを考えられるっていうのはやっぱりすごい。memetanさんの実力は底が知れないですね。次は何を見せてくれるのかなと期待してしまいます。 とり子:ありがとうございます。 ──── 次回のツクアソは9月を予定しています。またぜひご参加ください。 とり子:本当に楽しいので、またぜひ参加します。今回も大変お世話になりました。 ──── ありがとうございました!
2024年3月8日から15日にかけて「第6回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『洗練された無駄のない無駄な機能』。 いつも以上にセンスが問われるテーマとなりましたが、皆さん想像を超える驚きと楽しさを持ったプロダクトを見せてくれました。 今回のインタビューは優秀賞、チーム「ZEN SELECT」さん。前回の第5回ツクアソでは最優秀賞を受賞しています。 チーム「ZEN SELECT」さんの「Coogle」は、検索すると、洗練されていて無駄のない検索結果を示してくれるというものでした。 示される検索結果は一件のみ。その結果の大喜利とも言えるおかしみと益のなさが非常に面白く、また短い時間で落とし所もばっちりときまったプレゼン動画が高く評価されました。「洗練」と「無駄」の二つをきれいに押さえた作りであったと言えます。 4人チームであるZEN SELECTさんが、今回はどうプロダクトを作り上げたのか、完全分業型チームの運営方法、今後のツクアソへの思いなど、賑やかなインタビューとなっています! ZEN SELECTさんのプレゼンは 00:35:27 〜 ↓↓↓ZEN SELECTさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓ 「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 ZEN SELECT(ZEN & ずんだ & suckhal & ハマ)さん 「ZEN SELECT」メンバー ZEN さん ずんだ さん suckhal さん ハマ さん ──── 優秀賞受賞、おめでとうございます。 ZEN:ありがとうございます。 ──── 早速ですけれども、今回のテーマはいかがでしたか? このアイデアが出てくるまでにどのくらいの時間がかかったんでしょうか。 ZEN:「はい」か「いいえ」で答えるなら、「いいえ」ですね。今回、僕がオープニングに参加できなくて、後からテーマを聞いたんですよ。出席してた他の3人が先に相談をはじめてて、アイデアリストを見せてもらってまた一緒に考えたんですけど、なかなか形にならかったですね。1日目では決まらずに、翌日の夜に再集合して、それでも出なかった。 ──── 結構苦戦したんですね。 ZEN:そうですね。テーマの解釈がすごく難しくて。いろんな考えが膨らんではしぼみ(笑)。そこにハマさんが「洗練されたものって何?」って、一段フェーズを落とした疑問を投げかけてくれて、そこで「Google、洗練されてるよな」っていう話になったのかな。 suckhal:そんな話してるときに、ハマさんが手を動かして「こんな感じ?」ってデモをぽんと出してくれたんですよ。それが「面白いね」ってなった。 ZEN:実はGoogleの話になる前の段階で、一つデモを作ってもらってたんですよ。しりとりをすぐ終わらせるbot、みたいなデモを。 ハマ:いやいや、「洗練された回答をしてくれる」チャットボットを作ったんですよ。アイデアがなかなか固まらないから、とりあえず手を動かそうと思ってさくっと。 ZEN:そうそう。思い出した。それでそのbotとしりとりしたんですよね。その返答が面白かったの。洗練された回答だから、かなり冷たく、端的に終わらせられたんですよね。それはもう完璧な答えで。 ハマ:「しりとり」から始めて、俺が「りんご」って言ったら、botが「ごめん」。終わり。 (一同爆笑) ──── 洗練されてますね。でもCoogleはそれを踏襲してる気がします。 ハマ:プロンプト一緒なので。 ──── そうなんですか。 ハマ:ほとんど一緒。UIを変えただけですね。だからそうやって話してる間に作って、みんなに触ってもらって。 ZEN:洗練されているが故の冷たさが面白かったんだよね。以前、そういうテーマありましたよね。 ハマ:なんだっけ、「ちがう、そうじゃない」。(※第3回ツクアソテーマ『「いや違う。そうじゃない」とツッコまれたくなるモノまたはサービスをツクる』) ZEN:それだ。そのときみたいな感覚で面白がれたっていう流れはありましたね。 ハマ:そんでもう、ロゴも俺が勝手に作って。作るとも何とも言わずに完成したものをぼんとみんなの前に出したんだよね。 suckhal:そうそう。 ZEN:Googleのロゴっぽいものを作れるやつで作ったんだよって、ハマさんが持ってきてくれたんだけど、suckhalさんにお願いして。 suckhal:一応、グラフィックをちゃんとしました。一回だけ修正入れて(笑) ZEN:最初の洗練されたbotの流れのまま、何でも短い単語で返してくれる感じだったんですよ。それで何回か遊んだんですけど、もうちょっと返答を長くしてもらうように調整したんですよね。初期バージョンだと「確定申告」って検索すると、「必須」、終了、だったんで、もうちょい文字数増やしてもらって、人間味を出すというか、よりイラッとする回答を出したかったんで。 ──── 以前のインタビューでもお聞きしているとは思いますが、「ZEN SELECT」さんを初めて知る方向けに、チーム結成秘話など、教えていただけますか。 ↓↓↓前回のインタビューも合わせてお読みください↓↓↓ 「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 ZEN SELECT(ZEN & ずんだ & suckhal & ハマ)さん ZEN:僕がyoutubeのチャンネルを持ってまして。それが、中田敦彦さんが考案した「XENO」っていうゲームを解説するチャンネルだったんですけど、そこに集まってくれた人たちで結成しました。ハマさんとずんださんが常連で、最初は「3人でゲーム作ろっか」みたいなノリで。suckhalさんは、実は「XENO」のパッケージイラストを描いた方で、ハマさんがコンタクト取ってくださったんですよね。で、引き摺り込んで4人になりました。 ──── 役割分担がはっきりしてるチームなんですよね。 ZEN:そうですね。suckhalさんがグラフィック的なポジションで、今日はお休みのずんださんもデザインワークが担当。ハマさん1人がばちばちのプログラマで、僕はアイディア出しとプレゼンテーション担当です。今回はアイデアひとつも出してないですけど(笑)。なんだかんだ毎回、アイデアはみんなで出し合ってますんで、僕はプレゼン動画を作る担当って言ったほうがいいかもしれない。 ハマ:今回ずんちゃん酒飲んでていなかったけどね。 suckhal:イベントに行ってたんだよね。それでべろんべろんだったっていう(笑)。普段だったら、ずんださんがデザインして、僕はイラストを描きます。 (一同爆笑) ──── アイデア出しながらデモを、というお話だったんですが、実際、開発にかかった時間はどのくらいでしたか? ハマ:今回短かったな。15分くらいじゃない? ZEN:プレゼンテーション動画作ってる時間の方が長いですね。 ハマ:話してる中でさっさと作って出してるから、本当に時間かかってないんだよね。でもあと15分くらい真面目に作り込んだから、トータルで30分くらい。 ──── 本当にさっくり作ったんですね。じゃあ時間の管理とかも特に意識せず? ZEN:スケジューリングとかは特に。でも、トップバッターでプレゼンできないんだったら、中盤ぐらいで発表したいなと思って、提出する時間を待ちました(※ツクアソは提出順に発表となります)。コントロールしたのはそこだけですね。 ハマ:何だかんだ、アイデアソンにもトータルではそんなに時間使ってないもんね。2日に渡ったけど、夜しか集まってないし。 ZEN:でもね、日中もずっと考えてましたよ。何してても頭の片隅にあるというか。フライパン洗ってても「この、フライパンを洗うという動作はどうしたら洗練されるんだ?」とか。「無駄の無い無駄って何?」とか(笑)。 (一同笑) ZEN:そうは言っても、実働って意味ではハマさんの15分プラス15分の30分になっちゃいますかね。 ハマ:あとsuckhalちゃんがロゴ作ってる時間。 suckhal:それ、2分くらいかな。 ZEN:では、32分です。 (一同爆笑) ──── 他のチームの作品で気になったものはありましたか? ZEN:毎回ハードの作品が気になりますね。すごいの提案される方いらっしゃるじゃないですか。僕らも動くモノを作りたい、みたいな話は、毎回一瞬上がるんですけど。 ハマ:まあ、ハード系作るんだと、どうしても一緒にやらないといけないからね。 ZEN:場所どこにするかって話ですよね。 ハマ:俺、基本岡山から出ないからね。 (一同笑) ZEN:毎度挑戦したいとは思ってるんですよ、心の片隅で。モノも作る展開になったら、またそれぞれ違う力が発揮できそうだし。 ──── 今回のプレゼン動画はどんなふうに作られたんですか? ZEN:今回はみんなに相談しないで、「僕、用意しときますね」ってアイデアから全部1人でやったんですよ。当日までみんなどんなものが出てくるか知らないっていう(笑)。本当にかつかつで、発表の1時間前ぐらいまで作ってました。 めちゃめちゃ悩んだんですよね。まず「やっぱ無駄だよね」ってみんなに思わせるオチが一番いいと思って、じゃあそう思わせるにはどうしたらいいのか。言葉で言わなくても、みんなの中で腑に落ちる展開っていうのを前提として逆算していった感じですね。それで、Coogleを紹介するんだけど、結局最後にはGoogleにアクセスして終わるのがいいかなと。持ち上げてから落とす。売るつもりのないものをいかによく見せるか、それを構成するのはすごい難しかったです。 ──── 今回は動画でしたけど、過去にライブで行ったこともありましたね。 ZEN:水のテーマ(※第4回ツクアソテーマ「水!!」)のときですね。あの時は、会話に水をさすbot(「水差係長」)だったんで、それはリアルタイムで会話に水さしてもらったほうが面白いだろうって思ったんですよ。だからライブの形を採用したんです。 やっぱりライブは緊張しますから。本番で言いたいことが飛んだり、つじつま合わなくなったりとかしたら、冷めちゃう場合も多いじゃないですか。そういうものは、動画のほうが適切だろうって思ってやってます。 今回の「CoogleよりGoogleの方が結局いいじゃん」っていうオチは、要するにギャグですよね。動画でも盛大に滑った気分にはなったんですけど、リアルタイムでやったら大惨事かもしれないなと思って(笑)。あと、あれは検索してる場面とか、全部こまめに編集してテンポを調節してるんです。実際に検索してるともっともたもたして見えるので、そこで萎えるのも避けたかった。でもライブの良さっていうのはすごいあるんで。特に今回はそれを感じた発表が多かったですよね。ライブもやりたいとは思ってます。 ──── 今後のツクアソの展開に期待することはありますか? ZEN:僕、第1回のテーマが好きなんですよ。参加してないですけど。「明日がちょっと楽しくなるサービス」って、純粋に気持ちが上向くテーマだと思って。それ以降のテーマも今回のテーマも面白いんですけど、大喜利化してきてる気がするんですよね。プレゼンも何かオチを考えなきゃいけないようなものになっちゃう。それよりもっと「どうだ!すげーもん作っただろ!」っていうハッピーさが欲しいというか。 でも、一般投票で決めてますもんね。これは独り言みたいなものと捉えてください…。 ──── いえ、貴重なご意見です。次回は9月を予定しています。ぜひ、ハードでの参加も期待しています。 ハマ:サーボモーターとM5スタックとかは、一応、手元に用意してるから。できるっちゃできるよ。 ZEN:それはまたその時考えましょう。 (一同笑) ──── ありがとうございました!
2024年3月8日から15日にかけて「第6回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『洗練された無駄のない無駄な機能』。 いつも以上にセンスが問われるテーマとなりましたが、皆さん想像を超える驚きと楽しさを持ったプロダクトを見せてくれました。 さて、恒例の受賞者インタビューです。 まずは最優秀賞から。ツクアソ常連であるTakSanさん、今回で2度目の最優秀賞受賞となりました。 TakSanさんの作品『キー未入力の無駄な時を無くすべく、無駄にキー入力し続ける洗練されたシステム』は、一定時間キーボードを触らずにいると、空白を埋めるように「MUDA」を書き込み続けてくれるというシステムです。 高度な技術と物理的なアイテムを組み合わせて使用することで定評のあるTankSanさん衝撃の新作。キーボードの裏に糸を張って直接キーをタッチし続けるようにするという、洗練された技術の無駄遣いぶりに圧倒されました。 ユニークなプロダクトを次々と繰り出すTakSanさんの、そのアイデアの源泉や、ツクアソへの思いなど、常連ならではの視点から語っていただきました! TakSanさんのプレゼンは 01:08:37 〜 ↓↓↓TakSanさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓ 「第2回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 ハック無謀 (TakSan & akitam) さん 「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー④ 特別賞 TakSanさん ──── 最優秀賞おめでとうございます。 TankSan:ありがとうございます。嬉しいです。 ──── 2度目の最優秀賞ですね。今回は常連さんとしての視点でいろいろお伺いしようと思ってるんですが、まず、ツクアソの短い開発時間でプロダクトを仕上げるために、どのように時間管理されてますか? TankSan:時間管理ですか。苦手なところではあるんですが。 ──── 苦手なんですね(笑) TankSan:苦手ですね。今回も締切の前日まで動けませんでした。もう今から作り始めないと間に合わへんっていう、ぎりぎりのところでようやく動き出した感じです。本当は、毎回新しいアイデアで1からやりたいんですよ。で、動き出さないと本当に間に合わないっていうデッドラインを意識しながらあれこれ考えるんです。どうしても思いつかんかったら、時間足りんかったらこの辺をやろうっていう保険みたいなアイデアを用意した上で考えてるんですけど、結局保険のほうになっちゃうんですよね。今回もそうです。 ──── 今回の作品は「保険」のアイデアだったんですか。 TankSan:そうです、既存の作品のアレンジです。改造って言ったほうがいいかな。どのみちメーカーフェアに出品するつもりだったので、展示用に改造することを考えてたんですよね。 もともとは「リモートdeキー暴動?」という作品でした。オンラインでしゃべると、キーボードが勝手に動き出して打ち込んでくれるというものです。3年くらい前にテレワークになった時に、「サボってんちゃうか」と思われてる感を払拭するために作ったんですよね。キーボードを会社に置いておいて、一生懸命仕事してますよアピールができるかな、みたいなノリで作りました(笑)。 これをもうちょっと展示会でも分かりやすいように、ランダムでもいいから無人でも自動で動くように改造したいってところが出発ですね。それを今回は全て「MUDA」の文字列にしたと。 ──── なるほど。ツクアソ以外の場でも常にいろいろものづくりしてるTakSanさんですけども、毎回開発する時に、新しく習得するスキルとか知識ってあるんですか。 TakSan:ありますね。今回は、キーボードをループさせると危険ということが分かりました(笑)。例えば声をマイクに通す時、フィードバックが増幅されてハウリングにつながったりするじゃないですか。そんなようなことがキーボードにも起こるんです。今回は仮想キーボードみたいな仕組みを組み込んだんですけど、キー入力のフィードバックをそのキーボードを監視しているPCにもう一度フィードバックさせるって作業をさせたおかげで、同じキーが押され続けるという無限ループが出来上がってしまって、えらいことになりました。 ──── 開発段階でですか? TakSan:開発段階で起きたんですが、プレゼンの直前にもトラブりました。デモでいったん動かそうとして、プレゼンに使うPCにつないじゃってたので、「MUDA」ってそこら中に打たれてしまって。 (一同爆笑) TakSan:プレゼン資料のタイトルまで全部「MUDA」。パニックですよ。いつもならプレゼン開始して、映ってるのを確認して、一呼吸置いてから始めるんですけど、焦って何も映ってないまま始めてしまった。 ──── そういえばそうでした。でもそんなことが起こったようには見えませんでしたよ。いつもどおり落ち着いて見えました。 TakSan:焦りました。かつてなく。 ──── そういう演出なのかな、くらいに思ってました(笑)。今の質問に少し関連しますが、開発中に直面した課題やつまずきと、それをどうやって克服したのかについてお伺いしたいです。 TakSan:毎回いろいろ地雷は踏みます。踏みすぎて覚えてないくらい。今回の一番は、さきほどお話しした無限ループですね。あとは、今回初めてHIDキーボードとしてArduinoを使ってみたんです。電子工作の入門キーみたいな基盤なんですけど、キーをカスタマイズできるんですよ。ショートカットキーを自分でプログラムしたり、コントローラーを作ることもできる。その仕組みを初めて使ったんで、ちょっとつまずきましたね。そもそも開始が遅すぎてハマってる場合じゃないのに、自分で作ったプログラムを思い出すのにもむちゃくちゃ時間がかかって。 ──── 以前の作品を改造となると、どうやって作ったのか思い出すところから始めなきゃいけないですもんね。 TakSan:そうそう。コードがでかすぎて複雑になっちゃってて。そもそも開発したのが3年前だったので、記憶との戦いでした。動くに違いないと思いつつ、そっちに足元をすくわれるっていう(笑)。 ──── 改造ならではの悩みですね(笑)。ちなみに今回、作品タイトルはどういう経緯で決まったんですか。 TakSan:何も浮かばなかったんで、タイトルで説明しました。私はわりとそういう傾向があるんですよね。毎度説明的な長いタイトルで、発表の時噛むまでがセット(笑)。 ──── 今回も噛んでらっしゃいましたね(笑)。 実際開発に取り掛かるまでにかなり時間がかかったとおっしゃってましたが、やっぱり今回もテーマは難しかったですか? アイデアが浮かびにくかったというか。 TakSan:そうですね。普段から技術の無駄遣いはしているほうだと思ってるんですが、「洗練された」「無駄」そのものっていうので、「うーん、なんだろう?」ってなっちゃいましたね。技術の無駄遣いはいつもやってますが、無駄なものを作るのはあんまりなかった。 ──── そうですね!ツクアソは技術の無駄遣いを喜ぶイベントですけども、「無駄なもの作る」って、確かになかった。似ているようで全然違う発想です。そこが今回の難しさでしたね。今回のアイデアは言わば保険的なものだったってお話だったんですが、他に浮かんだもの、何かありましたか? TakSan:いろいろ浮かんだのは浮かんだんですけど、ことごとく却下でした。何せギリギリに動き出すので時間がなさすぎるんですよね。却下のネタは非公開、ということで。 ──── ではぜひ次のツクアソに活用していただいて。 他の方のチームの作品でお気に入りのもの、ありましたか。 TakSan:『Coogle』ですね。ZEN SELECTさんはいつもながらプレゼンが上手くてずるい(笑)。あと、『謝罪FAXジェネレーター』とか、『消える電卓』も良かった。あの絶妙にイラッとする感がすごい好きです。めっちゃ見たいやん、なんで隠すの?って(笑)。まったく実用的じゃなくて最高です。 今回は初参加の人も結構いましたよね。『鬼の会話断捨離「まとめるくん」』も面白かったです。LINE一文字で返してくるって発想がすごい。初参加であそこまでちゃんと作り込んできたのもすごいなと思いました。 ──── では最後に、常連のTakSanさんとして、ツクアソの楽しみ方、どんなマインドで参加されているのかを教えてください。 TakSan:テーマ募集からもう始まってますね、ツクアソは。テーマを考えるのがまた面白いと思っています。事前にいろいろネタを上げておいて、その中からどれ選ぼうかな、みたいな感じで参加してます。自分のテーマを選んで、また「今回はどんなのが来るんやろうな」っていうワクワク感も好きです。決まったら決まったで必ず迷走するんで(笑)、そこも楽しむ。少なくとも丸1日は迷走するんで、それが面白いんちゃうかな。迷走期間も楽しむ、それがツクアソです。このスタイルはぜひ、続けて欲しいです。 ──── テーマ決めから楽しむ、迷走も楽しむ。名言ですね!まるごと楽しんでいただいて本当に嬉しいです。次回は9月下旬を予定しています。またぜひ、ご参加ください。 TakSan:ぜひ。 ──── どうもありがとうございました!
2024年3月8日から15日にかけて「第6回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)を開催しました。 水温む春、気候の穏やかさにそぐわぬエッジの効いたテーマとなった第6回も、ひりひりするような戦いとなりました。 恒例の投票制でのテーマ決定。ここからもうツクアソの「おもろさ」が始まっています。さて、今回のテーマは… \だだん!/ 開発期限はテーマ発表から72時間後の、2024年3月11日(月) 20:00。指定の応募フォームから作品を投稿し、動作する作品はすべてファイナリストとなります。 今回は以下の13組となりました! Nothing - 消える電卓 -(くまっきー) 無駄を表示しまくる機能(Keita5mpro) SeiSei AI(オープニングの出席を忘れてたらなんか僕のテーマが選ばれていた) 「無駄」が表示される世界(yappu) Coogle(ZEN SELECT) アップグレード数取器(proconlife) Snapy(Pied Piper) 謝罪FAXジェネレーター(Memetan Tech Tips) 鬼の会話断捨離「まとめるくん」ー さらに無駄なのはサブの過去履歴機能だったー(ものづくり小児科医「うえだ」) ムーダー(life) キー未入力の無駄な時を無くすべく、無駄にキー入力し続ける洗練されたシステム(TakSan) 無駄じゃない時間(さわやまブロス) 虚無の時間(チームあづき) ファイナリストたちは、それぞれ3分のプレゼンを実施し、コメンテーターと参加者全員が視聴。投票フォームに得点を記入するという審査方法です。 いつも以上にセンスが問われるテーマとなりました。相変わらず想像を超える驚きと楽しさを持ったプロダクトが満載でした。 結果発表 すべてのチームのプレゼンテーションが終わると、集計が行われ、得票数が一番多いチームが最優秀賞となります。 ちなみに賞品はこちら。 最優秀賞:amazonギフト券10万円分 優秀賞:amazonギフト券5万円分 特別賞:ツクったものにちなんだナニカ 学生賞:amazonギフト券1万円分 さて映えある最優秀賞は… 「TakSan」による「キー未入力の無駄な時を無くすべく、無駄にキー入力し続ける洗練されたシステム」でした! 一定時間キーボードを触らずにいると、空白を埋めるように「MUDA」を書き込み続けてくれるというシステムです。 高度な技術と物理的なアイテムを組み合わせて使用することで定評のあるTankSanの衝撃の新作。キーボードの裏に糸を張って直接キーをタッチし続けるようにするという洗練された技術の無駄遣いぶりに圧倒されました。 次点となる優秀賞は、以下の2チーム。 チーム「ZEN SELECT」さんの「Coogle」は、検索すると、洗練されていて無駄のない検索結果を示してくれるというものでした。 示される検索結果は一件のみ。その結果の大喜利とも言えるおかしみと益のなさが非常に面白く、また短い時間で落とし所もばっちりときまったプレゼン動画が高く評価されました。「洗練」と「無駄」の二つをきれいに押さえた作りであったと言えます。 チーム「Memetan Tech Tips」さんの「謝罪FAXジェネレータ」は、ぶっ飛んだ内容の謝罪文を生成し、FAXしやすいよう印刷してくれるというものでした。 用途不明の「無駄」、技術の「無駄」、紙の「無駄」という3つの無駄を実現し、ChatGPTのプロンプトを絶妙に調整して、緻密ながらどこにも使えない謝罪文を生成するという表現の面白さにも注目が集まりました。 運営のお気に入り。個性がきらりと光るプロダクトに与えられる特別賞は、「オープニングの出席を忘れてたらなんか僕のテーマが選ばれていた」さんの、「SeiSeiAI」となりました。 こちらの質問に対して全てを「セイ」に置き換えて回答してくれるというもの。 とにかく「セイ」しか言わない。いつか何か返してくれるのかもしれない、と期待して質問を投げ続けてしまう中毒性と、全てにおいての究極的な無駄のなさが強烈な印象を残しました。 そして、学生として参加された方の中から選ばれる学生賞。チーム「life」さんの「ムーダー」に決定しました。 ゴミ箱にゴミを投げ入れるというゲームなのですが、RPG風の思わせぶりなオープニングが長く、しかもまったく本編と関係ないという無駄さ。 プレゼン動画では肝心の本編を全く見せずに終わるという、引きの良さ、センスの良さも評価されました。 * * * 今回のテーマは「洗練された無駄のない無駄な機能」でした。 毎回解釈に苦労するお題が多いというのもツクアソの特徴ですが、よりセンスが求められる回となりました。 しかし、その独特の難しさをものともせず、センスフルでとんちの効いた作品がたくさん生まれ、またどのチームも技術的な「無駄遣い」もいかんなく発揮してくれたと思っています。 今回も全力で一緒に遊んでいただき、どうもありがとうございました。 みなさんおつかれさまでした! 最後に恒例の集合写真です。「遊ぶ」の「A」をみんなで掲げての記念撮影でした。お疲れ様でした! 当日の様子は以下からご視聴いただけます。 謝辞と次回の予告 第6回も、参加者の皆さんとともに無事閉会することができました。毎回意欲的にものづくりに参加していただけること、運営一同大変うれしく思っています。 参加していただいたプログラマの皆さん、賞品提供に協賛していただいた株式会社ソニックガーデン様、今回もありがとうございました! 次回は半年後、2024年9月開催予定です。 以下をフォローして頂けるとお知らせします。お楽しみに! https://twitter.com/tsukuasohack
2023年8月17日から25日にかけて「第5回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『大人のカンニング』。 「カンニング」の解釈をどうするかが肝となるテーマでしたが、安定の個性爆発ぶりで、皆さん楽しい作品を見せてくださいました。 さて、第5回も恒例の受賞者インタビューを行いましたよ。 今回は、特別賞を受賞したTankSanさんによるインタビューです。 「カンニング=cunning=ずる賢い」という単語の意味から着想した作品。サービス終了してしまったLINE CLOVAを、Raspberry Piを使って魔改造して再び蘇らせるというプロダクトでした。 ツクアソ常連のTakSanさんの確かな実力と斜め上を行く発想力がいかんなく発揮されており、高評価となりました。何もかもが異彩を放っている作品は、TakSanさんのProtoPediaにも公開されています。 第2回ツクアソから毎回参加しているTakSanさん。技術をあますことなく使い、誰にも思いつけないような作品を作り続けています。 開発過程はもちろん、ハード系製作者の苦悩までいろいろと明かしてくれました! TakSanさんのプレゼンは 00:47:50 〜 ──── 特別賞おめでとうございます。毎度ご参加ありがとうございます。 TakSan:こちらこそありがとうございます。 ──── 早速ですが、LINECLOVAを使おうというのは最初から決まっていたんですか? TakSan:いや違います。実は、今回はちょっと時間があったんで、別ネタでやろうと思ったんです。でも作り始めてから行き詰まってしまって…。結局実績のあったLINE CLOVAを改造することにしました。「ズル賢い」っていうワードを使ったんで、ちょうどいいかなって。 (一同笑) ──── 落としどころがまたちょうどいいですね。 TakSan:本当に「ズル賢く」です。CLOVAのサービス終了は去年の10月に発表されたんですけど、もう次の日には分解し始めたんで、1年ぐらいあたためていたネタですね、実際は。 ──── あっ、そんなに前から…。CLOVAを使う前、最初に検討したアイデアについても少し教えていただければ。 TakSan:もう全然浮かばなくて。「カンニングってなんやろ」って思いながら、とりあえず買ってから積んであった、透過型のディスプレイ(後ろが透けて見える形のディスプレイ)を使おうかなと思ったんです。メガネのレンズよりもう一回り小さいぐらいのサイズ感なんですけど、それを制御したら何か思いつくかなと思って触り始めて…全くだめでしたね。 ──── 「とりあえず机の上から探す」というのは、ハード系の参加者さんはよく言われますね。 TakSan:ハードウェアは癖が見えてきたり、道具を集めたりするのにどうしても時間がかかるんで、もともと手元にあったものとか、ある程度ベースがないものじゃないと時間的に厳しいんですよね。 ──── じゃあCLOVAでってなってから、完成まではどれくらいかかったんですか? TakSan:土曜の朝に「だめだ、CLOVA使おう」ってなって、その時点で12時間切ってたんで、残り時間でできる範囲でなんとかしようと奮闘して。 ──── 上手くテーマに着地できるように。 TakSan:「ズル賢い」の極みで(笑)。 ──── でもちゃんと収められたのは本当にすごいです。 TakSan:なんとか。今回は結構脱落者多かったですよね。プレゼンのときに「チーム数減ったな」と思いました。 ──── やっぱり48時間という時間制限はひとつのハードルですよね。 TakSan:でもツクアソは、開発・提出とプレゼンの時間が分かれてるところがありがたいですね。割と他のハッカソンだと、プレゼンまで込みの場合が多いので、特に僕みたいなソロ参加は、全部1人でやるから間に合わなくなっちゃう。 ──── TakSanさんはかなりハッカソン出ていらっしゃいますよね。ツクアソにもずっと参加していただいて。 TakSan:ツクアソは第2回からですね。第1回は存在に全然気づいてなくって逃しました。 ──── 第2回はいきなり最優秀賞でしたね。とにかく時計を隠すっていうプロダクトで(「時から解放されるには、そうだ時計を隠しちゃえばいい…」ハック無謀)。 TakSan:その次もなんか似たようなものを作りましたね。画面いっぱいに羊を集めてくるみたいな。 ──── 「眠れないのでコンピューターに 羊を数えさせた!?」でしたね。この回のテーマはTakSanさんが考えたものでした(第3回ツクアソテーマ『いや違う。そうじゃない。』とツッコまれたくなるモノまたはサービスをツクる」)。 TakSan:自分で考えたテーマだったのに、賞とれなかったんですよね。インパクト強かったはずなのになんでだろう…。 (一同笑) ──── 今回出てた作品で、印象に残ってるものはありますか? TakSan:最優秀賞の「なるほどですね。」は「最初からきたな!」と思いました。あとは「さだこちゃん」ですね。丑の日プロジェクトさんは、いつもプレゼンも上手いし脅威です。あと、スパイツール製作所さん、3種類って!メンバー1人1作品作ったっていうのがもうすごい。スパイツールさんが一番の脅威だったような気がします。 やっぱり私からすると、同じハードウェア作品はどうしても気になりますね。 ──── ツクアソはテーマがユニークなので、とがったものを作ってくるチームが多いですね。プレゼンもそれに合わせてかかなりとがってる(笑) TakSan:プレゼンも大事ですよね。このCLOVAネタは他でも出していて、何回かプレゼンしてるんですけど、仕組みをしっかり理解してもらおうとすると3分じゃ全然足りないんですよ。3分だとさらーっと流す感じになっちゃう。まず「大人のカンニング」にどう関連付けるかっていうところを説明して…ってやってるとそこにも時間が取られますし。その時間配分はもしかしたら今回一番難しかった部分かもしれないです。 ──── それでもすごいインパクトでした。だからこその特別賞なんですけども。 TakSan:とにかくCLOVAはいろいろいじくってまして、まだまだ絶賛製作中です。詳しくはプロトぺディアなどをご覧ください(笑)。 サービス終了予定の LINE CLOVA にラズパイを仕込んで改造してみた | @TakSan サービス終了になった LINE CLOVA 達に第二の人生を歩ませる ラズパイ化CLOVA-パート1(ガチの改造編) ラズパイ化CLOVA-パート2(専用基板編) 振り返ると1年中CLOVA 改造していた件 ──── たくさんのハッカソンにご参加されてる中、ツクアソにも毎回参加してくれていらっしゃいますけども、ぜひここでツクアソの魅力について教えてください。 TakSan:テーマの意外性です。ガチガチの社会課題解決系とかじゃないんで、やってて純粋に面白い、楽しめるというのが一番ですかね。この姿勢は崩れてほしくないと思ってます。 ──── 次回のぜひご参加ください。お待ちしています。 TakSan:ぜひよろしくお願いします。 ──── どうもありがとうございました!
2023年8月17日から25日にかけて「第5回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『大人のカンニング』。 「カンニング」の解釈をどうするかが肝となるテーマでしたが、安定の個性爆発ぶりで、皆さん楽しい作品を見せてくださいました。 さて、第5回も恒例の受賞者インタビューを行いましたよ。 今回は、優秀賞を受賞したチーム「シーズン2」の5名によるインタビューです。 シーズン2さんの「蚊ン忍具」は、モスキート音を使ってモールス信号を送るというアプリでした。試験監督には聞かれずにクラスメイトにだけに分かる信号を送るという発想が画期的でユニークです。 「試験のカンニング」という非常に学生らしいストレートな発想ながら、モスキート音を使うというギミックが大変面白い作品です。モールス信号を解読できないと全く役に立たないという絶妙なふざけ具合も高評価でした。 第3回ツクアソでは別チームで参加していたメンバーが、リベンジで挑んだ第5回。見事に優秀賞を獲得!開発過程からものづくりへの思いを楽しく語っていただきました。学生らしいフレッシュなインタビューです! シーズン2さんのプレゼンは 00:22:13 〜 「シーズン2」メンバー えび さん Comet さん magochansan さん レインボーブリリアント さん ──── 優秀賞おめでとうございます。 一同:ありがとうございます。 ──── 今回学生チームはシーズン2さんだけでしたね。ツクアソのことはどこで知ったんでしょうか? えび:なごはち経由じゃなかった? magochan:僕は大学の先輩のレインボーブリリアントさんに誘っていただいて。 レインボーブリリアント:ツクアソのSNSから知りました。 ──── ハッカソンには定期的に参加してるんですか。 レインボーブリリアント:自分とmagochanはそんな感じです。 えび:僕は初参戦でした。 Comet:僕は別のチームで第3回のツクアソに参加しています。そのとき学生賞をもらったんですけど、最優秀賞取りたいと思っていたところにもう一度先輩から声をかけてもらったんで、参加しました。 えび:強くなって帰ってきた。 (一同笑) Comet:「大阪府立たまごかけごはん」のチーム名で。 ──── 「癒しの猫八さん」ですね。今回は別チームで優秀賞ゲットなんですね。あらためておめでとうございます。 Comet:ありがとうございます。 (第3回ツクアソ「大阪府立たまごかけごはん」さん学生賞受賞インタビュー) ──── みなさん同じ大学の方なんですね。サークルの仲間ですか? えび:学科繋がりですね。情報学科です。 ──── 今回のテーマ「おとなのカンニング」、いかがでしたか? えび:アクの強いのがきたなと。そう思ってたら、discordに「あ、これ僕のやつや」って発言があって(笑)。magochanだったっていう。 ──── まさかの身内でしたね。発案者がいたことで、スムーズアイデアが出たとかそういったことは。 Comet:発案した割には何も考えてなかったらしくて。まじかよってなりました。 えび:とりあえず投げてみたんだな。 (一同笑) ──── 開発の過程はどうでしたか? えび:夏休み中だったんで、しっかり時間取ってやれました。僕が最初に機能を何となく決めて、UIに依存しない部分の機能を他の3人に実装してもらう傍ら、僕がデザインを作って、そのあとでフロント、みたいなスケジュールをなんとなく決めて。あとはエンジニア部門で各自どれをやるかを決めてもらって。全体的には完全オンラインで進めました。 ──── えびさんがプロダクトオーナー的にざっくり決めつつ。 えび:僕は、デザインはしたんですけど、機能周りなんかは本当にみんなで、わいわいやりながら決めました。 ──── オンラインでの作業ということですが、ツールは何を使われたんですか? えび:基本はdiscordのテキストで、たまにボイチャですね。 ──── 画面見せたり動きを確認したいときは適宜つないで。 えび:そうですね。 ──── アイデアが出て、形ができて、実際に作り始められたのはどのぐらいだったんですか? えび:作り始めたのは結構早かったと思います。 レインボーブリリアント:割と早くアイディアが決まったんで。1日目の夜には実装に取り掛かったと思います。 ──── かなりスムーズですね。開発の時間もブラッシュアップの時間も十分にあった感じですか。提出はどのくらいでしたっけ? えび:そんなすごいぎりぎりではなかったと思うんですけど。 Comet:とはいえ期限の1時間前まで微調整はしてましたね。 ──── アプリを作る中でこだわったポイントを教えてください。 えび:僕は、普段もデザインのインターンをしているので、UIは気合い入れて作りたいと思ってました。「大人の」なので、それなりに洗練されたデザインにしないとって思って。あと、機能面では「ぎり使えない」ぐらいを攻めたかったですね。めちゃくちゃ便利だとあれなので。 レインボーブリリアント:そうなの? 私は実際にカンニングができるように、電源偽装モードで画面が完全に真っ暗になるように工夫したり、いろいろがんばりましたよ。 (一同笑) ──── 実にツクアソらしいこだわりですね。このネーミングはどうやって決まったんですか。 レインボーブリリアント:ネーミングはmagochanさんが考えました。magochanさんは普段から変な当て字でしゃべってるんで、そのノリで出てきたんだと思います。 えび:内側から滲み出てきた。 (一同笑) ──── みなさん、今回のツクアソ、参加してみていかがでしたか? えび:短期でのチーム開発自体が初めてだったので、お祭り感というか、わいわいやりながら短期間で密度高く作るのがすごく楽しかったです。またやりたいです。 Comet:2回目の参加だったんですけど、前回は大学1回生で、あんまりスキルもなくて、いろんなことに関われなかったんです。今年もいろいろ先輩に助けてもらってたんですけど、前回よりは自分でできることも増えて、うれしかったですね。去年よりは成長できたと思ってます。 magochan:今回レインボーさんの発案で初めてReactを触りました。どう書いたらいいんだろうって調べて模索しながら書いてく感じだったんですけど、それが楽しかったです。日頃触ったことのない技術を使うきっかけになったのもすごく良かったなと思っています。 レインボーブリリアント:ひさしぶりにハッカソンに出たんですけど、やっぱりハッカソンって楽しいなって改めて思いました。また次回も出たいです。 ──── ちなみに、他のチームで気になったものってありますか? えび:ハード系は全部です。僕が一切ハードを知らないので。出てきた瞬間に「すげー!」って圧倒されちゃいますね。特に印象に残ったのは「スパイツール研究所」さんです。プレゼンのアニメーションとかも凝ってて感動しました。 Comet:僕もハードは知識ないんで、ハード系を2日間であれだけ組み立てるのはすごいなと思いました。 magochan:僕もハード系はすごいなと思います。一部コンセプトが被ってたのであせったりとかもしたんですけど(笑)。なんとかプレゼンで挽回できたので、よかったです。 レインボーブリリアント:私もハードですね。LINECLOVAを改造したやつが特に。私たちの作品は、技術的にすごいことやってるわけじゃないんで、プレゼンに笑いを持たせたりとか、そういうテクニックでやってるところがあるんですけど、LINE CLOVAのTakSanさんとか、純粋に技術力の高さで勝負してて。ああいうの憧れます。 えび:丑の日プロジェクトさんも、集合写真とロゴが出てきて、プロっぽい映像ですよね。ユニフォーム着ててすごいかっこいい。本気度の高さがすごいかっこいいですよね。 ──── シーズン2さんはプレゼンが印象的でした。あれはどうやって作ったんですか? えび:脚本は僕が書いたんですけど、写真入れるとかそういう演出はみんなのアイデアで、わちゃわちゃ話し合いながら作りました。 ──── Zoomの反応も良かったですよね。ツクアソはプレゼンもかなり審査に響く感じがありますし。こなれた発表がすごくよかったです。 えび:ありがとうございます。大人感出すためにスーツ着たりした甲斐がありました。 (一同笑) ──── 次回はぜひ、最優秀賞にチャレンジしていただきたいです。 レインボーブリリアント:今度は3回目の参加になるんで、シーズン3にしようと思います。 えび:さらに強くなったCometに乞うご期待です。 (一同笑) ──── ありがとうございました!
2023年8月17日から25日にかけて「第5回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『大人のカンニング』。 「カンニング」の解釈をどうするかが肝となるテーマでしたが、安定の個性爆発ぶりで、皆さん楽しい作品を見せてくださいました。 さて、第5回も恒例の受賞者インタビューを行いましたよ。 今回は、優秀賞を受賞したチーム「PiedPiper」の3名によるインタビューです。 PiedPiperさんの「GegeloMap」は、ユーザーが夜の街で粗相をした際にその場所を登録。蓄積された情報から、あらかじめ汚物を避けて通ることができるというアプリでした。 大人なら誰しも見かけたことのある夜の路上のゲロ。できれば避けたい、と「みんなが思うもの」という目の付け所が面白く、また大人ならではの発想にも注目が集まりました。 ツクアソ第1回から皆勤賞を誇るPiedPiperさん。今回のプロダクトの開発過程はもちろん、いつもどんな視点でものづくりをしているのかなど、常連ならではの楽しいお話をたくさん伺いました。 PiedPiperさんのプレゼンは 00:38:25 〜 「PiedPiper」メンバー 吉田早希(よしださき)さん 近藤里俊(こんどうりしゅん)さん 髙尾凌我(たかおりょうが)さん ──── 優秀賞おめでとうございます。PiedPiperさんは、第1回からずっと参加してくださってるんですよね。 高尾:そうですね、このメンバーは全員参加です。 ──── 第1回は最優秀賞を取られました。今回のお題は難しかったという声が多いんですが、初回と比べていかがでしたか? 高尾:回を重ねるごとに難しくなっていく印象がありますね。 ツクアソって、ぶっ飛んだものを作らないと勝てない気がするんですよ。他にもハッカソンには出てるんですけど、ツクアソだけ勝ち方がイメージできないよねっていう話をよくしています。頑張って作ったとしても、それが勝てるかは最後まで分からないというか、とにかく予測不可能で、難しいハッカソンだなって。 ──── 他のハッカソンにもよく出てらっしゃるんですか? 高尾:はい。見つけて予定があえば即参加っていう感じで、割と出ています。僕と近藤は学生時代にハッカソンを通して知り合ったんです。吉田は会社の同期で、同じようにハッカソンに積極的だったのでスカウトしました(笑)。 (※第1回ツクアソ最優秀賞受賞時のインタビューはこちら) ──── 開発の過程について伺います。テーマが発表されてからアイデアが浮かぶまで、どのくらいの時間がかかりましたか? 高尾:結構かかりましたね。木曜日の夜にテーマが発表されて、その日のうちには固まらなくて。金曜日は普通に出社してたんで、退勤してから集まってまた話し合いだったんですけど、それでも決まらなかったですね。土曜日の朝方、日付を超えてようやく決まって、制作にとりかかったっていう感じでした。 ──── やっぱり難しかったですかね。 高尾:そうですねー。いつもはアイデアをそれぞれ出しながらHackMDに書いていって、そこから選んでさらにブラッシュアップさせていくってやり方なんですけど、出るからにはどうしても勝ちたいんですよ。 だからいかにぶっ飛んだアイデアにするかっていうので手こずって、納得するアイデアが出るまで時間がかかっちゃいました。 近藤:今回の「大人の」の部分で、アダルトっぽい案まで結構出してたんですけど、なかなか堂々と使えるのが出なかった。 高尾:あと今回、使う側と情報を提供する側、どっちもメリットがあるようなものを作りたい、サービスとして成り立つようなものを作りたいなっていう思いもあったので、そこでもアイデア出しに苦戦したよね。 ──── からの、「GeeGeloMap」ですけど、これはどういった経緯で決まったんでしょうか。 吉田:これは結局のところ近藤がノリで。 (一同笑) 近藤:僕、その日飲んでたんですよ。金曜日の夜のミーティングをオンラインでやってたんですけど、僕、飲み会帰りだったんです。帰り道歩きながらで、金曜の夜だから周りも酔っ払いがいて、それを見てたら思いついたっていうかんじです。 高尾:前回は、「水」がテーマで、水文字から連想して時間経過で消えていくチャットアプリ(※第4回ツクアソ出品作品「ChatMith」)を開発したんですよね。真面目路線でパンチが足りなかった。 吉田:敗因は真面目さ。 近藤:やっぱりパンチだよね。ぶっ飛び具合で最優秀賞をもぎ取ったんだ。 (一同笑) ──── 名前から決めたんですか? 近藤:同時ですかね。そもそも僕がゲロでなんかできないかなって思ったんですよね。 マップ上に事故物件ばっかりが表示される「大島てる」っていうサイトがあるんですけど、それを友達に教えてもらったばかりで、ちょうど思い出して「ゲロ版作ったら面白そうだな」と…。 吉田:ひどい(笑) (一同笑) ──── アイディアが出てから土曜日に提出するまでの開発などはいかがでしたか? 吉田:今回、あんまり大きな詰まりがなかったような。 近藤:GoogleMap APIでちょっとさきちゃんが苦労してた印象がある。 吉田:うん、でもそれぐらいですね。 高尾:機能を絞ったので、比較的スムーズに進めたと思ってます。 近藤:みんなで2ページずつシンプルに分けたんだよね、作業を。サーバーもなかったし。 高尾:サーバーなかったね。firebaseで。今回、実装部分のバックを全てfirebaseに任せて、実装はフロントだけだったんです。だからページで分担して。 近藤:パワーで押し切りました(笑)。 吉田:普段は高尾がバックエンドをメインでやっていて、近藤がデザインフロントやって私もフロントやってっていう感じなんですけど、今回はちょっとイレギュラーな形ですね。でもハッカソンによっては、いつもやってない部分を担当したりとか、柔軟にやってるので、そこまでの苦労はなく。 ──── みなさんエンジニアでいらっしゃるということですが、お仕事では具体的に何をやっていらっしゃるんですか? 近藤:僕の本業は、サーバーサイドエンジニアです。フリーランスでデザイナーとしてフロントも触っているので、ハッカソンではフロントをやることが多いですね。 吉田:私はSEなので割と色々なんですけど、メインはクラウドアプリケーションエンジニアで、クラウド構築とかやってます。学生時代にフロントエンドのインターンをやっていて、フロントが一番好きなんです。なのでハッカソンの場でフロントを楽しみながらやってます。 高尾:僕も吉田と同じくSEです。専門領域はクラウドのインフラ部分で、業務ではOCPとかを中心に触っています。 ──── 第1回から参加されていたということですが、ツクアソに最初に参加したきっかけについて教えてください。 高尾:基本的にネット検索です。常に僕や近藤がハッカソンを探してるんです。どっちが見つけたのかはもう覚えてないんですけど、ネット検索に引っかかったんじゃなかったかな。第1回は、ちょうど社会人になったタイミングで。当時はハッカソンって学生向けがすごく多くて、社会人向けって少なかったんですよね。それでツクアソは見つけた瞬間に「出よう!」って。 ──── 今回参加された他のチームで、特に印象に残ったものってありますか? 近藤:僕らと同じ常連のユニバックさんとか、やっぱり毎回いい作品が多いですよね。完成度も高いですし。 吉田:丑の日プロジェクトさんとか。 高尾:そうですね。彼らとは懇親会でも話しましたけど、年代が近いのもあって、毎回楽しみにしてます。今回はどんなもの作るんだろうって思います。 ──── ハッカソンはお好きということですけど、ならではの醍醐味とか良さはどんなところなんでしょう? 吉田:ハッカソンって大抵時間が極端に限られていて、参加すると大体オールになるんですよね。そういう追い込まれた状況で、がーってコーディングしてる時、もうアドレナリンがドバドバ出てすごい楽しく感じます。 あとは、もう普段の業務でコードを書かなくなっているので、その物足りなさをハッカソンで埋めてるところもあります。スピード感から何から普段の業務と全然違うので、ギャップがもたらす刺激みたいなのが強烈で、終わるとまた欲しくなってしまうという…。 (一同笑) 高尾:吉田が言ったことに僕も同意です。あと、やっぱり物作りが好きなので、それを仲間とできるという意味でも魅力的な場だと思ってます。 ハッカソンでしか触れない、触らない技術もあるので、そこも楽しいですね。他の人のアーキテクチャを見るのも勉強にりますし。ハッカソン、面白いです。 近藤:僕もみんなに近い気持ちですね。マネタイズとか気にせずに物を作れるっていいですよね…。僕自身飽き症なんで、長くひとつのサービスを守り続けるというよりは、短期間で考えて作ってを繰り返す方がより刺激を感じます。 吉田:あと、私、第1回ツクアソが人生初のハッカソンだったんです。それがすごく楽しくて。今思えばツクアソだったからなんですけど、「こんなに楽しいんだ!」みたいなのを知ってしまった、という感じでした。 このチームは、メンバーに教えてもらえる、学べることが多くて、それも楽しさのひとつですね。 ──── ハッカソン愛が強い、いいお話を聞けました。今のところ皆勤賞です。ぜひ次回もご参加いただけますよね。 近藤:もちろん、皆勤賞逃すわけにはいかないですね。唯一のチームですよ、われわれ。 高尾:第10回ぐらいで表彰されるんだろうなぁって思ってます(笑)。 吉田:皆勤賞で。 ──── ぜひお待ちしています。本日はありがとうございました!
2023年8月17日から25日にかけて「第5回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『大人のカンニング』。 「カンニング」の解釈をどうするかが肝となるテーマでしたが、安定の個性爆発ぶりで、皆さん楽しい作品を見せてくださいました。 さて、第5回も恒例の受賞者インタビューを行いましたよ。 今回は、映えある最優秀賞を受賞したチーム「ZEN SELECT」の4名によるインタビューです。 ZEN SELECTさんの作品は、「なるほどですね」という相槌のキーワードを合図に、わからない単語などをAIが検索して、接続したイヤホンからこっそり音声で教えてくれるというアプリ。会議中や商談中に知らないワードが飛び出してきても慌てずに対処してくれる優れものです。 使用中でもばれないように時計が表示されるというところが面白く、情報取得の成否をさりげなくインジケーターで知らせてくれるという配慮も素晴らしい設計でした。画面がスタイリッシュというところも高評価の作品です。 4人中3人が非プログラマという、ちょっと珍しい編成のZEN SELECTさん。チーム結成秘話や、プレゼンまでの道のり、プログラマチームではなく、クリエイターチームならではの視点が面白いインタビューです! ZEN SELECTさんのプレゼンは 00:07:28 〜 「ZEN SELECT」メンバー ZEN さん ずんだ さん suckhal さん ハマ さん ──── ZEN SELECTさんは常連チームのひとつですね。初の最優秀賞受賞、おめでとうございます。チーム結成のきっかけから教えてください。 ZEN:私がyoutubeにチャンネルを持ってまして。youtuberとして活動しているんです。内容としてはカードゲームを取り扱うようなチャンネルでして、そこでずっと1人で配信してました。そのチャンネルのライブ配信に遊びにきてくださったのが今のメンバーです。自分たちでもカードゲームを作ってみようぜって作り始めたのがきっかけですね。 ──── じゃあプログラマの集団というわけではないんですね。 ZEN:そうですね。プログラマはハマさんだけで、ずんださんがデザイナー、suckhalさんがイラストレーター、僕がyoutuber(笑)。 僕(ZEN)が選んだゲームを売る、みたいな意味で「ZEN SELECT」っていうチーム名だったんですけど、やってることが変わっても名前だけは残ってるという形です。 ──── じゃあ普段はこのメンバーで別の活動をしてるんですか? ZEN:ツクアソには第2回からこのメンバーで参加してますけど、「ZEN SELECT」自体はブランド名のような気持ちで、カードゲームをしたり販売をしたりしています。Amazonにも作品を何点か置いていて、カードゲームやボードゲームの販売イベントに参加したりもしています。 ──── 広く活動されてるんですね。ばらばらの4人ということで、他のメンバーの方も簡単に自己紹介してもらっていいですか? ずんだ:ずんだと申します。「ZEN SELECT」にはデザイナーという役割で関わっています。コロナが始まった頃からZENさんのyoutubeを見始めて、コメントしたのがきっかけで交流が始まって今に至るという感じです。 ツクアソでは、アプリのビジュアル面やロゴマークを作ったりしています。普段では、カードゲームのデザインを担当しています。プログラムに関しては、ド素人のド素人です。というか、ハマさん以外の3人全員ド素人。 ──── プログラムと、webに関しても分からないという状況ですか? ずんだ:そうです。そこへハマさんのお声がけがあって飛び込んだのが、第何回だったっけ? ハマ:第3回からだね。俺はプログラムを書くところを全部やる人。 ずんだ:第3回、4回、5回と出て、3度目の出場でようやく最優秀賞とれました。目標達成。嬉しい限りでございます。 ──── 最初の参加から最優秀賞狙ってたんですか? ずんだ:もちろん。どうせやるなら名を残したいじゃないですか。 ZEN:毎回優勝を狙ってますよね。 ずんだ:でも実際見てると本当に面白い人いっぱいいるからねー。いやー最優秀賞、嬉しい。 suckhal:イラストレーターで参加しています。最初にZENさんが遊んでたゲームに商業的に関わったことがきっかけで、この界隈で盛り上がってるZENさんたちをちらちら横目で眺めてたんですけど(笑)。ハマさんに「ゲーム作ろっ」みたいな感じで声をかけていただいたんだったかな。 イラストレーターということで、モチーフだったりの下地を作って、デザイナーのずんださんにぶん投げて組み上げてもらうっていうやり方です。 ただ、今回については描くものがなくて、最初のアイディア出しには参加しましたけども、ほぼずんださんのデザインで出来てますので、今回私は賑やかし要員ですね。 ずんだ:前回、前々回はごりごり描いてもらいましたので、助かりました。 suckhal:今回無理に描かなくてよかったです。だからこそシンプルに綺麗にできたなと。 ──── 確かに、洗練されてました。 ZEN:われわれは明確に役割が決まっているので、ある程度アイデアが固まってくると、特に言わなくてもなんとなく「自分は今回これぐらい」って察知できるんですよね。 ──── ちなみZENさんの役割は? ZEN:このハッカソンに関しては、完全にプレゼンテーション係です。 アイデア出しは4人で均等な力加減でやるんですけど、それ以外のことでyoutuberにできることはそれぐらいですよ(笑)。 アイデア固まって、6割ぐらい方向が決まると、完全に「プレゼンどうするか」にシフトしちゃいます。そこを中心に考えるんですよね。 今回の「なるほどですね。」は、要するにAIが音声で教えてくれる「カンニング」なんですけど、テキストで残るという機能については僕が提案したんです。カンニングとしては音声で教えてもらって完結してるというか、それがかっこよかったんですけど、プレゼンテーションの終わりを考えると、もうひとつ盛りたい。僕がプレゼンで言いたいからこの機能を足してくれっていう提案だったんですよ。サービスとしてどうかじゃなくて、プレゼンの締まりが良くなるからこの機能を足してほしい、というお願いをしました。 そういうふうに、僕からはプレゼンありきでアイデアを足すこともあります。 ──── あのテキストでログが残る機能は「かゆいところに手が届く感」があったと思います。 ZEN:あれがあるのとないのでは、最後の5秒で喋ることがだいぶ変わってくるんです。最後のほうまで「それいる?」って議論になりましたけども。 ハマ:俺とバトった(笑)。 ZEN:プログラマ的には「いらん」だけど、プレゼン的には欲しかったんですよ。「おっ」って思ってもらいたいわけじゃないですか。 ハマ:いらん!と思ったけど、今回作るものあんまりなくて余裕あったから作って差し上げました。 ZEN:とにかくプレゼンの時に「おっ」て思わせるには、を考えるので実用性の部分が飛ぶことがあるんですよね。 ずんだ:実用性に走ると「いらん」だろうけどね。まあ大体こんな感じでやってます、「ZEN SELECT」は。 (一同笑) ──── 役割がはっきりしてて、この人ならやってくれるだろうという信頼がお互いにあるんですね。 ZEN:少なくとも僕は全員に対して信頼がありますね。きっとこの機能つけてくれるんだろうとか、こんなフォント作ってくれるんだろうとか。特にプログラムはもう完全に任せる感じですよ。実際ハマさんなんか、「できないことは何もないんだけど」ってところから話がスタートしますし。みんなどんと構えてくれるから、好き勝手言える。 ──── 「なるほどですね。」のアイデアはどなたが思いついたんですか? ZEN:ハマさんですね。カードゲーム作る時もそうですけど、最適解を出してくるのはプログラマのハマさんが多い印象です。もちろんみんなでディスカッションした中で出てくるものではあるんですけど。 ずんだ:結構悩んだんだよね。 ZEN:そうね。アイデア自体は、それこそマッチングアプリとか下世話なものまでいろいろ出てきて。でも出てきたアイデア全部集約すると、「何かをきっかけに、疑問に対する答えをくれる」っていうのが、今回のお題の最適解だよねっていうことに、ハマさんの力で気づいたんですよ。最終的に「なるほどですね」っていうワードもたしかハマさんが。 ずんだ:あとさ、割と最初の方で、紳士淑女っぽい、大人っぽい立ち振る舞いにしようっていうのもテーマにしたよね。 suckhal:「大人の」をそういう捉え方でやってみようかっていうことにしたんだよね。 ZEN:そうそう。上品に。大人っぽくっていうところからスタートして、でも「大人っぽい」と「カンニング」はミスマッチなんですよ。どうしても「カンニング」って下世話なほう、普段見れないもののほうに行くから。だからちょっとラインを下げて幅を広げたのが今回の感じですね。 ──── そうやってアイデアを揉んでくださったんですね。 ずんだ:ここがプログラムできない3人にとっても、喋りどころっていうのもあって。 ZEN:ハマさん、なんであれが出てきたんですかね? ハマ:俺がコミュ障だからじゃない? ZEN:あー、そんな話出たかも。「なるほどですね」って、例えば目上の人に言っちゃいけないような、どっちかっていったら失礼なワードなんだろうけど、でもそれにすがる瞬間があるよね、みたいな話。 ずんだ:履歴で「コミュ障がよく使うあいづち」って書いてあるわ。 (一同笑) ZEN:でも、使っちゃいけない言葉だからこそ面白いと思ったんですよ。それがトリガーになってるのが。 ハマ:それはね、ZENがコミュ障じゃないからだよ。あのプレゼンの場にいたほとんどのエンジニアは、「確かに」と思ったはず。 ZEN:でもそれ、大事ですよね。あの場にいるメンバーに刺さらないといけないわけだから、プレゼンというものは。だからラインとしてはちょうど良かった。あれ以上掘ったらもう伝わりづらくなってしまったと思います。 僕らはいつも深掘りしすぎちゃう傾向があるんですよね。 ──── アイデアを掘り下げ過ぎるということですか? ZEN:そうです。でもそれだと外し過ぎるんですよね。思えば第3回、第4回はそのせいで場に刺さらなかったんじゃないかと思ってます。 もしこの第5回が最初の参加だったら、「なるほどですね」では行かなかったんじゃないかな。「なるほどですねって普通すぎない?」「みんな落ち着くとこじゃん?」ってなって、もう一歩踏み込んじゃう。ひねろうとしちゃうんですよ。こういう方向にシフトできたのも、過去の参加実績のたまものですね。今思えばですけど。 ──── どれだけ見てくれる人に刺さるかを考えるということですね。 ZEN:優勝狙うのであれば。もちろんそういうの関係なく全部持ってちゃうプレゼンやアイデアもあるとは思うんですが、そうじゃなくてみんなに共感してもらえそうなラインを考えるのもあるよなって。 それは2回目の参加(第4回)時に感じてました。前回、絶対優勝できると思ってたんですよ。でも全然優勝できなかったから。「違うんだ!」って。 ハマ:何の賞もなかったもんね、前回。 ZEN:「水差し係長」がんばったのに。あのときにsuckhalさんに描いてもらったキャラクターを、今回のシチュエーションにマッチしてたんでさりげなく登場させました。それもあって今回はまさに集大成だったかもしれませんね。 ──── 非常にシンプルスタイリッシュな画面でしたが、デザイン上のこだわりがあったんですか? ずんだ:機能的にすごくシンプルで、いつもだとここにデザインで小ネタ入れてやろうかとか、ちょっと面白いコンテンツ入れてやろうかと思うんですけれども、画面が覗かれたときに気づかれない「普通の時計」にする必要があったので、いろいろ抑えました、 ──── デザインも方法もあえてのシンプルで、かなり早めに仕上がったんですね。 ずんだ:デザインについては、昼間ちょっと仕事サボってぱぱっと。1時間くらいでできたんじゃないかな、ロゴ含めて。 ZEN:毎回そうですけど、デザインはもはやディスカッションしないですもんね。ずんださんが投げてきてくれたものを即、Goで。どっちかっていうと、プログラムのハマさんとずんださんのディスカッションが多いかな。 ずんだ:どうだろう。中身は最初のディスカッションで共通認識できてるし、僕が画面共有しながら作って、「こんな感じでいくよ」「OK」っていうリアルタイムのやりとりだけで。 ZEN:何のスキルもない僕からするとなんか知らんうちにできてきてる。 ハマ:作ってる時って大体全員いないんだよね。できあがると出てくるんだよ。 (一同笑) ──── 全体的にかなりスムーズにできたんですね。提出もトップでした。 ハマ:トータル1時間で作って、デザイン当てるのに使った時間も、多分2〜30分くらいだから。 ZEN:当てるデザインが少なかったっていうのもありますよね。 ハマ:それでもツクアソ参加歴から言えば一番時間がかかった回だよ。それで毎度LINEスタンプ作ってみたり、結構いらんことしてるよね。 ZEN:そういうところを楽しむチームなので。 ──── 他のチームの作品で気になったものはありましたか? ずんだ:プログラムのことが全然分からないので、単純に面白いものが印象に残りがちなんですよね。「GegeloMap」とか、そういうやつが。 ツクアソは、ただただ、「すげー」って思うものばっかりですね。ほんと皆さん、よく考えますよね。 suckhal:僕はLINE CLOVERを魔改造したやつですね。うちにもいるので、CLOVER。呼びかけると「サービスは終了しました」って言うんですよ。悲しみがある。 (一同笑) ZEN:うちのチームは非プログラマばっかりなんで、他のチームの皆さんと判断基準がちょっと違うかもしれないですね。みんなクリエイターではあるんですが、視点が違うんだと思います。 ツクアソはプログラマのお祭りだけど、クリエイターの集まりでもあるから、もうちょっと幅広いジャンルでクリエイションする人がチームにいると、より面白いものが生まれるのかも、と思うんですよね。審査の視点にしても。 ずんだ:物を作りたい気持ちは一緒だもんね。面白がる気持ちも同じ。 ──── 次回も参加していただけるものだと解釈しますけど、今度はハードを作るというのもありなんですよね? ZEN:なにしろスタートは「物作ろうぜ」ですからね。ハマさんも「キットはある」って言ってるし。プレゼンで見ててもインパクトあって面白いよね。人が思いつかないもの、狙いたい。 ずんだ:そうだね、プレゼンが面白くなる。 suckhal:やりたいね。アイデアでもいつも出るし。 ──── では、次回もぜひよろしくお願いします!ありがとうございました!
2023年8月17日から25日にかけて「第5回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)を開催しました。 夏真っ盛りの第5回、相変わらずのユニークなテーマを前に、外気温と同じくらい熱い戦いを繰り広げていただきました! テーマはすっかり定着した投票制で決定。さて、今回のテーマは… \じゃかじゃん!/ 開発期限はテーマ発表から48時間後の、2023年8月19日(土) 20:00。指定の応募フォームから作品を投稿し、動作する作品はすべてファイナリストとなります。 今回は以下の13組となりました! なるほどですね。(ZEN SELECT) すみません、 ちょっと急な連絡が…!(nitami) スマート会計(チーム富士山) SPY TOOL(スパイツール製作所) 蚊ン忍具(シーズン2) お言葉サロン(コースター) To RAVEる -とらべる-(ユニバック) BanBanBan(まっつぁん) GegeloMap(PiedPiper) Don't cunning! Think.(ぅゅ...ぷんぽぷんぽ) 大人の事情で使えなくなった LINE CLOVA をズル賢く復活させる演出⁉(TakSan) さだこちゃん(丑之日プロジェクト) ぶんしょう更生(くま) ファイナリストたちは、それぞれ3分のプレゼンを実施し、コメンテーターと参加者全員が視聴。投票フォームに得点を記入するという審査方法です。 発想力が問われる今回のテーマ。難しさをものともせず、期待を大きく上回る面白楽しいプロダクトが満載でした。 結果発表 すべてのチームのプレゼンテーションが終わると、集計が行われ、得票数が一番多いチームが最優秀賞となります。 ちなみに賞品はこちら。 最優秀賞:amazonギフト券10万円分 優秀賞:amazonギフト券5万円分 特別賞:作ったものにちなんだナニカ 学生賞:amazonギフト券1万円分 さて映えある最優秀賞は… チーム「ZEN SELECT」による「なるほどですね。」でした! 「なるほどですね」という相槌のキーワードを合図に、わからない単語などをAIが検索して、接続したイヤホンからこっそり音声で教えてくれるというアプリ。会議中や商談中に知らないワードが飛び出してきても慌てずに対処してくれる優れものです。 使用中でもばれないように時計が表示されるというところが面白く、情報取得の成否をさりげなくインジケーターで知らせてくれるという配慮も素晴らしい設計でした。画面がスタイリッシュというところも高評価の作品です。 次点となる優秀賞は、以下の2チーム。 チーム「PiedPiper」さんの「GegeloMap」は、ユーザーが夜の街で粗相をした際にその場所を登録。蓄積された情報から、あらかじめ汚物を避けて通ることができるというアプリでした。 大人なら誰しも見かけたことのある夜の路上のゲロ。できれば避けたい、と「みんなが思うもの」という目の付け所が面白く、また大人ならではの発想にも注目が集まりました。 「シーズン2」さんの「蚊ン忍具」は、モスキート音を使ってモールス信号を送るというアプリでした。試験監督には聞かれずにクラスメイトにだけに分かる信号を送るという発想が画期的でユニークです。 「試験のカンニング」という非常に学生らしいストレートな発想ながら、モスキート音を使うというギミックが大変面白い作品です。モールス信号を解読できないと全く役に立たないという絶妙なふざけ具合も高評価でした。 運営のお気に入り。個性がきらりと光るプロダクトに与えられる特別賞は、「TakSan」さんの「大人の事情で使えなくなったLINE CLOVAをズル賢く復活させる演出!?」です。 「カンニング=cunning=ずる賢い」という単語の意味から着想した作品。サービス終了してしまったLINE CLOVAを、Raspberry Piを使って魔改造して再び蘇らせるというプロダクトでした。 ツクアソ常連のTakSanの確かな実力と斜め上を行く発想力がいかんなく発揮されており、高評価となりました。何もかもが異彩を放っている作品は、TakSanのProtoPediaにも公開されています。 そして、学生として参加された方の中から選ばれる学生賞。今回は学生の参加者が、既に優秀賞を受賞されている「シーズン2」さんだけということもあって、割愛されました。 次回、より多くの学生参加者もお待ちしております!! * * * 今回のテーマは「大人のカンニング」でした。 大人ともなるとカンニングをしたいシチュエーションも実にさまざまです。今まで以上に自由な発想が多くみられ、また技術を全力で無駄遣いしてくださる姿も大変多くみられました。まさにツクアソの本懐を果たしていただいた回になったと思っています! 今回も全力で一緒に遊んでいただき、どうもありがとうございました。 みなさんおつかれさまでした! 最後に恒例の集合写真です。「遊ぶ」の「A」をみんなで掲げての記念撮影でした。お疲れ様でした! 当日の様子は以下からご視聴いただけます。 謝辞と次回の予告 早いもので、ツクアソも第5回となりました。こうやって毎回参加してくださる方がいることで成り立っています。本当にありがたく思っております。 参加していただいたプログラマの皆さん、賞品提供に協賛していただいた株式会社ソニックガーデン様、今回もありがとうございました! 半年ごとの定期開催が定着しつつあるツクアソハッカソン、次回は2024年2月開催予定です。 以下をフォローして頂けるとお知らせします。お楽しみに! https://twitter.com/tsukuasohack
2023年2月9日から17日にかけて「第4回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『水!!』。このシンプルかつ自由度の限りなく高いテーマを前に、受賞者たちは、実に個性豊かな作品を見せてくれたました。そんな彼らに行った恒例の受賞者インタビューを公開します! 今回は特別賞を受賞したチーム「H to O」さんから、YYさん、EIちゃんさん、赤い色素さんのお三方へのインタビュー。 チーム「H to O」の開発した「ハイドロップ」は、4種類の「元素ぷよ」を合体して、H2Oを合成していくゲームです。いろんな原子が登場して、水分子以外も合成できるところも面白いポイント。馴染みのあるUIですが、発想が楽しく、デザインなども総じてクオリティが高く魅力的な作品でした。 H to Oさんのプレゼンは 01:29:37 〜 「H to O」メンバー YY さん 赤い色素 さん EIちゃん さん ──── 学生賞受賞、おめでとうございます。 赤い色素:ありがとうございます、よろしくお願いします。 ──── 早速ですが、どういった経緯で結成されたチームなんでしょうか? YY:大学の同じサークルに所属している5人で構成されています。サークル自体はもうちょっと大人数なんですが、ツクアソに出るにあたって募集をかけて集まったのがこの5人です。 ──── ツクアソに出るのを提案したのはどなたなんですか? 赤い色素:リーダーですね。 YY:僕です。Connpassと、あと、ハッカソンの情報をキャッチしてつぶやいてくれるbotがTwitterにあるんですけど、それをフォローしているので、そのあたりから情報を得ました。 ──── じゃあ、もしかして前回までもご存じでした? YY:いや、Connpass自体には入ってたんですけど、実はweb系に関しては、今までハッカソンに出れるほどの実力がなかったんで、あんまり活用してなかったんです。それまではゲーム系のハッカソンに出てました。今回はメンバーも集まったし挑戦しようかなと思って。 ──── そうなんですね。大学のサークル仲間のチームとおっしゃってましたが、どんなサークルなんですか? 赤い色素:一言で言うと、アプリを開発する団体です。各々本当に作りたいものを、作りたい人と一緒に、好きなように作るというのをモットーに活動しています。 ──── かっこいい。このチームで他のハッカソンに出たこともあるんですか? 赤い色素:このチームではないです。サークルの他のメンバーで組んだチームではちょこちょこ出ていて、賞をいただくこともありました。 ──── それはすごい。今回も学生賞受賞で、優秀なサークルですね。 赤い色素:ありがとうございます。 ──── しかし、他のハッカソンと比べると、ツクアソはかなり毛色が違いますよね。今回のこのテーマ、どうでした? EIちゃん:いやー、難しいなぁっていう感じで。アイデアがなかなか出なくて大変でした。「温泉」「ミネラルウォーター」とかいろいろキーワードは出たんですけど、それをゲームに落としこむとなると難しくて。みんなでずっと「難しい」って言いながらアイディア出ししてました。 ──── 木曜日の夜にテーマが発表されて、すぐ集まってアイデアを出し合ったんですか? EIちゃん:そうです。とりあえず何を作るか決めなきゃいけないから、みんなでチャットしながら「やばい、やばい」って(笑)。開発期間も短いし、とにかく寝るまでに決めようと。 ──── じゃあ一応その日にアイデアは固まったんですね。寝る前に(笑)。何時に寝たんですか? (一同笑) EIちゃん:12時は過ぎてました。1時とかだったのかな。そこでいったん寝て、金曜日に開発を始めました。 ──── 5人チームとなると、結構きっちり役割分担しての開発ができますよね。 YY:そうなんですけど、金曜日は用事がある人もいたんで、とりあえず手を動かせるメンバーがメインで作り始めて、用事がある人は後からできることを拾っていくような感じでした。 赤い色素:でも基本的には、私がデザイン系をやって、残りの4人でゲーム本体のコードを書いてもらうっていう感じだったよね。 EIちゃん:そうだね。で、大体できたのが土曜日。 ──── 土曜日の段階では概ね中身はできてる、みたいな。 EIちゃん:90度にしたら消えるとか、二酸化炭素を直線上にしたら消えるとかの法則を土曜日に。基本的な落ちゲーとしてのフォーマットは金曜日にはできてました。 ──── あのデザインのイメージもスッと決まったんですか。 赤い色素:デザインは、ぷよぷよみたいなコンセプトだったので、モチーフが水だし、水滴というか、水まんじゅう的なものを使おうというのはすぐ決まりました。 ──── 最終的に応募したのっていつぐらいでしたっけ。あ、割とギリギリ(笑) EIちゃん:ギリギリでしたね(笑)。やばいやばいっていいながらビルドして。 (一同笑) ──── すごく面白かったですよ。作業時のコミュニケーションって、Zoomですか?それともチャット? YY:Gatherっていう、バーチャル空間に集まります、基本は。でも連絡事項とかはDiscordにサーバー立ててます。そこでチャンネル分けして情報は分割しつつ、共有してました。 ──── ちなみに皆さん、実際に会ったことはあります? YY:俺、ない気がする。 赤い色素:私とEIちゃんは何回か会ったことあるんですけど。 YY:サークル自体が、行っても行かなくてもいい感じなので。もともと僕自身がコロナ禍に入った世代なので、オンラインだけでもいいっていうか。最近はようやく対面で活動ができるようになったので、対面で参加してる人もいるんですけどね。 赤い色素:そもそもオンラインが中心のサークルで、普段の活動もGatherで完結してる人が結構いるんです。それこそあんまり会ったことない人もいて当たり前というか。 ──── そうですよね、作ってるものがアプリだから、確かにオンラインで完結しますね。 YY:そうなんです。そこに困難があまりないという。 ──── なんか新しい。まあ、ツクアソ運営も全国各地にいるので似たようなものなんですけど。 (一同笑) ──── 他のチームの作品でお気に入りのものってありましたか? EIちゃん:「Splatwash」です。ちょっと異色だったような気がして「すげー!」と思いました。最初はみんな5点以下つけてやろ、とか思ったんですけど、思わず10点つけちゃいましたね。 (一同笑) 赤い色素:私は最優秀賞の「ダムダムビーバーズ」でした。あれはすごかった。もう見た瞬間、「これ負けたわ」と思っちゃって。あれを全部学生で作ってるのもすごいし、たった3日間で作ったっていうのもすごいなぁって思います。デザインとか、ゲームとしての機能がすごくちゃんとしてて、純粋に「遊びたい」と思いました。 YY:僕も「Splatwash」ですね。どんなゲームでも適用できるっていうのがすごい。ディスプレイに対して作用しているから、応用性が高いしすごくいいなって思いました。既存のゲームは残しつつ、プラス要素で遊べるっていうのがめちゃくちゃ面白くて。 ──── ひげだるまさんはいつも楽しい作品を見せてくれるんですよ(笑)。他の参加者の作品を見られるのもハッカソンの醍醐味ですよね。みなさん、ツクアソ全体を振り返って、楽しんでいただけましたか? 赤い色素:他のハッカソンと違って、ゆるい雰囲気が楽しかったです。あと、今までもっと開発期間が長いハッカソンが多かったので、3日間という短さが新鮮でした。大変でもありましたけど、このスピード感の中で作るのもすごく面白かったな、と。 EIちゃん:テーマは「水!!」ってことで、難しかったんですけどやっぱり楽しかったですね。何を作るか悩むのは、もういつものことなので(笑)。開発期間が短いっていうのは、赤い色素と同じく新鮮に感じたというか大変だったというか。すごい焦りながらやりました。 YY:僕も楽しく過ごせました。大変でしたけど、大人数の利点生かして役割分担しつつ開発できたし、アイデアもみんなで悩めたし(笑)。 ──── 次回のツクアソは8月を予定しています。ぜひまたご参加いただければ。 YY:はい。院試があるので、余力があれば(笑)。 赤い色素:ぜひまた参加したいです。 EIちゃん:他のサークルメンバーにもやってみたい人がいるかもしれないので、ぜひ。 ──── ありがとうございました!
2023年2月9日から17日にかけて「第4回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『水!!』。このシンプルかつ自由度の限りなく高いテーマを前に、受賞者たちは、実に個性豊かな作品を見せてくれたました。そんな彼らに行った恒例の受賞者インタビューを公開します! 今回は特別賞を受賞したチーム「インコーズ」さんへのインタビュー。 かなり複雑なリズムも刻むことができる鹿おどし。メトロノームとして、またドラム代わりとして、他の楽器と組み合わせてライブ演奏を楽しむことも可能です。インコーズさんは親子ユニットで、中学生のmemetanさんが主にプログラムを書いています。 メトロノームとして普通に実用性があるところが面白いとの評価。シュールで面白い、ポテンシャルがあり今後の展開にも期待できる、中学生がここまでプログラムを書いているところもすごいというコメントがありました。 インコーズさんのプレゼンは 00:52:24 〜 「インコーズ」メンバー とり子 さん memetan さん ──── まずは、特別賞受賞おめでとうございます。 とり子:ありがとうございます。 ──── まず、鹿おどしという発想に驚いたんですけども、これ言い出したのはmemetanさん? どうして鹿おどしになったんでしょう? memetan:僕の発想です。なんで鹿おどしだったんでしょうね…? 最初に「水!!」って聞いて、すぐに鹿おどしが出てきたからなんですけどね。 ──── 「水!!」からすぐに「鹿おどし」? memetan:すぐだったね。 とり子:うん、すぐに言ってた。 memetan:なんか「水」っていったら鹿おどしじゃない?ってなって、「じゃあそれで」。 一同笑 ──── 素晴らしい(笑)。リズムを刻むようにしようと思ったのは、作り始めてからなんですか? それとも最初から鹿おどしにリズムを刻ませるイメージができてたんですか? とり子:memetanの中では最初からああいうイメージがあったみたいですね。私の中では、ちょっと速度が速くなったり遅くなったりの調整はできるけど、ぐらいのものができるんだろうというイメージでいたので、びっくりしました。こんなの作ってたの? って(笑)。 ──── 普通に生きてて、中3までに(※memetanさんは現在中学3年生です)鹿おどし、触れますかね(笑)。大人のわれわれでもものすごい久しぶりに存在を思い出しました。 memetan:最近見たサンドイッチマンのコントに出てきたような気がしますけど、概念自体はもっと前から知ってましたね。どこで最初に知ったのかは自分でも分かんないです。 一同笑 ──── このハッカソンに参加しようと思ったきっかけについて教えてください。 とり子:最初に参加したのは第2回なんですけど、私が誘ったのがきっかけです。多分、Twitterか何かで情報が流れてきたんだったんじゃないかな。ハッカソンというものに参加したいなっていう気持ちがずっとあったので、memetanを誘ってみたら、結構乗り気でやってくれて、しかも楽しかったので、次もあったらやろうねっていう感じで。前回は都合が合わなくて出れなかったんですけど、今回は満を持して。 ──── そして特別賞を獲得と。さっきもおっしゃってくださいましたけど、楽しかったですか? memetan:楽しかったです。 ──── それが何より一番ありがたい言葉です。面白いと思った作品は何かありましたか? memetan:チャットGPTで作ってた人(TakSan「水をぶっかけてやりたくなる事ってありますよね!!」)とか、ひげだるまさんの作品(ひげだるま「Splatwash」)とか、見てました。 ──── 常連さんですね。お分かりだとは思いますが、ツクアソはああいった感じです(笑) とり子:あんまり、社会課題を解決するプロダクトを、とかいうのは向かないんですよ。小中学生向けのコンテストにもいくつか出してて、ときどき賞をもらったりはしたんですけど、大体が、社会課題を解決するとか、みんなのためになるとか、テーマがそういう視点なんですよね。でもそういう気持ちはあまりなくて、大事なのは自分が作ってて楽しいかどうか。 memetan:そう。 ──── ツクアソの本質はそこです。プログラミングで遊びたい、これが原点ですから。「デジタルししおどし」はまさにコンセプトにぴったりでした。 一同笑 ──── テーマの発表からプレゼンまで、どんなふうに過ごしたか教えていただけますか? とり子:別件があって、オープニングは参加できなかったんですよ。テーマはTwitterで確認して、すぐmemetanとDiscordで会話して。金曜日はお休み取ってたので、朝から取り掛かろうと思ってとりあえずテーマの共有だけ。 memetan:鹿おどしはすぐに決まったので。 とり子:言われるがままに100均などで買い物して、あとはもうmemetanが。プログラムもいつの間にか書いてくれたので、私はちょっと工作と、画面のCSS整えたくらいなんです。でも、プレゼンは全面的に私です。 memetan:プレゼンは苦手…。 とり子:すごい頑張ったんですよ、ライブ演奏。 ──── ものすごく良かったですよ。じゃあもう、方針が決まったら一直線に作って完成に持ってくって感じだったんですね。 とり子:とにかく興味のあることに対する集中力がすごいもので。 ──── しかしこれだけプログラムを中学生が書いてるということが衝撃でした。memetanさんがプログラムを始めたのって、いつ頃なんですか? きっかけとかは…。 とり子:もともと小さい頃から、物の仕組みに対する興味が強い子だったんです。時計の中を開けて見せろって言われたりしてました。だからきっとパソコンなんて与えたらハマるんだろうな、とは思ってたんです。それで…プログラミング教室に行ったのが始まりだよね? memetan:ううん、その前にお母さんが教えた。 とり子:あそう? memetan:そう。最初に、ちっちゃいHTMLとJavaScriptでなんか書いてくれたじゃん。時系列はあんまり覚えてないけど、多分そっちの方が教室より先だったと思う。 とり子:らしいです(笑)。 ──── とり子さんもエンジニアでいらっしゃるんですね。 とり子:そうです。システムエンジニアとしてプログラム書くのを仕事にしてます。memetanは、最初はScratchとかビジュアルプログラミングをやってたんですけど、どんどん吸収していって、もう今は私なんか追い越しちゃってますね。時々仕事の相談をするぐらいなんです(笑)。 ──── すごすぎる。Scratchから始まって、遍歴など教えていただけますか? memetan:Scratchは最初ちょっとだけで、その後VBを教わって、C#になって、JavaScriptになって、TypeScriptになってっていう感じです。今回のフロントは、C#にHTMLとJavaScriptをそのままFlashに書き込んで、webサーバとして配信するようにしました。 ──── 一体何を食べて育ったらこんな有望な人材に…。 とり子:とにかく興味が偏ってて、それしかやらない感じです。生活して行く上で。 memetan:パソコンする、寝る、を繰り返してます。 とり子:学校の勉強は大嫌いだもんね。僕はこんなにやりたいことがあるのになんでこんな面白くないことをやらないといけないんだ!って。 memetan:勉強は面白くない。 一同笑 とり子:だからもう、仕事をもらうような話もあるので、そうやって暮らしていくつもりで。 memetan:面白いことをして生きていきたいので。 ──── 若干15歳でもう稼ぎが。すごいしか言えないです。でもそうですよね、楽しく暮らして、そしてまた楽しくツクアソに参加していただいて。次回は8月なんですけど。 とり子:ぜひ参加したいです。よろしくお願いします。 ──── ありがとうございました!
2023年2月9日から17日にかけて「第4回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『水!!』。このシンプルかつ自由度の限りなく高いテーマを前に、受賞者たちは、実に個性豊かな作品を見せてくれたました。そんな彼らに行った恒例の受賞者インタビューを公開します! 今回は優秀賞を受賞したひげだるまさんへのインタビュー。 ひげだるまさんの「Splatwash」は、イカが墨を吐いて黒く汚れてしまった画面を、専用の放水デバイスできれいに掃除するという教育型ゲームです。手持ちのゲーム画面にクロマキー合成用の映像を重ねて画面出力する仕組みで、ゲームプレイヤーと放水デバイスプレイヤーの2人1組で遊ぶことができます。 驚きのあるプロダクト制作に定評のあるひげだるまさん。くわしい開発の過程や苦労話、プロダクトへの愛など、軽妙なトークが冴えるインタビューになりました! ひげだるまさんのプレゼンは 00:31:54 〜 ──── 2回目の受賞ですね。優秀賞おめでとうございます。いつもながらインパクトのある作品をありがとうございました。 早速ですが、テーマが発表になってから作品ができるまでについてお聞きしたいと思います。あのアイデアはすぐに出てきたんですか? ひげ:今回はもう全然浮かばなかったですね。「水!!」のテーマ、すごく難しかったです。まず、机の周りに水要素が一切なくて。 (一同笑) ──── Twitterでも苦戦してる様子が伺えました。 ひげ:そうなんですよ。どうしようかなと思って、お酒飲んだら出てくるかなと思ったんですけど、飲んでも出てこないし(笑)。それでもう仕方ない、時間もないしってことで、とにかく手に届く範囲にあるものをから捻り出すっていう感じにしました。 ──── それでこんな作品が出てくるんだからすごいですけどね。ところでこれ、発音は「スプラウォッシュ」ですか? ひげ:私も実は自信を持って読めません(笑)。今回の作品は名前が完全に後付けなんですよ。普段は作品名を考えてから物を作ることが多いんです。イメージが固まった状態で作るってことですね。例えば前回のやつ(第2回ツクアソ 優秀賞受賞「家出時計」)も、名前を先に思いついて、その後に作ったんです。発表も「こんな感じにしようかな」とか、ある程度イメージしながら、どういうものを見せたいかっていうのを固めてから作ったんですけど、今回は全く浮かばなくて。 ──── 試行錯誤しながら、まず物ができて、そこから名前を付けたんですね。 ひげ:そうですね。応募するために名前を付けたって感じです。「スプラトゥーン」っぽいし、「スプラ」で「洗う」んだから、くっつけちゃえっていう。そんな造語なもんだから、発音が定まってなくて、発表の時の動画を見返してもらったらわかるんですけど、ちょっとゴニョゴニョって言ってると思います(笑)。 (一同笑) ──── それにしてもここまでにたどり着くのはかなり大変だったんじゃないでしょうか。結局どういうきっかけで進んでいったんですか? ひげ:この前の週ぐらいに、TwitterでWiiのコントローラーを使うっていう話題を見かけたんですよね。それ、昔やったことあるなー、と思って、そしてふと机を見渡すとヌンチャク(「Splatwash」で使用したWiiのコントローラー)が置いてあってですね…。 ──── 手の届く範囲に転がってたんですね、アイデアが。 ひげ:そうそう(笑)。「出しっぱなしだったな、これ使っちゃおう」って。最初は、M5Stackを使って銃みたいに打てたら面白いかなと思ったんですけど、センサーの精度的なところで時間がかかりそうだったんで、ヌンチャクに逃げました。 ──── なるほど。それでもかなり斬新だなという印象でした。思いついても、そこから先、組み立てていくのが大変じゃないですか。 ひげ:私もOBS Studioをこういうふうに使うのは初めてで。そもそもクロマキーを使ったのも実は初めてだったんです。クロマキーの使い方から調べながら作りました。本当にできるのか検証しながら、ゲームっぽくアレンジしていくところにも時間をかけて…。そんな感じだったんで、前回ハードをたくさん触った感じから言うと、今回はソフト開発が多めでしたね。 ──── アイデアが出てから全部作り切るまでにどのくらいの時間がかかったんですか? ひげ:金曜日になんとかアイデアを捻り出して、あとはソフトウェアのところだったんでゴリゴリと作って、なんとなくそれっぽいのができるようになったのが日付が変わって土曜日に入ったぐらいでした。それで今度はガワの、見た目をきれいにしようと思って、買い出しに出たのがお昼ぐらいかな。近くの100均に箱を買いに行きました。そこからガワを作りつつ、もろもろ微調整して。とはいえ応募自体はそんなギリギリじゃなかったはずですね。 ──── プレゼンも、前回に増して面白いものでした。あれは実際にライブでプレイされてたんですよね? ひげ:後ろで娘にやってもらっていました。これ、一人では遊べないプロダクトなので…。ファイナリストプレゼンが始まったぐらいから、ずっと娘に練習してもらってたんですよ。最初プレイが下手過ぎて、ひとまず1面クリアできるくらいになってもらわないと成立しないので、ひたすら練習(笑) ──── プレゼン中に、字幕も出してましたよね。 ひげ:そうですね、あれは全部OBS Studioを活用しています。基本的にデモ主体でプレゼンをしたい人なんですよ、私。とにかくデモを見てほしいんです。前回は物自体を見てもらいたいってことで紙芝居だったんですけど、今回は全部OBSで、タイトルや機能説明も全部中に入れて、切り替えでやりました。本当はもっと凝りたかったんですけど、ちょっとそこまで作る余裕がなくて。 ──── いやいや、時間の制限がある中で新しいところにチャレンジして、デモもきっちり動くところまでまとめてくるのはさすがでした。 ひげ:ツクアソは、作る部分と発表がきっちり分かれてるのがいいですよね。発表に対してどういうふうに持っていくかって時間取れるのはこのハッカソンならではだと思います。作って応募してすぐプレゼンだったら、ここまでのデモはできなかった。 ──── あえて録画にせずに、ライブでデモもやるということにこだわりがあるんですか? ひげ:作ったもの見てもらいたいっていうのが大前提です。動画でもいいんでしょうけど、やってて楽しいのはライブデモなんですよね。緊張感があるっていうか。私が制御ができない娘という存在が、どういうプレイするか(笑)。もうドキドキしながらやって、それが楽しい。 ──── ハプニングを含めて楽しむんですね。ご自身が楽しんでいらっしゃるなっていうのがすごく伝わって、見てる側もまたすごく楽しかったです。 ひげ:私はどうしてもデモがやりたくなるから、はなからデモがしやすいものを考えることが多いですね。最後どういうようにして見せようかっていうところを中心に考えちゃう。 ──── 全部ひっくるめてすごく楽しい作品でした。今回習得したクロマキーとか、次回にも使えそうな感じですよね。 ひげ:そうなんですよ。いろいろ活用できそうだなと思って。うまいこと使えばもっと面白いことができそうです。テーマにもよりますけどね。 ──── 運営が言うのもなんですが、ツクアソはテーマが難しいですよね(笑)。今回のテーマはどうでしたか? ひげ:いやー、難しかったです!でもみんなすごいですよ、面白い作品ばっかり。特に私は、元素をくっつけるぷよぷよみたいな、「ハイドロップ」。あれが大好きで。Twitterでも上げていらっしゃって、プレゼンの前に遊ばせてもらってたんです。楽しかったなー。 ──── 今回のイベントは学生の方がすごい活躍をされてましたよね。最優秀賞も学生の方でした。 ひげ:うまいことチームとして動いてるなっていう気がします。役割分担しながらみんなが力が発揮できているから、短い期間でこんな完成度高いもの作ってくるんですよね。すげーなと思います、学生さん。 ──── 若い方もどんどん増えて、ツクアソ自体が盛り上がっていくのは嬉しいことです。ひげだるまさんにもいつも盛り上げていただいて。 ひげ:せっかく参加してるんで、盛り上げないとなって思って。私、誰よりTwitterでつぶやいてますもんね。 ──── 公式がもっとつぶやけるようにがんばります…。 (一同笑) ──── 次回ツクアソは8月を予定しています。いかがでしょう。もちろん出ていただいて(笑)。 ひげ:ツクアソすごく楽しいんで、ありがとうございます。でも毎回出るの申し訳ないとも思ってるんですよね。おっさんが活躍するのはちょっとっていうのもあって…。もっと若い子にも出ていただいて。 ──── いやいや、ツクアソは誰が活躍するかというよりは、どれだけ楽しんでもらえたかが重要なので、ぜひ。 ひげ:会社の若手を誘ってチームで、とも考えてます。まだどうなるかはわかんないですけど、自分がメインというよりかは若い子たちに入ってもらってっていうやり方にできたら。いろんな人に広がって、それを見られたらまた楽しいじゃないですか。 ──── それはもう。ありがとうございます、お待ちしています!
2023年2月9日から17日にかけて「第4回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。 今回のテーマは『水!!』。このシンプルかつ自由度の限りなく高いテーマを前に、受賞者たちは、実に個性豊かな作品を見せてくれたました。そんな彼らに行った恒例の受賞者インタビューを公開します! 今回は優秀賞を受賞したふーぴんさんへのインタビュー。 ふーぴんさんの「Uzurium」は、モーターで回る磁石の磁力を使って筒内の水に渦を発生させ、光の演出と組み合わせて目を楽しませてくれるインテリアアイテム。オリジナルライティングのプログラム、渦と光のシーケンス制御による演出も巧みなものでした。プロダクトの面白さはもちろん、プレゼンのクオリティが高く、シンプルながらしっかりアピールできているところも高く評価されました。 美しいハードウェアの持つ独特の世界観で会場を沸かせたふーぴんさん。開発の過程、プレゼン当日の様子、「Uzurium」への思いなどたくさんお話しいただきました! ふーぴんさんのプレゼンは 01:04:57 〜 ──── 優秀賞おめでとうございます。 ふーぴん:ありがとうございます。 ──── 今回のツクアソのテーマである「水!!」ですが、これを出されたのはふーぴんさんでしたね。このテーマに決まった時の率直な気持ちをどうぞ。 ふーぴん:「よっしゃきたぜ!」って感じでした。 (一同笑) ──── どうして「水!!」なんですか? ふーぴん:もともと、水に関連するものを作りたいなと思っていたんです。去年の暮れに、岐阜県の大垣市でメーカーフェアがあったんですけど、そこで「マグネティックスターラー」っていう、水を混ぜる装置を展示している人がいたんですよ。それを見て、「渦を展示するなんてすごい面白いな」と思って。そこから、水を回して渦を表現できる何かを作りたいなと考えてたんです。テーマ決めの時は、「渦」って書こうか「水」って書こうか迷ったんですけど、とりあえず「水!!」にしました。 ──── なるほど。そもそもハッカソンが開始される前から水について考えていたんですね。 ふーぴん:そうですね。ハッカソンでいきなりハードウェアをガガッと作り切るのって、かなりハードルの高いことだと思うんですけど、コツコツ作ってた要素が若干あったので、そこを今回のテーマにうまく乗せることができました。 ──── 選んだ方がちゃんと賞を取ってくださってる。すごく嬉しいことです。じゃあ、テーマが決まった段階から、もう作る物のイメージはできてたんですか? ふーぴん:はい。ただ、見せ方については全然考えてなくて。以前から、カクテルをシェイクする様子を表現したらエンタメになるんじゃないか、という構想があったんですが、それを本当にやり出すと、カクテルを混ぜるところと、それを取り巻く演出に関する部分をかなり作り込むことになります。それだと開発量が多過ぎてとても間に合いそうにないんで、提出日の20時時点では、とりあえず単体で見せられるものを提出しようと。それでスタンドアローンで回ってくれるUzuriumを1個だけ作って提出しました。ネタはありましたけど、ハッカソンで作るっていう観点で、具体的に作るものは変えたっていうのが実際ですね。 ──── 確かにカクテルをテーマにすると、プレゼンや見せ方のハードルが上がりそうですね。だからツクアソでは、自分が使いたい技術を最短で見せられるようなものになったんですね。複数並べてあって綺麗な色で光って、すごくフォトジェニックなビジュアルでした。熱帯魚の水槽みたいな…。「Uzurium」という作品名はそのあたりからきてるんですか? ふーぴん:最初はテラリウムがいいなと思ったんです。テラリウムで渦を再現しているから「Uzurium」なんですけど、1個置いてあるだけだと正直映えなかったんで、1週間の間に量産して編集用に並べました。 ──── 本当に綺麗でした。あれが雑貨屋に置いてあったら、買ってみようかなって思います。アロマキャンドルみたいな、お部屋の癒し要員で。 ふーぴん:中身をお湯にして、アロマオイルを入れるといい感じで拡散されると思います。それもちょっと思いついて、実際アロマ屋さんでお話聞いて考えたりしました。 ──── それはますます商品化が具体的になりますね。あとは販売してくれるメーカーさんを探して…。 ふーぴん:メーカーフェアとかで売ってみたいなっていう考えもあります。掴みが良ければクラウドファンディングやってみようかな、とか。夢が膨らんでます(笑)。 ──── いや、これはいけますよ。期待してます。 制作自体に関するお話もお聞きしたいんですが、お仕事でハードウェアを扱っていらっしゃるんですか? ふーぴん:はい。本業では回路設計をやっています。なので、回路周りは自作です。あとはモーターで磁石を回して渦を作っているのと、ネオピクセルLEDを使って光をつけてます。仕組みとして大きくはその2つですね。 ──── テーマが発表になって、作るものが決まって、すぐに開発をスタートしたんですか? ふーぴん:そうですね。オープニングの次の日(金曜日)は一応休みにして。ケースから全部作ったので、夜にケースの設計をして、夜中に3Dプリンタ回して、翌朝を迎えて。 ──── 土曜日の段階では、ガワはできてたと。 ふーぴん:そうです。ガワからスタートして、スタンドアローンで動くというところをアピールしたかったんで電池駆動にしたんですけど、実はその電気回りで結構トラブって苦戦しました。手持ちのDC-DCコンバータの電流能力が渋くて、LEDの光量を光らせすぎると電源が落ちたり、起動時の突入電流でDC-DCが止まっちゃったり。いちいち「なんじゃこりゃ!」を繰り返して。最終日もそこに引っ張られてちゃって、かなりギリギリになりました。大体想像通りに動くようになったのが提出日の16時ぐらいでした。そこから提出用の動画を撮り始めたのかな。 ──── 4時から動画を作成し始めたってことは、残り4時間しかなかったってことですね。 ふーぴん:でもその時はまたプレゼン用じゃなくて、提出用の動画だったので、ザクザクっと撮ってなんとか。 プレゼン時にはとにかく量産して並べて映えさせたかったんで、提出した瞬間に部品発注を始めました。それで同じものを5個複製してって感じですね。それも結局ギリギリになっちゃって、本当にプレゼンの直前まで動画を編集してましたね。今回は全部ライブでしゃべろうかなと思ってたんですけど、失敗のリスクもあるし、時間切れになって終了でーすってなるのが嫌だったんで、なんとか動画でやり切るために必死で。 ──── プレゼンの映像もすごく綺麗に作ってらっしゃいましたね。 ふーぴん:そうですね、動画だと作り込めるし、時間切れみたいな失敗もないので、頑張ってこだわって作りました。一眼レフの明るいレンズ使ったり、背景暗くしてみたり。 ──── すごく上手いなと思いました。他にもハッカソンに出られてるんですか? ふーぴん:色々出させてもらってます。今年は初めてですけど、去年は2回か、3回ぐらい出ました。最近オフラインのハッカソンもぼちぼち開催されるようになりましたし。僕、オフラインが好きなんです。やっぱりハードウェアは実物を見てほしいという気持ちがあって。これはメーカーフェアにも出したいなあと思っています。 ──── 場所とタイミングが合えばぜひ、本物を見に行きたいです!今回のツクアソもたくさん作品が出ましたが、気になったものはありましたか? ふーぴん:ひげだるまさんの「Splatwash」ですね。演出をリアルでやってたじゃないですか。あれ、すごい上手くて良かったです。あとは最優秀賞の「ダムダムビーバーズ」。プレゼンが面白くて爆笑しながら見てました。 ──── プレゼン力が高い人たち、いますよね。ひげだるまさんは本当に毎回お上手なんですよ。ふーぴんさんも前回のツクアソ、参加されてましたよね。 ふーぴん:はい、「いや違う。そうじゃない。」っていうテーマでしたね。僕は前回はゾンビを作りました(BlockZombieSimulator)。 ──── あれも面白い発想でした。「これじゃない」感があって(笑)。カメラで撮ったものがゾンビになるんですよね。 ふーぴん:そうですね、レゴを撮って、色合いの量に応じてゾンビをいろんなパラメータ振って出すっていうものでした。この時賞を逃して悔しかったんで、今回の優秀賞は本当に嬉しいです。 ──── 結構テーマに左右されますよね。次回は8月開催予定です。またのご参加をお待ちしております。 ふーぴん:ぜひまた発表させていただきたいです。こういう、「俺得!」みたいなテーマのハッカソンは少ないので、良いイベントだと思ってます。常連さんも、回を追うごとにどんどんレベル上げてくるので、それも面白くて楽しみなんです。 ──── 自由に遊ぶ、作りたいものを作る。縛りがないのが「ツクアソ」でございます。次回も面白い作品期待してますね。本日はありがとうございました!