2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。
今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。
相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。
さて、恒例の受賞者インタビューです。
まずは最優秀賞から。トチマルさんは、学生でありながら最優秀賞受賞となりました。
トチマルさんの作品『手の上に広がる新時代SNS アドックス』は、広告をShort動画のように表示させることができるアプリ。手のひらを見せると広告が表示され、サムズアップで広告をLike、ピースサインでadXの広告を表示させることができます。
Vision Frameworkを使って作られた新しさが非常に面白く、時代をとらえたおしゃれさのあるアプリでした。広告掲載が主な目的のアプリは「ユーザーに価値を提供しないアプリでの広告掲載は禁止」というGoogleおよびAppleの規約にひっかかるということで、「ギリギリ商売にならない」というオチも秀逸。
若者らしく時代を捉え、キャッチーなプロダクトを生み出したトチマルさん。そのアイデアの源泉や、ツクアソへの思いなど、常連ならではの視点から語っていただきました!
トチマルさんのプレゼンは 00:33:30 〜
──── 最優秀賞おめでとうございます。
トチマル:ありがとうございます。
──── トチマルさんって、今までハッカソンに参加された経験はおありなんですか?
トチマル:Appleの「Swift Student Challenge」っていうのがあるんですけど、それに1度参加したことがあります。でもこういう制限時間やルールがあるような、いわゆる「ハッカソン」は初めてでした。
──── ツクアソをどこで知ったか、お聞きしても?
トチマル:実は僕の身内にプログラムにちょっと詳しい人がいまして(笑)。その人に「やってみたら?」と言われて参加させてもらいました。父ですけども。
※トチマルさんのお父様は第1回ツクアソ優秀賞受賞チーム「KICKHOST」のメンバーなのです。
(一同笑)
──── 今回のツクアソには、学生からトチマルさんともう1人、すさきさんが参加されました。どうですか、ツクアソに学生で参加するのって、ハードル高かったですか?
トチマル:大人の参加者が中心だったんで、正直ハードルは感じました。でも学生賞が設定されてたんで「学生賞なら頑張ったら取れるかも」って感じで、ハードルを越えました。プレゼン後に他の参加者の方とか、運営の方とお話しする機会があったんですけど、皆さんフランクで。飛び込んでしまえばあったかいハッカソンだなって思いました。
──── 懇親会もハッカソンの良さの一つですよね。楽しめましたか?
トチマル:はい。やっぱりプログラムが面白いって思ってる人が集まっていて、大人とか学生とか、そういう垣根は全くない感じで皆さんとお話しできて、すごく楽しかったです。
──── では、開発期間のことを聞かせてください。アイデアって、テーマが発表されてから大体どのくらいで浮かんだんですか?
トチマル:金曜日の夜に発表されて、その日の残りの時間はもう全部アイデア出しに使うくらいの覚悟ではいたんですが、「ギリギリ商売ができない」を表現するのが思ったよりずっと難しくて、本当に初日丸ごと費やす形になって、焦りました。
──── 苦戦されましたか。
トチマル:テーマに沿ったものを作るんだから、ここをふわっとさせないように、一番最初にしっかり決めちゃった方が作りやすいと思ったんです。結果的には、ここにしっかり時間を割いておいて良かったと思いました。
──── 確かに途中から方向転換することになるとどんどん時間なくなっちゃいますもんね。このアイデア自体はどんな感じで思いついたんですか?
トチマル:「商売ってなんだろう」というところから考え始めて「商売になってる」「商売として成立している」ものについて挙げていきました。それらから「商売ができてる部分」を消していくっていうような考え方ですね。
──── 商売できてるものを、どんどん商売ができなくなる方向に持っていくんですね。
トチマル:そういう考え方のほうが、具体的なものが出そうだなと思ったんですよね。最初はYouTubeで考えてたんです。他にも、飲食店でルーレットを回すと返金されるとか、いろいろそんなことを考えて、途中でふと「YouTubeって広告あるじゃん」と思い至って。
──── YouTubeの広告をヒントに、あの形に落とし込んだと。なるほど、勉強になります。作り上げるまでの過程で、詰まった所とか、技術的な課題はありましたか?
トチマル:ハンドトラッキングを使ってて、手の形を0.2秒間隔ぐらいで読み取らせてたんですけど、メモリをすごく食っちゃってえらくパソコンが重たくなってしまったので、Playgroundで動かすのをやめて、アプリにしました。これで割と軽くなりましたね。問題という問題はそのくらいだったかな。
──── このネーミング、すごくいいと思うんですけども、もちろんあのつぶやくやつからですよね?
トチマル:ありがとうございます。「X」と広告の「AD」を組み合わせました(笑)。インスタと組み合わせることも考えたんですけど「アドックス」のほうが響きがいいかなと思って。あと、ハンドトラッキングを使ってるよっていうのをしっかり伝えたかったので「手のひらに広がる新時代」って冒頭にくっつけて主張しました。
──── これ自体キャッチーですけど、タイトルも外してない感じです。「こんなことしそうだな」っていうのが名前で分かってますし、アイコンも直感的に伝わります。これも最優秀賞の決め手のひとつです。すごく印象的でした。トチマルさんは、他のチームの作品で印象に残ったものってありますか?
トチマル:『ちゃりんちゃん』です。ハードウェアを使うって僕の発想にはなかったし、映像もすごく面白くて見栄えがしたので印象的に残ってます。
──── 『丑の日プロジェクト』さんは毎回すごいですね。プロモーションビデオもしっかり作り込んでくださってて、クオリティが高くていつも驚かされます。トチマルさんもハードには興味ありますか?
トチマル::興味ありますね。ハードウェアも融合できたら幅が広がりますし、よりテーマに忠実なものが作れるんじゃないかなと思います。
──── ご自宅にありそうですもんね。お父様がね…(笑)
(一同笑)
トチマル:まだちょっと勉強不足なところがあるので、そのうちに(笑)。
──── 今回使ったフレームワークをお聞きしてもいいですか?
トチマル:Vision Frameworkです。
──── 画像解析のものですね。今回初めて触ったということでしたが、時間的にはいかがでしたか?全体で72時間でしたが。
トチマル:個人的にはすごくいい配分でできたと思っています。
──── じゃあ、当初想定してたものを全て作りきれたということで。
トチマル:そうですね。ある程度想定してた分と、作っていくうちに「これもいいんじゃないか」って足していく所までできたなと。
──── 開発と提出用の動画準備はどのぐらいの比率でしたか?デモ動画もよくできていたなと感じたんですが。
トチマル:できるだけ開発に時間を割くように作りました。編集はちょっと近くにいる詳しい方に手伝っていただきましたので。
──── ファイナリストプレゼンもかなり凝られていました。あちらばどのように準備されたんですか?
トチマル:学校から帰ってきて、勉強の合間を縫って作りました。一応受験生です。
──── 受験生!それは大変でしたね。完成度高かったです、すごく。
トチマル:ありがとうございます。頑張った甲斐あって、最優秀賞をいただけました!
──── ちなみに、賞品のアマゾンギフト券は何に使われる予定なんですか?
トチマル:今、何かに使ってしまうと勉強に身が入らないかもしれないんで、いったん財布の中にしまっておきます(笑)。
(一同笑)
──── このハッカソンで新しく習得したスキルや知識は何かありましたか?
トチマル:今までプログラミングを勉強するときは座学が中心だったんです。でも、ほとんど初めてテーマがあるものを作ってみて、「作り上げる」って行為には、プログラミング以外のことも含まれてるんだって分かりました。すごく良い経験だったと思います。
──── 確かに、ゼロからの発想ですもんね。ある意味何でも作れるし、どうとでもなるという。
トチマル:実際ハッカソンに出てみると、本当に自由度が高さを感じました。いろんなものをいろんな人が作ってて。
──── ぜひ、大学受験が終わったら、またツクアソ参加していただければうれしいです。次回は2月の下旬を予定してますが…その頃はちょうど受験ですね。
トチマル:そうですね。2月、3月で受験が終わって、引っ越しやらで一番バタバタしてる時期かもしれないですね。
──── ツクアソは、大体冬と夏、年2回のスケジュールで開催しています。ではまた来年の夏の回に来ていただければ!
トチマル:はい、参加させていただきます。情報系の大学で勉強している兄がいますので、次は兄弟参加で検討します。
──── それは頼もしい。待ってますね。