「第4回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー③ 優秀賞 ひげだるまさん

2023.07.04

2023年2月9日から17日にかけて「第4回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)が開催されました。
今回のテーマは『水!!』。このシンプルかつ自由度の限りなく高いテーマを前に、受賞者たちは、実に個性豊かな作品を見せてくれたました。そんな彼らに行った恒例の受賞者インタビューを公開します!

今回は優秀賞を受賞したひげだるまさんへのインタビュー。

ひげだるまさんの「Splatwash」は、イカが墨を吐いて黒く汚れてしまった画面を、専用の放水デバイスできれいに掃除するという教育型ゲームです。手持ちのゲーム画面にクロマキー合成用の映像を重ねて画面出力する仕組みで、ゲームプレイヤーと放水デバイスプレイヤーの2人1組で遊ぶことができます。

驚きのあるプロダクト制作に定評のあるひげだるまさん。くわしい開発の過程や苦労話、プロダクトへの愛など、軽妙なトークが冴えるインタビューになりました!


ひげだるまさんのプレゼンは 00:31:54 〜




──── 2回目の受賞ですね。優秀賞おめでとうございます。いつもながらインパクトのある作品をありがとうございました。
早速ですが、テーマが発表になってから作品ができるまでについてお聞きしたいと思います。あのアイデアはすぐに出てきたんですか?
ひげ:今回はもう全然浮かばなかったですね。「水!!」のテーマ、すごく難しかったです。まず、机の周りに水要素が一切なくて。
(一同笑)
──── Twitterでも苦戦してる様子が伺えました。
ひげ:そうなんですよ。どうしようかなと思って、お酒飲んだら出てくるかなと思ったんですけど、飲んでも出てこないし(笑)。それでもう仕方ない、時間もないしってことで、とにかく手に届く範囲にあるものをから捻り出すっていう感じにしました。
──── それでこんな作品が出てくるんだからすごいですけどね。ところでこれ、発音は「スプラウォッシュ」ですか?
ひげ:私も実は自信を持って読めません(笑)。今回の作品は名前が完全に後付けなんですよ。普段は作品名を考えてから物を作ることが多いんです。イメージが固まった状態で作るってことですね。例えば前回のやつ(第2回ツクアソ 優秀賞受賞「家出時計」)も、名前を先に思いついて、その後に作ったんです。発表も「こんな感じにしようかな」とか、ある程度イメージしながら、どういうものを見せたいかっていうのを固めてから作ったんですけど、今回は全く浮かばなくて。
──── 試行錯誤しながら、まず物ができて、そこから名前を付けたんですね。
ひげ:そうですね。応募するために名前を付けたって感じです。「スプラトゥーン」っぽいし、「スプラ」で「洗う」んだから、くっつけちゃえっていう。そんな造語なもんだから、発音が定まってなくて、発表の時の動画を見返してもらったらわかるんですけど、ちょっとゴニョゴニョって言ってると思います(笑)。
(一同笑)
──── それにしてもここまでにたどり着くのはかなり大変だったんじゃないでしょうか。結局どういうきっかけで進んでいったんですか?
ひげ:この前の週ぐらいに、TwitterでWiiのコントローラーを使うっていう話題を見かけたんですよね。それ、昔やったことあるなー、と思って、そしてふと机を見渡すとヌンチャク(「Splatwash」で使用したWiiのコントローラー)が置いてあってですね…。
──── 手の届く範囲に転がってたんですね、アイデアが。
ひげ:そうそう(笑)。「出しっぱなしだったな、これ使っちゃおう」って。最初は、M5Stackを使って銃みたいに打てたら面白いかなと思ったんですけど、センサーの精度的なところで時間がかかりそうだったんで、ヌンチャクに逃げました。
──── なるほど。それでもかなり斬新だなという印象でした。思いついても、そこから先、組み立てていくのが大変じゃないですか。
ひげ:私もOBS Studioをこういうふうに使うのは初めてで。そもそもクロマキーを使ったのも実は初めてだったんです。クロマキーの使い方から調べながら作りました。本当にできるのか検証しながら、ゲームっぽくアレンジしていくところにも時間をかけて…。そんな感じだったんで、前回ハードをたくさん触った感じから言うと、今回はソフト開発が多めでしたね。
──── アイデアが出てから全部作り切るまでにどのくらいの時間がかかったんですか?
ひげ:金曜日になんとかアイデアを捻り出して、あとはソフトウェアのところだったんでゴリゴリと作って、なんとなくそれっぽいのができるようになったのが日付が変わって土曜日に入ったぐらいでした。それで今度はガワの、見た目をきれいにしようと思って、買い出しに出たのがお昼ぐらいかな。近くの100均に箱を買いに行きました。そこからガワを作りつつ、もろもろ微調整して。とはいえ応募自体はそんなギリギリじゃなかったはずですね。
──── プレゼンも、前回に増して面白いものでした。あれは実際にライブでプレイされてたんですよね?
ひげ:後ろで娘にやってもらっていました。これ、一人では遊べないプロダクトなので…。ファイナリストプレゼンが始まったぐらいから、ずっと娘に練習してもらってたんですよ。最初プレイが下手過ぎて、ひとまず1面クリアできるくらいになってもらわないと成立しないので、ひたすら練習(笑)
──── プレゼン中に、字幕も出してましたよね。
ひげ:そうですね、あれは全部OBS Studioを活用しています。基本的にデモ主体でプレゼンをしたい人なんですよ、私。とにかくデモを見てほしいんです。前回は物自体を見てもらいたいってことで紙芝居だったんですけど、今回は全部OBSで、タイトルや機能説明も全部中に入れて、切り替えでやりました。本当はもっと凝りたかったんですけど、ちょっとそこまで作る余裕がなくて。
──── いやいや、時間の制限がある中で新しいところにチャレンジして、デモもきっちり動くところまでまとめてくるのはさすがでした。
ひげ:ツクアソは、作る部分と発表がきっちり分かれてるのがいいですよね。発表に対してどういうふうに持っていくかって時間取れるのはこのハッカソンならではだと思います。作って応募してすぐプレゼンだったら、ここまでのデモはできなかった。
──── あえて録画にせずに、ライブでデモもやるということにこだわりがあるんですか?
ひげ:作ったもの見てもらいたいっていうのが大前提です。動画でもいいんでしょうけど、やってて楽しいのはライブデモなんですよね。緊張感があるっていうか。私が制御ができない娘という存在が、どういうプレイするか(笑)。もうドキドキしながらやって、それが楽しい。
──── ハプニングを含めて楽しむんですね。ご自身が楽しんでいらっしゃるなっていうのがすごく伝わって、見てる側もまたすごく楽しかったです。
ひげ:私はどうしてもデモがやりたくなるから、はなからデモがしやすいものを考えることが多いですね。最後どういうようにして見せようかっていうところを中心に考えちゃう。
──── 全部ひっくるめてすごく楽しい作品でした。今回習得したクロマキーとか、次回にも使えそうな感じですよね。
ひげ:そうなんですよ。いろいろ活用できそうだなと思って。うまいこと使えばもっと面白いことができそうです。テーマにもよりますけどね。
──── 運営が言うのもなんですが、ツクアソはテーマが難しいですよね(笑)。今回のテーマはどうでしたか?
ひげ:いやー、難しかったです!でもみんなすごいですよ、面白い作品ばっかり。特に私は、元素をくっつけるぷよぷよみたいな、「ハイドロップ」。あれが大好きで。Twitterでも上げていらっしゃって、プレゼンの前に遊ばせてもらってたんです。楽しかったなー。
──── 今回のイベントは学生の方がすごい活躍をされてましたよね。最優秀賞も学生の方でした。
ひげ:うまいことチームとして動いてるなっていう気がします。役割分担しながらみんなが力が発揮できているから、短い期間でこんな完成度高いもの作ってくるんですよね。すげーなと思います、学生さん。
──── 若い方もどんどん増えて、ツクアソ自体が盛り上がっていくのは嬉しいことです。ひげだるまさんにもいつも盛り上げていただいて。
ひげ:せっかく参加してるんで、盛り上げないとなって思って。私、誰よりTwitterでつぶやいてますもんね。
──── 公式がもっとつぶやけるようにがんばります…。
(一同笑)
──── 次回ツクアソは8月を予定しています。いかがでしょう。もちろん出ていただいて(笑)。
ひげ:ツクアソすごく楽しいんで、ありがとうございます。でも毎回出るの申し訳ないとも思ってるんですよね。おっさんが活躍するのはちょっとっていうのもあって…。もっと若い子にも出ていただいて。
──── いやいや、ツクアソは誰が活躍するかというよりは、どれだけ楽しんでもらえたかが重要なので、ぜひ。
ひげ:会社の若手を誘ってチームで、とも考えてます。まだどうなるかはわかんないですけど、自分がメインというよりかは若い子たちに入ってもらってっていうやり方にできたら。いろんな人に広がって、それを見られたらまた楽しいじゃないですか。
──── それはもう。ありがとうございます、お待ちしています!