「第3回ツクってアソぶハッカソン」受賞者インタビュー① 最優秀賞 ユニバック(松村 憲樹 & 朝日諒 & 浅見 祥喜)さん

2022.11.11

2022年8月18日から26日にかけて開催された「第3回ツクってアソぶハッカソン」(通称ツクアソ)。
「『いや違う、そうじゃない』とツッコまれたくなるモノまたはサービスをツクる」をテーマに、ユニークかつエッジィな作品を作ってくれた受賞者たちのインタビューを公開します!

今回は、映えある最優秀賞を受賞したチーム「ユニバック」の3人によるインタビュー。

ユニバックの作品は、安全性、静けさ、人の多さなどから「寝やすい度」を星で評価し、安心して野宿できるスポットを探してくれるアプリ「ソトネル」。
動画を用いたクオリティの高いプレゼンと、一見、何のズレもないように感じさせる異様なコンセプトに評価が集まりました。

ツクアソ常連チームでもあるユニバック。前回特別賞からの快進撃で、ついに最優秀賞に輝きました。開発の課程やプレゼン映像制作秘話など、たっぷりお話をお聞きしています!


ユニバックさんのプレゼンは 01:29:11 〜


「ユニバック」メンバー
松村憲樹 さん
朝日諒 さん
浅見祥喜 さん

──── では改めまして、最優秀賞おめでとうございます。
松村:ありがとうございます。
朝日・浅見:ありがとうございます。
──── 一票差の接戦を制して見事獲得です。前回に引き続き、今回は最優秀賞ということで。素晴らしい成績を収めてくださいました。どうですか、自分たちでは最優秀賞になると思ってましたか?
浅見:思ってなかったですね。もう速攻反省会始まるぐらいの。
松村:優秀賞も無理だろうなって話で。
浅見:発表終わった瞬間に、審査員の方に「ツッコミどころどこなの?」的なコメントを頂いて。それびっくりして、やばいだめだったかーって感じの反省ムードだったんですが。
──── (笑)。今回のツクアソ自体の感想はいかがでしたか? もう常連さんだから、楽しく参加してくださったのかなとは思いつつ。
松村:前回同様楽しく参加できてよかったなと思ってます。開発も、前回よりはスムーズに進んでいったので、すごい楽しかったです。辛いことがひとつもなかったぐらい。
──── 素晴らしいですね。他のお二方はどうでした?
浅見:いや、辛かったですね。普通に辛かったです。
前とほぼ同じ役割分担だったんです。僕がフロントやって、松村くんと朝日くんがバックエンドだったんですけど、前回と同じくフロントに慣れてないんで…。
今回はMapboxっていう、地図開発のプラットフォームを組み込むってなって、苦戦しました。あと、地図の見栄えってどうやって良くするんだろうとか、デザインのところも。大変なところが多かったです。
朝日:僕はバックエンド担当だったんですけど、前よりは板についてきた感じですね。みんな喧嘩とかもせず、仲良く開発できて。非常に気分が良かったです。
(一同笑)
──── 以前は喧嘩してたんですか?
松村:やっぱりアーキテクチャの方向性の違いみたいなのがあって(笑)。今回も、実はデータモデルの方向性の違いがあって。
浅見:今回も若干してたよね、バックエンドチーム。
朝日:いや議論だよね、喧嘩っていうか。
松村:そう、議論、議論。
(一同爆笑)
──── 楽しそうでとても良いですね。
浅見:そうですね、楽しくやりました。
──── 今回テーマが難しかったですね。どうでした?
松村:テーマから、まず鈴木雅之さんの曲(鈴木雅之「違う、そうじゃない」@Epic/Sony Records)をみんなで聞きました。聞いた結果、この曲から何かを作るのは無理だねっていうことになって、また違う方向性で考えることにしました。
──── (笑)。では、その中でどんなふうに48時間を過ごされたのか、振り返ってもらっていいですか?
浅見:僕らはいつも、初日の夜中までにはアイディアを決めようという目標のもとにやってます。アイディアの出し方は、ひらめきベースよりは、ロジカルに考えるほうが強いですね。
まずは「違う、そうじゃない」は一旦置いといて、普通に課題ベースで考えました。課題を並べていって、なぜそれが課題になっているのかとか、原因について。それから、課題の解決策を普通に考えたらどうなるの、かというところまでを出して、今度はそれらを「そうじゃない」にするために、ちょっとひねると。そういう順番だったんですけど、今回ハッカソン後に開いてくださった懇親会で、他の参加者の方に話を聞いた限りだと、あんまりそういうやり方してる人いなかったのかなって。
──── そうですね、結構テーマに引っ張られてアイディア出してるチームが多かったかもしれません。
浅見:正直めちゃめちゃ難しかったんで、かなり頑張って考えました。なんとか初日で。
──── アイディア自体はさくっと出ましたか?
松村:さくっというか、いつも通り妥協ですね。「もうこれでいいよ」って(笑)。
初日が木曜の夜だったんで、割とメンバー全員残業してきて疲れてて、「なんも考えたくねえよ」「もういいよこれで」って、最終的には。
──── (笑)。たくさんアイディアが出た中での、「ソトネル」だったんですか?
松村:そうですね。
朝日:ゴミみたいなアイディアが。
浅見:出すのは出して、各々複数投票ありで選んでいって、最終候補2つになったかな。決選投票して「ソトネル」の案に。
──── それで初日の夜中には決まったと。
浅見:日を跨ぐ前には。
──── 20時から、3時間ちょいぐらいはアイディア出ししてた感じですね。で、2日目から開発に取り掛かったと。2日目は金曜日でしたが、みなさん普通にお仕事だったんですか?
浅見:いや、全員有給を取ってきました。朝、弊社の始業時刻と同じ9時に集合って感じにして。
松村:朝日くんはいつも寝坊するよね。
朝日:朝弱いよね。
浅見:ほんと朝来てくれなくて。
──── みなさんリモートでの開発で。
浅見:はい、全員リモートで。
松村:Discordやりながら。
浅見:そういえば、僕たちまだ朝日くんに会ったことないですね。
──── あ、そうなんですか。
朝日:確かに。
浅見:こんだけやってるのに、まだ会ってないよね、直では。
──── みなさんそれぞれ遠いところにお住まいなんですか?
浅見:そうでもないんですけど。僕は埼玉で。
朝日:僕と松村くんは東京で、全然来れますね。
松村:朝日くんが会ってくれない感じあるよね。
朝日:密を避けるために(笑)。
──── このご時世ですしね。ユニバックさんの結成はコロナ禍入ってからですか?
浅見:そうですね。僕らはちょうどコロナ全盛期のときに入社した代で。研修も全部リモートになっちゃって、それで会えてないってのもありますね。遊んだりもできず。
──── みなさん同じ会社でしたっけ。同期で。
浅見:そうです。
──── でも会ったことないと。一緒にハッカソンは参加してるんですね、面白いな。入社前からのお知り合いとかでもなく?
松村:いや、全然知らない人ですね。
浅見:会社で初対面の人たちです。厳密には会ってないから初対面ですらない(笑)。
──── チームのリーダーって決まってるんですか?
浅見:言い出しっぺは松村くんですね。あとビジュアル担当。
松村:ビジュアルっていうかプレゼン? バックエンドとプレゼン担当です。
──── 松村さんが声をかけたんですか?
松村:そうですね。毎週1回は「ハッカソン」で検索して、出てきたやつを、150人くらいいる同期みんなに声をかけてました。「これあるよ、出よ」って。150人に声かけて、集まったのがこの3人。全然人集まんない。
──── それで集まったのがこのメンバーなんですね、いいじゃないですか。会ったことないというのがいい(笑)。
浅見:ここまできたらもうリモートだけで。
(一同笑)
──── 2日目の開発に話を戻しますが、進行はどんな感じだったんですか?
浅見:僕と松村・朝日でフロントとバックに分かれて、3時間ごとに進捗を報告し合うっていうスケジュールでやってました。今これぐらいできました、次これやりますっていうのだけは3時間ごとに口頭で共有して。
──── 役割分担は最初から決まってたんですか?浅見くん前回と同じでまたフロントね、って。
浅見:そうですね。初日にアイディア出して、ざっとした最小要件みたいな、最低限この動作は必要だよねっていうものを出して、役割はその場で決まりました。フロントは今回も浅見でって。データベースとかAPIとかも、ふわっと初日に決めました。
──── 技術スタックとしては、何で作ったんですか?
浅見:フロントはReactと、さっき言ったMapbox。地図のインターフェースやって、それをAWSのAmplifyで立てちゃってるんですけど。そんな感じでホスティングはそこまでやりました。
朝日:バックエンドはDBがDynamoDBで、基本はAWSです。そこにリアルタイムでデータを集めるんですけど、それもEventBridgeっていうAWSのサービス使って、コードは全部Lambdaで書いて、サーバーレスで組んでます。
──── まるっとAmplifyに乗っかるより、自分たちでごりごり書いてるんですか。
浅見:そうですね、バックエンドは各々立てて。
──── 2日目からはそれぞれ開発して、フロントのデザインは浅見さんに一任?
浅見:そうですね。もちろん、ちょくちょく見せて添削してもらってますけど、大体僕の方でがーっとやっちゃってますね。
──── 形になったのはいつ頃ですか?
浅見:実を言うと1日目、ReactとMapboxの連携が全然うまくいかなくて、デザインに力を入れられなかったんですよ。最終日になってから、マーカーとか色とか機能とか地図の見た目に手をつけられたので、決まったのは最終日です。
──── 2日目、浅見さん苦労されたんですね。
浅見:全然直んなくて、やりたいことができてなくて。
──── そういうときは独りで黙々と闘う?
浅見:黙々とやってますね。大学時代の研究からそうだったんですけど、大体周りと別のことやってたりして、独りのことが多かったんで。ただひたすらググって、対応してって感じですね(笑)。
──── 一方、バックエンド側はどうでした?
松村:バックはもう、割といつも通りの技術を使ってるので、2日目には大体完成しちゃってて。
最終日はあんまりやることがなかったんですけど、フロントでエラーが起きちゃって、ずっと喧嘩してましたねそこで。「どっちが悪いんだこれ」みたいな(笑)。バックのAPIの仕様が悪いのか、フロントの呼び出し方が悪いのか全然わかんなくて。それで結局完成はぎりぎりになりました。
──── そうですね、エントリーも割とぎりぎりでした。今回、常連さんみんなぎりぎりだったんですよ。エントリー順が発表順になることを知ってて、あえてぎりぎりにしたのかと思ってたんですが。
浅見:発表順を知ってたら、もっとそこらへんを避けたかったですね。常連が並んでで、発表順がやばいっていう話をしてました。
松村:最後の方に発表したいけど、そっちにすごい強い常連チームがたくさんいて、青くなったよね。
──── 自分たち的に仕上がりはどうでした? 目標のラインに到達していたのか、割と妥協した部分もあったのか。
浅見:追加機能案は、思いつく限り書いておくようにはしてたんですけど、実装できてない部分はあるんで。もうちょっとやりたかったな、とは正直。地図アプリなんで、その場所までのルートを出せるようにしたかったとか…。
──── バックエンド側はどうです?
松村:バックもそうですね。CRUD処理しかしてないんですよ、基本。それじゃつまんないよね、できれば新しい技術も取り入れてやりたいよねって話はいつもしてるんですけど。今回時間自体はあったんですけど、フロントが詰まってて、バックで実装したところでフロントに出せないので、結局いつも通りの感じに。
──── バックのお二人がフロントを手伝ったりとかは…。
松村:フロントは手伝えないです、僕たち。
(一同笑)
──── 潔い。
松村:僕と朝日くんは、Vueを使ってるのに、浅見くんがReactをやっちゃって。
浅見:そうですね、フロントを1から勉強するにあたって、VueとかReactとかいろいろある中で、一番文献とかあったりするし、どうせ学ぶんだったらReactがいいかなって選んでしまって、結果二人の知らないものに(笑)。
──── 発表の準備について伺います。今回は動画を使ってましたね。
浅井:今回、最初から動画を撮りたいねって話してたんです。開発が終わってから準備したんですが、撮影班が松村くんで、編集班が僕という分担で。軽く台本のようなものを作ってから、撮影してもらいました。
──── 撮影は松村さんお1人で?
松村:撮影は1人で行きました。誰も来てくれないので。
──── 寂しいですね、1人でロケハン。
松村:1人頑張りました。近くの公園に行って。
本当は日曜に撮りたかったんですよ。土曜日に開発が終わって、日曜日に撮っちゃおうって予定だったんですけど、日曜日、雨が降っちゃって。外で寝るっていうのをやりたかったのに、雨降ってたらやばいじゃないですか。それで平日に撮るしかなくなって、朝5時起きで仕事行く前に撮りに行って、それを浅見くんにダメ出しされて(笑)。次の日も撮りに行って、みたいな。
(一同爆笑)
浅見:ちゃんと指摘したもんね。「表情が固い」とか。監督としてしっかり指摘したんで、申し訳ないですけど、何回か撮りに行ってもらいました。
松村:朝の場面と夜の場面を撮らなきゃいけなかったんで、業務始まる前に行って、業務終わってからも撮りに行くみたいなのを、3回ほどやりました。
──── それはハッカソンより過酷なんじゃないですか?
松村:ハッカソンより時間かけてます。
(一同笑)
──── それは大変でしたね。その甲斐もあって。
浅見:どうなんですかね。動画のほうもいろいろ改善点があるなあ。
──── 今回改めて振り返ってみて、最優秀賞に選ばれた要因はなんだと思いますか?
松村:動画と、ちゃんとAWS使ってるところじゃないでしょうか。完成度という点で。「そうじゃない感」はあんまり伝わってなかったみたいなんで…。
浅見:いまいちわかんないんですよ、「そうじゃない感」がみなさんに伝わってたのかが。でも投票してくださってるから、そうなのかなと思いつつ。もしかしたらそれ以外の要素で、今言ったような技術的なところなんかが、みなさんに伝わったりのかなとか、動画が面白かったという評価を頂いての結果なのかな、と思いました。
でも動画はやっぱりよかったんじゃないかなとは思ってるんで、できれば次回もやりたいですね。
──── プレゼンに動画を使おうと思ったのは、前回のハッカソンで動画受けがよかったとていうのを感じての考えですか?
浅見:そうですね。僕らは動画を撮ったことはなかったんですが、他のチームとか…具体的に言うと「丑の日プロジェクト」さん。
──── 前回の、「チコちゃん」ですね。
浅見:あれが凄すぎて。動画を使うと伝わりやすいんだなって実感したんで、ああいうのやりたいと思ってチャレンジしました。
実際作ってみて、なおのこと凄さがわかるっていうか。演出とか出し方とかすごくうまい。参考にしていきたいですね。
──── 次回は2月に開催する予定なので、ぜひ。
浅見:はい、参加する予定なので。
──── まだ誰も成し遂げていない連覇を狙ってください。
松村:そうですね。
──── ありがとうございました。