2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。
今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。
相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。
優秀賞受賞チームへのインタビューです。今回は「ZEN SELECT」さんから、ZENさん、ずんださんのお2人にお越しいただきました。
ZEN SELECTさんの「LINE STAMP AI MAKER」は、制作したいキャラクターの特徴を記入すると、そのキャラクターのLINEのスタンプを生成してくれる画像生成Alアプリです。LINEスタンプの申請に必要な8種類の感情のスタンプと日本語・英語のタイトルと説明文まで制作してくれるという優れものでした。
一見優秀なアプリでしたが、申請したスタンプがLINE側からリジェクトされてしまうというところが「商売できない」ポイント。確かに販売できないものが生成されてしまうなら意味はないですね…。グラフィックが美しく、見た目も機能も優秀なだけについたオチが際立ちました。
4人中3人が非プログラマという珍しい構成の「ZEN SELECT」さん。参加常連であり、受賞もついに3回目となりました。その多彩なアイデアの出所や、ものづくりについての哲学など、たくさんお話を伺いました!
ZEN SELECTさんのプレゼンは 00:25:35〜
ZEN SELECTメンバー
ZEN さん
ずんだ さん
suckhal さん
ハマ さん
↓↓↓ZEN SELECTさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓
「第6回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー② 優秀賞 ZEN SELECT(ZEN & ずんだ & suckhal & ハマ)さん
「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 ZEN SELECT(ZEN & ずんだ & suckhal & ハマ)さん
──── 優秀賞受賞おめでとうございます。毎度恒例の質問で大変恐縮なんですが、まずは参加のきっかけから…。
(一同笑)
ZEN:プログラマのハマさんがきっかけですね。終わり。になっちゃいますよね、どうしよう(笑)。
※具体的なきっかけについてはこちらのインタビューで言及しています。
──── ちなみに初出場は第3回ですね。
ZEN:そうですね、1回目、2回目のテーマ面白そうだったのに参加できなかったーって思って「いや違う、そうじゃない(第3回ツクアソのテーマ)」から。
ずんだ:うん。「Rabbit Timer」だったね。そこからなんだかんだ毎回参加してます。
ZEN:4人中3人がプログラムできないというチームでやっております。回によってそれぞれの参加濃度もまちまちですね。多分、3回目は僕ほぼ関われてない。
ずんだ:あの時コロナになっちゃったんだよね。
ZEN:そうだそうだ。今回で言えば、イラストレーターのsuckhalさんが完全にいないんですよ。でも第4回の「水!!」なんかは、キャラクターの画像を何枚も作ってもらったし。ほんと毎回違いますね。
──── それでも毎回作品として一定のクオリティでエントリーされるってことは、チームのバランスがいいってことなんですね。
ずんだ:いや、プログラマありきですね。ハマさん(ZEN SELECTのプログラム担当)いないと形にならないから(笑)。
ZEN:毎回の傾向としては、とにかくみんなでアイデアを言語化する、ぺちゃくちゃしゃべりまくるんですよ。バックグラウンドが違う僕らがしゃべりあって、それをハマさんが「プログラムだったら」「アプリとしてリリースするなら」とか「今こういうの流行ってる」みたいなところに落とし込んでくれてる印象ですね。
ずんだ:僕らがプログラムに関してずぶの素人だから、全く自由に発言してるんだよね。作り手のことなんて知ったこっちゃねーっていう路線で、それはもう自由に(笑)。
(一同笑)
──── 材料をいっぱい持ち寄って、それをハマさんがいい感じに調理してくれるんですね。
ZEN:プログラム的に「それは不可能」「ダサい」みたいな感覚がまるでないので、その常識のなさで逆にもってるのかもしれない。でも、アイデア出ないときは本当に出ないですけどね。
ずんだ:本当に30分ぐらい無言のときあるもんね。
──── 今回の開発の進め方も、Zoomで集まってアイデアソンして、という流れですか?
ZEN:今回の流れだと、オープニングにいたのが僕とハマさんだけで。
ずんだ:そう、僕は仕事だったんで途中から参加しました。携帯でオープニング聞いてて。
ZEN:テーマ聞いた瞬間に「あ、ダメだ」ってなっちゃって。とりあえず散歩に出ました。そしたらハマさんも一緒に散歩に出てくれて、2人でZoomつなぎながら歩いて、雑談からスタートでした。夜の公園をぐるぐる歩いたなー。ハマさんがまた上手いんですよ。ディスカッションする上での切り口というか、アプローチの掛け方が。
今回は「ギリギリ商売できない」の「ギリギリ」がポイントだよねとかって、ある種当たり前の会話から始まって、3〜4分ダラダラしゃべってちょっとあったまった頃に「最近何買った?」とか「最近何にお金かけた?」クリティカルではないけど関係なくはない切り口でテーマ投げてくれるんです。それで僕は「最近はサブスクだね」とか「またNetflix登録しちゃったよ」とか話して。
──── 何にお金を使ったかを思い出させたんですね。
ZEN:そう。お金を使ったことを思い出しながら、「欲しい」「欲しくない」って感覚大事だよねって方向に進んで、点と点をつないで発展させていくような。
──── 「丑の日プロジェクト」さんも、そういうふうにmiroを使って雑談から線をつないでいってアイデアにされてました。今回の作品の形が固まったのはいつ頃だったんですか?
ZEN:もう公園を3周したあたりですかね。1周2キロぐらいあるんですけど。
(一同笑)
ZEN:LINEスタンプっていう話がポンと上がって「スタンプ、欲しいなー」って思ったんです。で、その前の雑談で、AIが何か作ってくれるサービスあるよねって話も出ていて、オリジナルのLINEスタンプ作ってくれるサイト、めっちゃ欲しいわ!ていう(笑)。その期待感を「ギリギリ商売できない」ユーモアで落とすって流れ、いいなって思って。LINEスタンプでもう盛り上がっちゃったんですよね。そこで、LINEスタンプにするとして「商売できなく」するにはどうすればいいんだろうって疑問に発展します。AIを動かすための費用とか、お金の関係で破綻してしまうっていうのがベタな落としどころかなと思っていたんですが、LINEスタンプには申請があるってことに思い至って、ここだと。「申請通らない」でいいじゃんってなったんです。
ずんだ:僕ら、これまでのツクアソでオリジナルのスタンプ作ってたんで。水差係長とか。
※第4回ツクアソ ZEN SELECT作品「水差係長」
ZEN:そうそう。だからLINEスタンプの申請手順とか知ってたんですよ。受かったり落ちたりするよね、めんどくさかったよねって話になって「申請に落ちる」っていうオチで、なんかもう大爆笑しちゃって、公園の中で。ずんださんとsuckhalさんが合流する前にかなり盛り上がって。
ずんだ:そこでもう大体決まってたよね。
ZEN:おうちに着く頃にはもう決まってました(笑)。盛り上がり過ぎて、LINEスタンプの申請のルール見たい、もう公園じゃダメだ、パソコン開こうぜって。
ずんだ:そのあとずっと規約読んでたもんね。どうやったら申請に落ちるか知りたくて(笑)
ZEN:毎回思うんですけど、ショートコントみたいだなって。笑いどころを作らなきゃいけないけど、ただ笑わせなきゃいけないわけでもないし、まともにやってるからこそどっかでクスッと笑えないといけないし。その点で今回はすごくバランスのいいものが出てきましたね。
ずんだ:すぐデザインも始めました。
ZEN:最終的に申請に落ちるわけだから、だからこそサイトは自信満々にめっちゃかっこよくないとダメだねって、期待感を持たせたいんだ!つって、すぐずんださんに伝えてデザイン進めてもらいました。
──── 確かにすごいスタイリッシュなサイトになってましたね。かっこいい猫ちゃんの。
ずんだ:あれはAIで作った素材なんですよ。かっこいい猫ちゃん(笑)。それでさっそくサイトの中身も作ってもらって、スタンプ吐き出してもらって、テストで申請したらあっさり通っちゃって、審査。
(一同爆笑)
ZEN:通るんかい!ってなっちゃった(笑)。
──── そんなハプニングが(笑)。じゃあ調整したんですね、通らないように。
ずんだ:そうですね、ギリギリのラインを。そしたらうまく落ちてくれたよね。
ZEN:落ちるとは思ってたけど、落ちる場合は審査返ってくるのに結構時間かかるんですよ。通る場合は早いんですけど。向こうの運営が困っちゃって時間かかっちゃうのかな。
ずんだ:落ちる時はきっと人の手が入ってるんだろうね。そんなこんなで、デザインに関しては迷いはなかったですね。最初からオチを見せる必要はないから、笑いの要素はいらなくて、ひたすら綺麗でそれっぽく作りました。オチから遠くするのが面白いだろうと。
ZEN:全体的な流れは、今までの中ではスムーズな方だったかな。
ずんだ:シンプルだったよね、今回。
──── じゃあ、開発もアイデアが固まった時点でもうハマさんが作り始めている状態ですか?
ZEN:金曜日の夜に、まず申請出せないとだめだよねって、とりあえずずんださんのデザインとかは乗っけてない、仕組みだけのプロトタイプを作ってくれました。LINEスタンプの申請は最低8枚で、あとサイズは決まってるんでそこらへんの最低限の情報をハマさんに伝えて、まず動くものをってことで、文字入れるとぺろぺろっと8枚画像が出てくるようなやつを。細かいところはそれと並行してぼちぼちという感じで。
ずんだ:僕らは、それができるものなのかどうかも全く判断できないので。でも仕組み作りはさすがハマさんなので、スムーズにいったんですよ。一番引っかかったのが、審査を突破してしまうというところだけで。それも一回だけでしたけど。
ZEN:そう。意外と絵に統一感がなくても通っちゃうんで焦ったよね。こんなん落ちるだろ、ぐらいに思ってたから(笑)。
ずんだ:これだけバラバラなら大丈夫だろうって思ってたら「申請通りました。お買い上げいただけます」って(笑)
──── 審査に落ちるラインが意外と難しかったんですね(笑)。金曜日に作り始めて、なんとか形になり、土曜日と日曜日はどのように過ごしたんですか?
ずんだ:土日はほぼ僕はデザイン作業してました。
ZEN:僕はひたすら申請タイムですね。まずは落ちた前例を作ると。ずんださんにサイトのクオリティを上げてもらっちゃってるから、申請が全部通っちゃうんだと、単なる素敵なサイトになってしまうという(笑)。
──── 商売できちゃってますもんね。
ZEN:焦りました。でもまあ、ずんださんがサイトのクオリティをひたすら上げてくれる期間でしたよね。
ずんだ:そうですね、デザインに徹してました。
──── でも制作自体は割と順調だったんですね。ZEN SELECTさんレベルになると、ファイナリストプレゼンの順番も見極めて提出するんですか?
ZEN:そうですね、それはでも参加し始めた頃から意識してます。制作がやばくてそんなこと気にしてる余裕ない回もありましたけど(笑)。
ずんだ:確か「なるほどですね。」の時はトップバッター狙ったよね。
ZEN:あれは早い方がよかったからね。
ずんだ:初っ端でかましちゃおう、みたいな。
──── それも作戦だったんですね。
ZEN:作品によっては「これはテーマに対して変化球だから最初に出すもんじゃないよね」とか「これはもうどストレートだから、先に出さないと色褪せてしまうかも」とか「似たようなのがありそうだからとにかく先に!」とか、いろいろ考えちゃうんですよ、僕が。だから発表順はめちゃめちゃ気にしてます。
ずんだ:そこはZENさんすごい調整してるよね。
ZEN:実際どう反映されてるか分かんないですけどね。でもあのファイナリストプレゼンの1時間ぐらいの中で、あるじゃないですか、流れが。
──── そうですね、前後の作品によっても結構印象変わりますもんね。そういえば、ZEN SELECTさんのプレゼンはいつも録画スタイルだと思うんですが、今回はライブでしたね。これはどんな狙いがあったんですか?
ZEN:作った動画を流すだけだと寂しいんです、僕が。
ずんだ:ZENさんしゃべるの好きだもんね。
ZEN:そうなの。ライブのドキドキ感を味わいたかった。「丑の日プロジェクト」さんって、あらかじめ作った映像を流しつつライブでしゃべってるんですよね。最も難しいことやってんなって思ってびっくりしました。僕は緊張しちゃってできなそうだけど、でもあれ見てたら挑戦したくなりました。でもあまりに上手すぎて、あれがどんなに大変ですごいことか、そこをわかってる人少ないだろうなー。
──── あれは初見ではライブでしゃべってるの、気づかないですよね。確かにものすごく上手です。
ZEN:ねー。あと打ち上げの時に、生でやるんだったらリアルタイムで起こっていることだったり、このプレゼン大会で出たホットワードを反映させたりとかするともっとよかったよねってハマさんに言われて「あー!」ってなりました(笑)。
ずんだ:反省会。
(一同笑)
ZEN:本当そうだよなって。録画じゃない良さがそこまで出てなかった。もっと前後の流れを汲んだり単語拾ったりしとけばよかったですよね。そっちまで頭回んなかったなーって、悔やみました。
──── そういう意味で言うと、ライブスタイルでプレゼンするなら後半の方が良さそうですね。前の人のネタをうまく拾えるし、選択肢が広がるかもしれない。
ずんだ:確かにそのほうが材料は揃いやすいですよね。
ZEN:難しい。でも僕はそうやってツクアソを楽しんでます。アイデア出しももちろんそうですけど。プログラムできないんで(笑)。
(一同笑)
──── 他の参加者の作品で気になったものはありましたか?
ZEN:「外人さんや.これが日本どす~」、良かったですね。あのくだらなさは好きなラインです。めちゃめちゃくだらない。だが良い。
ずんだ:僕もあれ、ゲラゲラ笑ってた。プログラミング素人の僕らはやっぱりああいうシンプルなものに惹かれちゃいますね。
ZEN:作品へのまなざしがそもそも違うんだよね(笑)。プレゼンのうまいチームもほんとに多くて、熱量とか、そこも見ちゃいます。次これ参考にしよ!とかも思いますし。
ずんだ:作品出して終わりっていうハッカソンじゃないからね。プレゼン力も問われるハッカソン(笑)。
ZEN:すごい若い子がどんどん飛び込んでくるところもいいですよね。ああいうのもちょっと刺激になるな。
ずんだ:トチマルさんはすごかった。
ZEN:トチマルさん応援したくなる。すごいよかった。
──── 次回のツクアソは来年の2月下旬を予定しています。ぜひご参加お待ちしてます。
ずんだ:前回、僕が地元の日本酒イベントがかぶって参加できなかったっていう(笑)。
──── 「にいがた酒の陣」ですね。大丈夫です、かぶりません!
ZEN:じゃあ次回もぜひ。
ずんだ:ぜひ!
──── ありがとうございました!