「第7回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー⑤ 学生賞 すさきさん

2024.12.09

2024年9月20日から27日にかけて「第7回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。

今回のテーマは『ギリギリ商売できないアプリ』。
相変わらずの難しいテーマにもひるまず、みなさん素晴らしいアイデアをぶつけ合ってくれました。

最後は学生賞受賞者、すさきさんへのインタビューです。

すさきさんが開発した「宇宙商店街でお買い物」は、ロケットに乗り惑星をめぐりお買い物をするゲームです。それぞれの星で昼間しかお買い物できないという設定で、動きが早すぎてさっぱりクリアできません。

キモかわいいキャラクタと食材のイラストも印象的。「コードプログラミングが怖いので全てScratchで作った」という勢いの良さも新鮮で評価ポイントとなりました。

すべてScratchで開発したというすさきさん。初めてツクアソに参加した感想や開発の過程、Scratchを使って開発するということについてなど伺いました!


すさきさんのプレゼンは 01:01:38〜



──── 学生賞受賞おめでとうございます。今回、ツクアソへは初めてのご参加ですね。ツクアソのことをどこで知ったのか教えていただきたいです。
すさき:ハッカソンによく参加していて、connpassで検索するんですけど、その中で見つけました。実は数回前から認識はしていて、YouTubeのアーカイブをたくさん見てます。
──── それは嬉しいですね。アーカイブご覧いただいて、どうでしたか?
すさき:めちゃくちゃ面白いなと思って、良かった作品の技術スタックを紙にまとめたりしながら見てました(笑)。
(一同笑)
すさき:すごい作品が多いので、今回は「学ぼう」という姿勢で参加しました。
──── ありがとうございます。普段よくハッカソンにご参加されているということですが、どんなものですか?
すさき:一番参加してるのが「技育ハッカソン」っていう、学生多めのハッカソンです。もう5回ぐらい参加してますね。それ以外のものにもちょろちょろという感じで。
──── 他のハッカソンでもScratchを使うんですか?
すさき:Scratchをハッカソンで使ったのは、今回が初めてです。今まで参加したハッカソンはチーム参加のものばかりだったので、他のメンバーと技術を合わせようとすると、Scratchはなかなか…。
(一同笑)
──── 難しいですよね、確かに。Scratch自体はどのくらい使ってらっしゃるんですか?
すさき:一番最初に触ったの中学生の頃ですね。でも触らない時期がかなりあって、2年くらい前からまた触るようになって、プログラミング教室で小中学生に教えたりしています。
──── プログラミング教室の生徒さんにこの学生賞、自慢しましたか?
すさき:教室の中で作った作品を投稿するサイトがあるので、そこには投稿しました(笑)。
──── ではちょっと制作についてお聞きします。テーマが発表されてから、アイデアはどのくらいの期間で浮かんだんですか?
すさき:実は提出期限の当日に考え始めたので、かなり時間が足りなくて…。本当はアプリにしたかったんですけど、「ギリギリ商売ならない」と両立させるのが難しくて、今回はウェブ上で動かすことにしました。若干そこを妥協してしまったなとは思ってるんですが、なんとかひねり出せたので良かったです。Scratchだとちょっと作れるものの幅が狭いっていうのもありますが。
──── そうは言っても想像の幅はかなり超えてきてました。
すさき:ありがとうございます。Scratchをもっと広めていきたいと思ってます。
──── アイデアが浮かんでから、実際に作品が完成するまではどのぐらいの時間がかかりましたか?
すさき:締め切り当日にアイデアを出すところから始めたので、かなりバタバタしちゃったんです。ベースとなるものを作るのにかかったのは、4、5時間ぐらいじゃないですかね。星野珈琲で頑張って作業しました(笑)
──── 4、5時間であそこまで作れるもんなんですか、Scratchで。
すさき:Scratchの扱い自体には慣れていたので、それがよかったんじゃないかと思います。
──── 開発に関して、つまずきとかは特にありませんでしたか?
すさき:難しくて詰まった、みたいなところはなかったんですけど、時間がかかって面倒な部分が多かったです。細かく場所の調整をしたりとか、土星作ったんだから地球も作らなきゃな、とか。そういう全部をちょっとずつ変えないといけない部分とか、ちまちました単調な調整作業が多くて、焦りながら作ってました。一番難しかったのは、初めてScratchでsin(サイン)cos(コサイン)を使ったことですね。以前から「どうやって使うんだろう?」って思ってたものだったので、使えて楽しかったですけど、難しかったです。
──── どんな機能なんですか?
すさき:簡単に言うと、X軸とY軸を使ってオブジェクトに曲線運動をさせることができる感じです。Scratchにはそもそも回転させるコマンドがあって、角度を決めて単純にオブジェクトを回転させることができるんです。惑星が自転する動きはその1行で簡単にできるんですけど、自転しつつ公転してほしかったので、そのためにsinとcosを使用しました。



すさき:太陽を起点に惑星たちを回していくんです。自転する動きをつけたら、公転角度という変数に応じて位置を調整します。こうやって回していくと、公転角度がどんどん増えていくんですが、この公転角度に合わせた場所に惑星が行ってくれるように、X座標はcos、Y座標はsinを使って計算します。
──── 僕たちがデモの画面上で見ていたロジックから想像する以上のものをやっていて、素直に感心します。この惑星たち実際に回ってる太陽系の軌道をモデルにしたりしてるんですか?
すさき:いや、そこは全く参考にしてなくて。だからそこを有識者の人に突っ込まれたらどうしようって思いながらやってました(笑)。そもそも公転って実際はめちゃくちゃゆっくりなんですよ。そこにこだわるとゲームとしての面白さとの両立が難しくなってしまうので、この惑星たちは見た目だけ何となくな太陽系で、あとは全部無視してます。全てがありえない速度でありえない軌道を回ってます。
(一同笑)
──── あのプレゼンの時に、まさか裏でこんなにロジック組んでるなんて本当にわかりませんでした。すごい。コードで書くよりよっぽど難しいんじゃないですか?
すさき:その説もあります。
(一同笑)
──── 今後コードを書いていくっていうことは考えていますか?
すさき:HTMLとかPythonとかは少し書いているんです。ただゲーム作りに適している、例えばUnityとかは触ったことがないので…。ゲームを作りたいと思うと毎回Scratchでぽちぽちやることに落ち着いてしまうんです。でもいつか時間をちゃんと作ってチャレンジしたい気持ちもあります。
──── 今回のツクアソで、お気に入りの作品はありましたか?
すさき:個人的な一押しは「今は時期が悪いおじさんchrome拡張」ですね。あれがものすごく好きです。アイデアを考えてる時、最初は資本主義を否定するようなものが作れないかなって考えてたので、その自分の中のアンチ資本主義の部分と共鳴しました。あれ、使いたいです!あとはやっぱり「丑の日プロジェクト」さんはすごいです。プレゼンも含めてめちゃくちゃ面白くて。あとZEN SELECTさんとかもすごかったですね。ツクアソのYouTubeのアーカイブを見まくっているので、常連の有名チームに関してはもはやファン目線で。
(一同爆笑)
──── 第7回まで来ると、ファン目線の方も出てくるんですね!嬉しいことです。
すさき:皆さん、毎回外さずにすごく面白いし、どんどんアイデアが出てくるのが本当にすごいなって思いながら見てます。
──── すさきさんも今後「すごいScratchの人」として認知されていく可能性が大いにありますよ。
すさき:そうなったらすごいですね。Scratchを広めたいです。今回参加してみて、あとアーカイブ見てても思うんですけど、ツクアソは使う技術が多様なところがいいですよね。普段参加してる他のハッカソンだと、チームの中で技術合わせないといけないですし「みんなが知ってる技術」が中心に自然となると思うんですけど、ツクアソだとハードやる方もいるし、本当にいろいろで、アイデア面だけでなく技術面でもめちゃくちゃ刺激になります。
──── ハードもソフトもごちゃ混ぜになりながらやってますんで、毎回驚きがありますよね。
すさき:自分が今回Scratchを使ったのも、ツクアソだから使いたいというか、許されそうだなというか、そういう気持ちもありました。
──── 種類が増えることは、運営としてもありがたいことです。これからのツクアソに期待していることなど、もしあればお聞かせいただきたいのですが。
すさき:今の感じで、かなり完璧に近いと思っています。技術的に尖っている、変なことしてる人が自由にのびのびやっているところと、あのユニークなテーマも楽しいですし。今の、投票でテーマ決める形はぜひこのままでいてほしいです。次はどんなテーマが出るのかもすごく楽しみです。
──── ぜひ今後もScratch代表選手としてご参加いただきたいです。ちなみに次回は2025年の2月下旬を予定しております。
すさき:さらに変な技術を探しつつ、参加したいと思います。
──── お待ちしております。本日はありがとうございました!