「第8回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー④ 特別賞 おむすびのカフェイン(すさき & kuro)さん

2025.05.22

2025年2月21日から28日にかけて「第8回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。

今回のテーマは『1年に1度だけ使いたいもの』。
難しくも考え甲斐あるテーマ。皆さん、いつも以上に楽しんで取り組んでくださいました。

今回の受賞者インタビューは特別賞、おむすびカフェインさんです。

おむすびのカフェインさんの「Room Pikapika Game」は、大掃除をRPG風のToDoリストで楽しく終わらせることのできるプロダクトです。ファミコン風のゲーム画面から、掃除したい場所を選び、クエストをこなすことでタスク完了となります。

お掃除のための豆知識を授けてくれたり、討伐(掃除)が完了すると村人がお礼の言葉を言ってくれたりと作り込まれており、大掃除を何とか楽しめるようにとさまざまな工夫が散りばめられています。発想が楽しく、世界観がしっかりとしている良作です。

前回ソロ参加だったすさきさんが結成したチーム「おむすびのカフェイン」。制作の詳細な過程など、たくさんお話しいただきました!


おむすびのカフェインさんのプレゼンは 01:13:11 〜



おむすびのカフェインメンバー
すさきさん
kuroさん

──── 特別賞の受賞、おめでとうございます。
kuro:ありがとうございます。
すさき:ありがとうございます。
──── 早速ですけども、今回のこの「Room Pikapika Game」のアイデアはどういう経緯で出てきたんでしょうか。
kuro:2人でテーマを聞いて、1年に1回「やりたくないことを楽しくする」アプリを作りたいねってなったんです。それをゲーミフィケーションかゲームか、まだどちらもやったことがなかったので、どちらかに落とし込みたいねってなりました。
すさき:アイデア自体は2人でたくさん出し合ったんです。その中から徐々に絞っていった感じですね。最初は「Room Pikapika Game」とは違ったゲームを作ろうと思ってUnityを頑張ってる時間もありました。2人ともUnityを触ったことがなかったんで、1日目はUnityの勉強に費やしてました。
──── それはかなりチャレンジングなアプローチですね。最終的に使ったのはUnityだったんですか?
kuro:いえ、最終的にはNext.jsを使いました。
──── 普段使われてるからということですか?
すさき:そうですね、2人ともハッカソンで少しNext.jsを使ったことがあったので。でも、Next.jsもめっちゃ慣れているというわけではなかったので、いろいろ苦しみつつ、なんとかなんとか作り上げた感じでした。
──── 最初は勉強しながらUnityで進めて、結局Next.jsに切り替えたというのは「無理!」ってなったからですかね?
すさき:そうです。Unity、ネットに転がってるチュートリアルをやるだけでも苦しすぎて。もう全然わけがわからなくて、どうしようみたいな感じになってしまったんです。これは3日間では何も形にならないかもって思って、大急ぎでゲーミフィケーションに舵を切りました。
kuro:学習コストと残り時間を見て、難しいかもねっていう話になってUnityは捨てました(笑)。
すさき:窓から放り捨てて乗り換えました。
(一同笑)
──── 素晴らしい判断ですね、捨てるのも大事なことです。じゃあ、Unityで作ろうと思ってたアイデア自体捨てて、Next.jsを使おうと思ったアイデアに切り替えたと。
すさき:そうです。たくさん出たアイデアから最終候補を2つに絞って、その1つがUnityを使ったゲームで、もう1つが今回の「Room Pikapika Game」です。
──── 他にどんなアイデアがあったのか、教えてもらってもいいですか?
kuro:それこそ確定申告とか年末調整とか。あとは夏休みの宿題を題材にして、8月31日をループするとか、年度末の3月31日がループする、みたいなことを考えていました。ミニゲームに成功した回数や選択肢によってループを抜けられるかどうかが決まるノベルゲームみたいなものですね。
──── そちらも面白そうですね。
kuro:これが全く乗りこなせなくて。
すさき:ノベルゲームとか2Dゲームだったら、3Dゲームより簡単なんじゃないかという甘い想定のもとに始めてみたら、ネットにあんまり情報がなくて、「これは思ったより難しいぞ?」と。
kuro:情報量少なかったよね。
──── なるほど、確かに2Dの情報少ないかもしれませんね。Unityを捨ててからの2日目の流れは順調だったんですか? 開発の様子について教えてください。
すさき:実際作り始めてからは、技術的な難しさより、作業量に絶望することが多かったです。多分、kuroさんがめっちゃ大変だったと思うんですけど。
kuro:いやいやいや(笑)。
すさき:このイラストの素材とかも、全部kuroさんが作ってくれたんですよ。私の方もクエストの文章を考えたり、プログラミング以外の作業が膨大で。そのことに途中で気付いて(笑)。
──── 確かに、最初にこのゲームを見たときに、すごい手がかかってるなと思いました。素材もストーリーも全部オリジナルの素材ですよね。この素材を用意するの時間とプログラムを書く時間、配分はどのくらいだったんですか?
kuro:記憶の中では常にイラストを描いてました。すさきは常に文章を考えてて、アイデアを出す時間やプログラミングする時間を比べると、6対4くらいなんじゃないかな、体感としては。
──── プログラムの方で詰まったところとかはなかったんですか?
kuro:デプロイだけすごく詰まったよね。
すさき:ちょっとつまずいたよね。Next.js自体は一応、他のハッカソンで使ったことがあって、その時の知識の範囲内に収まる感じでやろうと頑張って、細かい詰まりポイントがいっぱいあって。前回一緒に作った時も、Next.jsをVercelでデプロイするみたいなことをしたので、今回もいけるだろと思ってやったら詰まったという。
すさき:前回はデータベースを使ってなかったから、データベース周りでのエラーが出てしまったのかな。こんなふうにしゃべってますけど、提出間際の作業はkuroさんにほぼお任せしてしまってたんで、今、雰囲気で言ってます(笑)。
kuro:合ってます合ってます(笑)。そうなの、データベース。1回詰まったときは追加でやるべきことをやっていなかったから引っかかったんですけど、2回目に引っかかったのは、実はまだ原因がわからなくて、今もどうしようって思ってます。
──── 今回のツクアソでのチャレンジポイントは、Vercelでデータベースを使ってみたこと、ですかね?
kuro:そうですね、私にとっては。あとは素材の多さです。すごくチャレンジだったなと思います。
──── これ、ドット絵がすごくかわいいですよね、懐かしくて。これはどうやって作ってるんですか?
kuro:PISKEL」っていうサイトがあって、そこを使いました。一個一個ぽちぽちドットを置いていくんですけど。



──── 地道な作業だ。これは時間がかかりますね。本当にアニメーションを作画するのと一緒ですね。
kuro:アニメーションもドット絵も作れるすごい優れものなサイトです。アニメーションの場合は、素材をつないでフレーム作っていきます。
すさき:以前、一緒に出た別のハッカソンでも、このドット絵の素材を死ぬほど描いていただいて。
──── すごいな、職人技だ。ドット絵のゲーム、いいですよね。初期の「ファイナルファンタジー」とか「ドラゴンクエスト」とか。
kuro:私、ポケモンで言うと「ブラック&ホワイト」の世代なので、ギリギリドット絵なんですよね。緻密過ぎてドット絵感薄いんですけど。それでドット絵に憧れがあって。
──── 今回の作品は、いい感じのテイストのドット絵ですね。
すさき:今回は、ドット絵をいい感じに使っていこうとか、それ以外のUIもなるべく昔のゲームっぽくしたいよね、みたいなことを話しながら作りました。
──── 個人的には勇者の剣が「はたき」なのと、鏡の前に勇者が立った時にちゃんと鏡に映り込んでるところが好きです。
kuro:そうなんです、ちょっと豪華な「伝説のはたき」をもたせてます。鏡も、気付いてくださってうれしいです。
──── モンスターも「ほこり」とか、掃除にちゃんと関係してますもんね。すごくよく作り込まれてます。作業の役割分担としては、完全にkuroさんがドット絵を描いて、すさきさんがストーリーを作って、という感じだったんですか?
すさき:kuroさんが全てのドット絵と、ログイン周りとか、バック寄りの部分を主に書いてくれてます。プログラミングの分量もkuroさんが若干多いぐらいで、めちゃくちゃ働いていただきました。私は文章周り全般と、フロント付近のプログラミングですね。
──── ご自分たちの作品の中での推しポイントはありますか?
kuro:さっき気づいていただいた映り込みの部分と、勇者がポップアップするところは自分でもこだわったて描きました。
すさき:私も開発者の無駄なちっちゃいこだわりみたいなもの、小ネタみたいなものを入れておいて、ニヤニヤしてもらえたらうれしいな、みたいな気持ちでやってました。
──── 賢者が出てきたりとか、重曹とか洗剤とかも微妙にニュアンスを変えたアイテムにしてるのがいいですよね。
すさき:どれぐらいファンタジーにして、どれぐらいリアルな掃除にするかっていう塩梅が、文章にしても素材にしても難しかったですね。よく話し合って作りました。
kuro:こだわりましたね
すさき:例えば敵キャラの、ほこりみたいなモンスターとかも、これ以上汚いとちょっと嫌、とか、でもこれ以上可愛くても違うな、とか、いい感じの塩梅を探りながらやってました。
kuro:部屋の画像もそうなんですけど、思わず掃除したくなる、思わず綺麗なバージョンの部屋を見たくなるようなイラストというのを目指して、できるだけ汚しつつ、だけど見るだけで嫌になる、ブラウザバックしたくなるような画像にはしないようにっていうバランスを気にしながら作りました。
──── プレイヤーの心理もちゃんと考えながら設定をチューニングしてるんですね。すごいな。特にプレゼン中に出てきた「荒廃せし五つの徳」っていうのが面白かったです。うまいこと言うなと。
すさき:うれしいです。
kuro:すさきさんのワードセンス、すごいですよね。
すさき:自分が普段ゲームをやっていても、ちょっとニヤッとできるような小ネタが好きなんです。ピクシブ百科辞典には載るかもしれないけどしょうもないネタ、みたいな。そういうのを詰め込んでみたくてやってました。
──── 世界観づくりがすごく良かったです。こだわりながら遊んでいて、そこが「ツクアソ」の目指すところにマッチしてますよね。がっつり作りこんでいて、それでいてちゃんと遊んでる。余談ですが特別賞に選出された経緯です。
kuro:うれしい、ありがとうございます。
すさき:ありがとうございます。
──── 前回、すさきさんはソロ参加でした(第7回ツクアソで学生賞を受賞)ね。今回、kuroさんとチームを組まれた経緯について教えてください。
すさき:別のハッカソンで同じチームだったんですけど、その時がすごく楽しかったんです。見てくれる人を楽しませるっていうだけじゃなくて、作りながら楽しむっていうのをやれたなと思っていて。あの時は一緒にはしゃぎながら作れたなって、そういう手応えがあったので、kuroさんと参加したらきっと楽しいだろうなと思って誘いました。
──── 今回もはしゃぎながら作れましたか?
すさき:アイデアを考えてる時はすごくはしゃいでたんですけど、素材を作り始めたら、想像以上のしんどさにだんだんはしゃげなくなっていって(笑)。
(一同笑)
すさき:いや、でも楽しかったです。ちゃんとはしゃいでました。
──── 他のチームの作品で、気になったものや印象に残ったものはありましたか?
kuro:サンタさんとはなそう!」です。実は私たちも「サンタさんと話す」というアイデアはあったんですけど、どう形にするかまで考えきれなかったんです。それをすごくきちんと形にしていて、かつ子どもたちの夢を壊さずに親が欲しいものをリサーチできるっていう、いいバランスになって感動しました。私に足りなかったものがここに!と思って。
すさき:私は都合が会わなくて、ファイナリストプレゼンを少ししか見れてないんですけど、でも「サンタさんとはなそう!」は面白かったんです。発表して、おーってなるだけじゃなくて、実際使えそうで。
kuro:あとは丑の日プロジェクトさんのYouTube配信ですね。作ってる最中に他の参加者の状況がわかるかなと思ってXで検索したら、YouTubeで配信してらっしゃって、印象的でした。
──── kuroさんも、次回はドット絵配信していただいて。
kuro:まだまだちょっとそこまでは精進が足りないんですけど(笑)。でも興味はありますね。
すさき:あの過程は見せたら絶対面白いよね。
──── 次回のツクアソは8月の下旬を予定しています。いつもより短めになるかもしれないんで、Unityの勉強はできないかもしれないですけど(笑)。
すさき:あらかじめやっとかないと。
kuro:半年かけて勉強しておきます。
──── 第9回もお待ちしておりますので、ぜひご参加ください。本日はありがとうございました!