2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。
今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。
相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。
特別賞受賞チームへのインタビューです。今回は「PiedPiper」さんから、近藤里俊さんにお越しいただきました。
今回PiedPiperさんが開発したのは、質問に対して運営が自力で回答してくれるというもの。その名も「Chat GRK(自力)」。
飛んできた質問内容に担当者が手動で答えます。24時間担当者を拘束するということは、最低賃金で単純計算して月額78万円コストがかかるということでした。確かに費用対効果を考えるとまったく商売になりません。シンプルかつ潔い良作です。
いつもはチームでの参加ですが、今回は近藤さんお1人での参加となりました。名だたるハッカソンへの参加常連であるPiedPiperさん。ツクアソでの受賞も3回目となりました。他のハッカソンと並行してアイデアを出したという驚きの秘話や、アプリ作りへのスタンスについてなど、たくさんお話を伺いました!
PiedPiperさんのプレゼンは 00:52:51〜
↓↓↓PiedPiperさんの過去のインタビューはこちら↓↓↓
「第5回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー② 優秀賞 PiedPiper (吉田早希 & 近藤里俊 & 髙尾凌我)さん
「第1回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 PiedPiper さん
──── 特別賞受賞おめでとうございます。毎度ご参加ありがとうございます。恒例の質問になりますが、ツクアソへ参加へのきっかけについて、教えてください(笑)。
(一同笑)
近藤:いつもこの「PiedPiper」っていうチームで参加してるんですけども、チームでハッカソン情報を共有してるんです。その中に第1回ツクアソの情報があったって感じですね。誰が見つけてきたのかまではちょっと覚えてないんですけど(笑)。Twitter上だったか、connpassだったかで見つけたんだと思います。
──── チーム自体はどのような経緯で結成されたんですか?
近藤:学生の頃に出たハッカソンで出会ったのがきっかけですね。たまたまブースが隣同士で仲良くなったんです。その後、他のハッカソンでチーム組もうってなって、そこからいろいろ一緒に出るようになりました。チームでSlackのワークスペースを持ってて、そこで情報交換したりしてるんですが、それぞれのメンバーの会社の同僚とか、友達とか引き込んで、もうSlack上では10人くらいメンバーがいますね。その中で「PiedPiper」としてツクアソに出てるコアメンバーは3人ないし4人って感じですが。
──── 今回、ツクアソの日程とQiitaハッカソンがかぶっちゃったんですよね。両方こなされたということで。ハッカソン、たくさん参加されてるんですか?
近藤:今年はツクアソ入れて4つくらいですかね。年始にもQiitaのハッカソンがあって、スパジャム、Vonageハッカソンと…あとなんかありました。大体ハッカソンと聞けば出るって感じです。
──── すごい、精力的だ。ではここから開発について質問しますね。発表されてからアイデアってすぐに思い浮かびましたか? Qiitaハッカソンとかぶってましたけど…。
近藤:いやもう全然でしたね!発表されたのが金曜日で、Qiitaのほうに出ていた関係でオープニングに出れなくて、あとでwebサイトから確認したんですよ、テーマ。正直かなり時間的に厳しかったので、もしもアイデアが出たらやろうぐらいに思ってたんです。で、結局ちゃんと取り掛かったのがQiitaが終わった日曜日で、なんとか考えて、アイデアちゃんと出たのが月曜日。
──── 締切当日じゃないですか。
近藤:そうなんですよ、最終日(笑)。まとまった時間も取れなかったし、今回1人参加だったんで議論する相手もいなかったんですよ。時間かかっちゃった。
──── 通常のチーム参加の時は、アイデアソンして、役割分担して、みたいなスタイルですか?
近藤:そうです。ドキュメントツールにひたすらみんなでアイデア書きまくって、どれがいいか話し合いながらブラッシュアップしてって感じでやってます。
──── お1人だとやっぱり時間がかかりましたか。
近藤:そうですね。あと、今回のテーマは僕には少し難しかったですね。どっちかっていうとビジネスというか、実用ベースが得意なんですよ。今回は実用を否定するプロダクトだったんで、なかなかの難問でした。
──── アイデアが出てから作品の提出まですごく短い時間になりましたけど、制作自体はいかがでしたか?
近藤:技術的にはもう得意なものだけ使って、ひっかかりがないようにしたので。本当はサーバーサイドも作ろうと思ったんですけど、時間なくてやめて、インフラ周りはFirebaseのクラウドに投げてるんで、結局やったのって「チャットツール」でしかなかったんですよ。技術的な冒険はまったくせず、簡単に。
──── ちなみに「チャットGRK」の名前はもちろんチャットGPTとかけて…。
近藤:そうです、そのとおり(笑)。せっかくだからダジャレっぽくしたくて、チャットGTPのどっかをもじりながら、それっぽく…って考えて「自力(GRK)」にしました。「自力」っていうのは「こっちが自力で返してる」だけなんで、ややこじつけではあるんですが、最も本家に近いもじりだなと思って。
──── この字面だけ見ると「おっ」って思います。すごくキャッチーですよね。開いてみると本当にチャットで、オチも見事で(笑)。
近藤:ありがとうございます。
──── 何の違和感もなく、説明もいらないし、秀逸です。
近藤:デザインを考える暇もなかったので、GPTの画面のカラーコードも真似して、スタイルもほぼ真似して。正確にピクセルを測ったりとかはしてないんですけど、ほぼ一緒なはずです。もうちょっといろいろ再現したかったんですけど、1日弱しかなかったので…。
──── そうですよね、素晴らしいスピード感。ちゃんとデプロイして動くところまで持っていける辺りがもうさすがです。
近藤:ありがとうございます。開発にあてたのは、せいぜい10時間とかですかね。ハッカソンばっかりやってますので、もはや慣れです、この辺りは。Firebaseってハッカソン向きというか、サクッと作るのにすごく向いてるんです。サーバーサイド作らなくてよくて、ファイル保存できるし、データベース管理もできるし、認証機能も使えるんで、本当にすごいですよね。今回はGoogleだったんですけど、コードをコピペするだけで、もうGoogleのページに飛んで、認証して、内容返ってくるんで。助かりました。
──── 作りたいものだけにフォーカスできるという意味ではすごくいいですよね。
近藤:コードも、昔の自分たちのチームのコードを引っ張ってきたりしてどうにか。パーツも揃ってるんで、リポジトリも。組み合わせに近かったですね。
──── 今までのチームの蓄積があると、そういうメリットもあるんですね。
近藤:ハッカソン、いくつ出たかわかんないくらい出てきたんで(笑)。
──── 今回、他の参加チームの作品でお気に入りのものはありましたか?
近藤:学生の、最優秀賞の、トチマルさん。
──── 「AdX」ですね。
近藤:あれは面白かったですね。あと、ZEN SELECTさんの「LINE STAMP AI MAKER」も普通に便利だなと思いました。でもあれは審査通らないのか(笑)。
──── トチマルさんはじめ、割と皆さん、先に「商売になるもの」を発想して、そこから崩していくってやり方でアイデア膨らましているチームが多かった印象ですね。PiedPiperさんも、採算が合わない、中の人がシンプルにしんどいから「ビジネスが成り立たない」というポイントが面白かったです。
近藤:今はデジタルで何でも解決できちゃうので、あまりデジタルに寄り過ぎると、結局マネタイズできちゃう仕組みになっちゃいそうだったんで、あえてアナログに振ったんです。結局人の手、というところに落として。
──── ファイナリストプレゼンの途中で「1人でやってるんで、もう打てません!」みたいな流れが面白かったです。実際今回はお1人で参加されてたんで、自力の臨場感がすごくて。
(一同笑)
──── ちなみに今回も前回に引き続き、開発時間が72時間に延びていました。これ、以前のように48時間だったら今回出ていただけなかった感じですね…。
近藤:そうですね、1日足が出ちゃうんで(笑)。そういう意味では今回ありがたかったですね。3日間なら結構僕ら的には余裕のあるスケジュールという感じですね。2日間で徹夜で頑張る!っていうのも良さがありますが(笑)。
──── 今回の開発にあたっては、過去に自分たちが作成したコードからひっぱってきたとおっしゃってましたが、新しい挑戦は避けて、全部引き出しの中から出した感じですか?
近藤:今回はもうほんとうにそうでしたね。キャッチアップする時間もないし、リスクも犯せないぐらい時間なかったんで…。
──── ちなみに今、主に使ってる言語はなんですか?
近藤:最近はもうJavaScriptだらけです。僕は今、新卒4年目の年なんですけど、3年間の間に転職なんかも挟んで、JavaScript、GAS、Vue.js、PHPなどを触ってます。
──── 引き出しがたくさんありますね。
近藤:新卒すぐのときにGoもRubyもPython、Node.js、Javaとかも書いたりしてました。もともと出身はロボット工学なんで、昔はC言語メインで書いてましたし、広く浅くいろいろ書けます(笑)。
(一同笑)
──── いろんなことできて楽しそうですね。
近藤:ハッカソンクオリティなら何でも作れるんで、楽しいです。会社でプロダクト作るぞ、となるとあれですけど。
──── ではぜひ、その技術を持って次回のツクアソにもご参加いただければ(笑)。2月の下旬を予定しています。ぜひまたチームでも。もう2月のハッカソン、決まってるものがあったりしますか?
近藤:いえ、まだ2月はガラガラです。ツクアソをもう予定に入れて、参加します!
──── お待ちしております。ありがとうございました!