2025年2月21日から28日にかけて「第8回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。
今回のテーマは『1年に1度だけ使いたいもの』。
難しくも考え甲斐あるテーマ。皆さん、いつも以上に楽しんで取り組んでくださいました。
さて、恒例の受賞者インタビューです。
まずは最優秀賞から。 Beaver's Hiveさんは今回初参加での最優秀賞受賞となりました。
Beaver's Hiveさんの作品『4maruGen』は、自撮りした写真を証明写真風や背景付きなど、いい感じに補正してくれるアプリです。
流行りの画像生成AIを使用したプロダクトで、シンプルかつ優秀。SNSなど公式に使いたい写真が必要になる時期も「1年に1度くらい」と、絶妙にテーマにマッチしていました。あまりのクオリティの高さに正式リリースを待ち望む声も聞かれたお役立ちアプリです。
時流とテーマにしっかりと寄り添いながらも非常に面白味のあるプロダクトを生み出したBeaver's Hiveさん。初出場の思いや、具体的な制作過程、次回参加への思いなどを聞かせていただきました!
Beaver's Hiveさんのプレゼンは 01:00:32 〜
──── 最優秀賞おめでとうございます。
Beaver's Hive(斉藤):ありがとうございます。
──── 早速ですが、「4maruGen」のアイデアはどのようにして出てきたんですか?
Beaver's Hive(斉藤):「年に一度使えるもの」で実はかなり悩みまして、このアイデアが出てくるまで2日ぐらい使っちゃったんです。画像生成って、流行ってる割にいまいちユースケースがないですよね。でも「年に1度」ぐらいならあるんじゃないか、というのが最初の着眼点です。
そこから年に1度使う写真って何だろうと考えて、SNSとか、公式的などこかに掲載する自分の顔写真なら、年に一度ぐらいの頻度なんじゃないかというところに思い至りました。そこから使えそうな技術を調べていろいろ試してみたら、思いのほか面白いものができそうだなと。
──── アイデアを考えるまでに2日で、そこから技術をいろいろ探して試して。
Beaver's Hive(斉藤):そうです。ギリギリに何とか上手いこといったっていうところですね。実はかなり危ない橋を渡ってます(笑)。ちゃんと固まったのは日曜日なので。
──── 制作にはどのぐらいかかっていますか?
Beaver's Hive(斉藤):やってること自体は、モデルを組み合わせてるので、今回モデル自体の学習はしてないんですね。モデルを引っ張ってきて組み合わせて、フロントのほうはもう一人担当がいるんでそっちに任せて、ぱっと作ってもらって、がっちゃんこして、みたいな感じです。日曜日に簡単なバージョンを作って、月曜日にそれをブラッシュアップして、提出しました。
──── 組み合わせたモデルについて、具体的に教えていただきたいです。
Beaver's Hive(斉藤):まずプロンプトベースで画像を生成するようにして、それから、自分の画像とプロンプトを入れるとそれに合った画像を生成してくれる『Photomaker』というAIを使います。それを基本に、今回はポートフォリオイメージみたいな感じで、正面を向かせるプロンプトを入れて大まかに画像を生成します。でもこれだけだと、ちょっと本人感が薄れるというか、なんか違うぞ?ってなっちゃうんですよね。なので、そこにディープフェイクの技術『FaceSwap』を使って、顔の特徴を転移するようにしてあげると。さらにそこへ『FaceEnhancer』っていう、全体にきれいなフィルタをかけてくれるような技術を組み合わせて完成です。主にその3つのモデルで生成しています。
──── 『Photomaker』で大雑把に作って、『FaceSwap』で本人感が出るように入れ替えて、最後に『FaceEnhancer』で補正すると。
Beaver's Hive(斉藤):そうですね。3つもモデル回してるんで、結構生成するのに時間がかかるんですけど、1年に1回だしいいかなと(笑)。
(一同笑)
──── 証明写真撮る手間に比べたらいいですよね(笑)。プレゼンでも印象的だったんですけど、実際にアプリも触ってみて、完成度に運営もかなり興奮しました。
Beaver's Hive(斉藤):ありがとうございます。
──── 作品名の「4maruGen」とは、どういう意味なんでしょう?
Beaver's Hive(斉藤):そんなに深い意味は実はないんです。フォーマル、公式な画像が作れるので、音的に「フォーマルジェン」なんですけど、実際に生成されるものが本当に公式に使えるわけじゃないと思うんで、「Formal」という単語をそのまま使うことをためらって、「4maru」にしたと。Genは「generator」のGen。
──── ちなみに、コンプラ的なものなのか、あまりディープフェイクのライブラリって情報が出回ってないですよね。こういう技術はどこで学ぶんですか?
Beaver's Hive(斉藤):「ディープフェイク」で調べると、確かにあんまり出てこないんですけど、「フェイススワップ」で論文や記事を漁ると結構出てくるんですよ。もともと画像系にすごく興味があってよく調べていたという背景があって、今回活かされました。
──── 今回は初参加でいらっしゃいましたね。ツクアソについてはどこで知ったんでしょうか。
Beaver's Hive(斉藤):connpassで、ハッカソンでたまにお見かけする方々がツクアソに応募してるのを見て、「こんなハッカソンあるんだ、応募してみよう」と思いました。
──── ハッカソンには普段どのように参加されているんですか? ハード系とかソフト系とか。
Beaver's Hive(斉藤):ハードが多いですね。このBeaver's Hiveっていう団体が、ハードに興味ある人が多めに集まってる団体で、ロボコンに参加したりもするんですよ。もともと大学の時のサークルのメンバーでできた、ものづくり系社会人サークルみたいな集まりなんですが。
──── そうなんですね。組織的には結構規模が大きいんですか?
Beaver's Hive(斉藤):人数で言うと数十人いるんですけど、コアに活動してるアクティブメンバーは15人くらいですかね。今回はその中から僕ともう1人で参加しました。メンバーの業種は割とばらばらで、Web系の人とかSES系の人とか通信系の人とかもいます。
──── じゃあ、制作途中で困ったことがあると、誰かに何かしらの知見があるというような環境ですね。
Beaver's Hive(斉藤):はい。それぞれの得意分野を集めて作るみたいなことが多いですね。今回の最優秀賞については、サークルの中でも共有して、ちょっと盛り上がりました(笑)。
──── 普段ハッカソンに参加される時は、どんなふうにチーム編成されてるんですか?
Beaver's Hive(斉藤):基本、出たいハッカソンがあったら、メンバーを募って、なんとなく役割を決めて出る感じですね。今回は、参加募集したタイミングがちょっと遅かったんで、2人になったんですけど。
──── 他のチームの作品で、気になったものやお気に入りのものはありますか?
Beaver's Hive(斉藤):シャトルランのやつ、面白かったですね(丑之日プロジェクト『シャトルランブースター「らんちゃん」』)。動画のクオリティがすごいですね。ツクアソはハードの作品が多くて意外でした。ハードもソフトも受け入れてるハッカソン、少ないですよね。
──── そうですね。 Beaver's Hiveさんもハードでの参加、大歓迎ですよ。
Beaver's Hive(斉藤):ハードやりたいな。ただ、使える時間的には、ソフトのほうが完成度高く見せる手段がいろいろあるよな、と迷うところです。でも、テーマや時期が合えばハードでの参加も検討したいです。
──── 今回のテーマはいかがでしたか?
Beaver's Hive(斉藤):面白かったですね、実用ベースのところが。他のハッカソンって、社会にある課題をどう解決するか、みたいなお堅いものが多いんで。もうそういうのって、アイデアが出尽くしてる感があるんですよね。「1年に1回」っていう切り口が面白くて、じゃあもう振り切ってこういうの出しちゃおう、みたいな奇抜なアイデアも許されるので、よかったです。
──── 次回は8月ごろに開催予定です。ぜひBeaver's Hiveさんの中でも共有していただいて、参加をお待ちしてます。
Beaver's Hive(斉藤):はい、他にも興味を持ったメンバーが結構いましたので、ぜひ次回も参加させていただきたいと思います。
──── どうもありがとうございました!